日記1999年05月05日

朝、昨日のタケノコご飯が残っていたのでそれに「おとなのお茶漬け(わさび)」をかけて食べる。テレビで「おじゃる丸特集」を見ながら、静岡の新茶をいれて柏餅を食べる。まったりでおじゃる。息子は柏餅はいらないと言う。この前チマキを買った時も食べなかった。僕が子供の頃はもっと甘いものに飢えていた。

昼、神戸屋レストランにて「トマトとモツァレラのパスタ」を食べる。キャンティのグラスはやめておく。ウェイトレスがうやうやしくパルメザンチーズの塊とおろし器を持ってきて、かけても良いか確認の後かりかりかりと控えめにチーズをおろしてくれる。そこで更に「たくさんおかけてしてもよろしいでしょうか?」と確認してから再びかりかりかりと控えめにチーズをかけてくれる。イタリアで、おろしたチーズの入った皿を持ってきたウェイターが笑顔とともにスプーンでどっさりと振りかけてくれたのを思い出す。それはともかく、トマトのパスタは非常にうまい。オリーブオイルのすごく良い香りがしていた。奥さんはシャケのパスタ。息子はお子様ランチ。娘はミネストローネ。食後にプリンアラモードを頼んで、家族でシェアする。主に息子がアイスクリームを食べ、大人がプリンを食べ、凍らせたラズベリーとブルーベリーを娘が食べる。コーヒーを頼むと薄いエスプレッソが出てくる。「薄いエスプレッソ」って形容矛盾じゃないのか?

ショッピングセンターで奥さんが買い物をしている間、子供たちと「ボールプール」に入る。10分200円、付添の保護者は無料。色とりどりのボールの海に浸かっているのは楽しい。娘をボールに沈めるとキャッキャッと笑う。その後、CD屋でマイルスの「Birth of the Cool」とPSY・S(パラッパやウンジャマを作った松浦雅也が昔やってたバンド)の「Two Bridges」と奥田民生のツアーのドキュメントビデオを買う。

車で臨海工業地帯の中にある公園に行くことになる。車の中でPSY・Sを聴いてみるとなかなか良い。コンビニでお茶とペプシを買う。公園には小さい池があってショウブがちらほらと咲いている。今日、銭湯はショウブ湯のはずだ。芝生の斜面に寝転がって空を見ると雲がまぶしい。息子は走り回り、娘は歩き回る。2時間位経って帰ることにする。車の中で息子が靴を脱ぐと足のニオイが車内に充満する。メチャクチャ臭い。靴下をはかないからムレるのだ。

明るいうちに息子と銭湯に行く。息子の料金は60円である。子供の日のサービスで缶ジュースをくれる。ショウブ湯ではなかった。電気風呂に首まで浸かっている猛者がいて、その人の肩から背中には見事なタトゥーがあった。湯船に浸かって天窓を見るとまだ明るい。ゴクラクである。帰って民生のビデオを見たら「金返せ」的シロモノであった。マイルスの「Birth of the Cool」はシブイ。この演奏が僕のところに届くまで50年もかかったというわけだが、50年前なのに全然古くない。

日記1999年05月11日

昼、吉野家で牛丼大盛りを食べて満足。南海電車で難波へ出かけてジュンク堂で新書3冊と「ウンジャマラミー公式ガイド」を買う。前に来た時にもらったコーヒーチケットでコーヒーを飲む。いつもながら、ふうううって感じになる。川に浮かんだワニのように脱力する。

ナンバ駅に帰る途中、人だかりがしている。路上に出店している中近東風の若い男のカバン屋が逮捕される瞬間であった。両側から4、5人の刑事?が寄ってたかって手錠をかけようとしている。カバン屋は不利を悟ったのか抵抗もせずおとなしくしている。刑事の一人が屋台に並んだヴィトンのバッグとカバン屋をポラロイドで撮影している。カバン屋がやじ馬の方をちらっと見た時に僕と眼が合ったが、僕には何もできない。

いつぞやと同じく南海ナンバ駅に戻ってしまった。南海で帰ると駅から家まで歩く時間が10分以上長くかかるはずだが、この際南海で帰ることにする。いつも降りるのと違う駅の前でまあまあのCD屋を発見。奥田民生の「ひとり股旅」のビデオを発見。

「ウンジャマ」の本を読みながらぼちぼち歩いて帰る。松浦雅也のインタビューを読んで感動。ラミーのバンドは女の子3人だが、やっぱり「少年ナイフ」のイメージも入ってるようだ。少年ナイフのベースの女の子がまだOLの頃、僕の友人がメンバーを募集したのに応募してきて、3人で一度だけ音合わせしたことがあるけど、すごくおとなしかった。こんなに世界的にメジャーになってびっくり。

日記1999年05月25日

この前、3年ぶりにバイクのエンジンをかけてみようと、車のバッテリーにつないでセルを回してみたが、始動する気配すらなかった。修理するか売り払うか。今日は運転免許の更新に行くことにしたのだが、バイクが動かないのでバスで行く。結構へんぴな路線を走るバスに最初から最後まで30分ほど乗る。最初と最後には他の乗客もいたが、間の15分くらいは僕一人だった。バスの中でずっと「カラマーゾフの兄弟」を読む。バスの運転手のアクセルやクラッチの操作が滑らかだったので快適だった。

免許の更新とは、視力検査と写真撮影と講習ビデオである。全部視覚の問題だ。現代社会は視覚を中心に回っているのだなあ。視力検査の後、10分程待たされる。待合室のTVで国会中継をやっていて、ヒラヒラのついた白いスーツの小池百合子氏が固苦しい言葉で演説している。写真撮影の時、撮影機の操作係のおじさんに「ご主人、もう少しアゴを引いて下さい」と言われる。「ご主人」ねえ。その後、講習会場で僕のそばに3才くらいの女の子を連れた女性が座った。女の子は退屈そうだった。僕も退屈なので、時々その子の方を向いてニーッと笑って見せたりした。

更新の手続きが終わってバスターミナルに戻る。本屋で佐藤良明「J-POP進化論」(平凡社新書)、斉藤美奈子「あほらし屋の鐘が鳴る」を買う。バス停のまわりには中学生や高校生がたくさんいる。みんな制服を着ている。機能性のない制服というのは視覚的画一化のためにあるのだろうなあ。帰りのバスでもずっと「カラ兄」を読む。

バスを降りて駅前の銀行に行き、車とバイクの税金を納め、家賃等を振り込む。銀行の窓口の女性が制服を着ているのはなぜだろう、と考えながら銀行を出て隣のミスドに入る。注文を聞いてくれた女の子はミスドの制服が似合っていた。ファストフードの店の制服は作業着だから機能性がある。でも、額の上に乗せてあるバイザーは要らないんじゃないか。

ワンタン麺セットを頼み、いつものように入口の近くのカウンタに座る。奥のテーブルは女子高生や奥さま方で込み合ってガヤガヤしている。ミスドの飲茶セットは、まずエビ餃子から食べるのが鉄則だ。エビ餃子は冷めるとおいしくない。シュウマイと肉マンも冷めないように蓋をしておく。コーヒーを飲みながらオールドファッションドとトーフドーナツを食べる。トーフドーナツに対する評価は僕の中ではまだ確定していない。天井のスピーカから古いロックンロールが流れている。一度だけ山下達郎の「ドーナツソング」もかかる。一時間くらいネバって「カラ兄」を読み終えた。