日記2001年04月07日

息子の入学式の日。息子は従兄弟のお下がりのブレザ-と半ズボンを着て、紺の運動靴を履いている。すごく良い天気である。本当に雲ひとつない青空だ。桜も満開で、絵に描いたような入学式日和である。小学校の前まで行くと、「入学式」と書かれた立て看板の前に記念撮影の列ができている。我々も順番を待ち、看板の前で息子の写真を撮る。

お父さんたちもたくさん来ている。当然のようにみんなス-ツ姿である。母親はパステルカラ-のス-ツが多い。うちの奥さんもベ-ジュのス-ツ。着物の人も結構いるが、昔のように黒い着物じゃなくて色の付いた着物である。僕は「様子を見に来ただけ」のつもりなので、綿パンにくたびれた麻のジャケットというラフな格好でノ-タイ。娘はトレ-ナ-を着せてきたが、よその弟や妹たちは結構おめかししている。

新入生を歓迎するように、体育館に向かう通路の両脇にチュ-リップの鉢植えが並べてある。よその弟妹たちはお兄ちゃんお姉ちゃんたちと一緒に式に出るようだ。僕と娘は、体育館兼講堂で入学式が行われている間、誰もいない運動場で待つ。娘が鉄棒や滑り台で遊ぶのについて回る。校庭のすぐそばを電車が通る。僕が4年生まで通った小学校は飛行機の離陸ル-トの下にあった。電車は飛行機ほどうるさくないし、すぐに通り過ぎるからマシである。排気ガスも出さないし。

娘がクスノキの葉っぱを拾う。中庭に行って、飼育小屋のウサギがキャベツを食べているところを見る。隣の小屋にはオンドリが一羽いる。コンクリ-トの水槽にメダカとカメがいる。娘がだんだん退屈してきたようなので、買い物に行くことにする。娘とふたりで小学校を出て、駅の方へ歩きだす。100mも行かないうちに「もう歩けない」と言いだしたので、「お菓子を買いに行こう」と行って励ます。駅前のコンビニでフィルムとお菓子を買って、また小学校まで歩く。

新入生たちが体育館から出てきて教室に移動する。しばらくして親たちも出てくる。みんなで教室の前に行く。30人くらいずつの2クラスで、どちらも女の子が10人で男の子が20人ほどである。なぜかアンバランスだ。教室の前の廊下で立ったまま娘を抱っこしていたら寝てしまう。中庭に戻って、花壇の前のベンチに座る。日差しが強いので、娘の頭や顔が陰になるように抱き直す。

校舎を見上げる。4階建ての校舎は多分30年くらい前に立てられたものだろう。教室の数を数えてみると半分くらい余っているようだ。少子化を実感する。息子が走ってきて、学童保育の部屋に行くと言う。娘を抱えてついていく。担当の先生たちの紹介、簡単な注意事項を聞く。1年生のうち10人くらいが学童保育に通っている。空き教室の一つにゴザが敷いてある。1年から3年までの40人くらいがこの部屋ですごすらしい。毎日おやつが出る(実費)。今日の分をもらう。娘が目を覚まし、みんなで歩いて帰る。

日記2001年04月18日

朝、ラヴァッツァのコ-ヒ-をいれ、レ-ズンロ-ルパンを食べる。子供たちは風邪なので今日はお休み。奥さんがひとりで車で出かけた後、8時頃におばあちゃんが来てくれたので、僕も出かける。バス停まで走って行き、バスを待つ間「村上朝日堂・スメルジャコフ対織田信長家臣団」を読む。バスの中でも読む。

会社の更衣室の前でタイムカ-ドを通そうとしていると、奥さんの同僚に子供たちの様子を聞かれる。うちの娘と彼女の娘が保育園で同じ組なのである。

昼前、健康診断を受ける。視力を測ると眼鏡で両眼とも1.5と出てしまう。眼鏡を作った時は0.7に合わせたはずなのに。集中すると細かい物が見えるのだ。血圧はいつものようにすごく低い。上が90くらいである。

夕方、奥さんからメ-ルで先に帰るように言われ、車で帰る。家に着くと子供たちは2人とも寝ている。おばあちゃんから昼間の様子を聞く。おばあちゃんが帰って30分ほど経った頃、小学校の先生がス-パ-カブで家にくる。ちゃちなヘルメットではなく、赤いジェット型を被っておられる。プリントを何枚かもらう。病状を聞かれ、明日は行けるかもしれないと答える。

先生が帰ってから、子供たちが目を覚ます。息子の熱は下がったが、娘はまだ。ふたりとも咳が治らない。水曜だから「パワ-・パフ・ガ-ルズ」を見る。晩ご飯は何にしようかと冷蔵庫を見ると、冷やご飯が茶碗3杯分あった。各自の希望を聞いた上で、息子には納豆とご飯、娘におにぎりを作って弁当箱に入れてやる。食後にイチゴ。

奥さんから7:13のバスに乗ると電話がある。帰宅時間に合わせてスパゲティを茹でる。茹でたスパゲティに生タマゴと納豆をかけ、刻んだ海苔とシソふりかけもかけて納豆スパゲティの出来上がり。日曜にビン詰めしたビ-ルを飲んでみる。まだ甘いし泡も少ない。2次発酵が足りないようだ。

家から歩いて30秒くらいの銭湯にひとりで行く。今日の薬湯は紫色だ。脱衣場の表示によると「紫根」だそうである。ひとりで銭湯の湯船に浸かっていると学生時代を思い出す。帰りに自販機で野菜ジュ-スを買う。家の前にあった大阪府の施設が無くなってできた空き地を見る。サッカ-コ-トくらいの広さである。夜空を見上げると少し赤い。埋め立て地のコンビナ-トの灯に染まっているのだ。

おいしいビ-ルの作り方2001年04月21日

僕の適量は缶ビ-ル1個くらいで、2個飲むと酔っ払い、体調が良くなければ頭が痛くなる。つまり、かなり弱い。外に飲みに行くことは滅多にない。去年1年間で飲み会に行ったのは1回だけだった。でも、お酒は好きである。ほとんど毎日缶ビ-ル1個くらい飲む。僕はおいしいビ-ルが飲みたいので大手ビ-ルメ-カ-の新製品が出たら大体飲んでみるのだが、どれもほとんど同じだということが判った。もちろん微妙な違いはあるのだが、全然違うものが他にあることを知ってしまうと、ほとんど同じだということになる。

昔、あるスキ-場のレストランで「サム・アダムズ」というビ-ルを飲んだ時に「おいしいビ-ルは麦の味がするのだ」ということを知った。日本の大手ビ-ルは麦の味がしない。麦の味がせずに苦い。キリンのラガ-が60%のシェアを占めていた時代からの伝統である。ビ-ルが苦いのはホップを使っているから当たり前だ。ビ-ルは苦いからいいのだともいえるが、ホップは苦いのと同時に青臭いニオイもする。そして、日本のビ-ルは青臭い。

ちゃんとしたビ-ルというのは麦の香ばしさが勝って青臭くない。ホップの青臭さを消すのはモルトの香ばしさだ。ちゃんとしたビ-ルが香ばしいのはモルト(麦芽)がたくさん入っているからである。おいしいビ-ルはモルトの量が多いのだ、と僕は推測する。日本の大手ビ-ルは原料のモルトが少ないのだとしか思えない。モルトが少ないからホップの苦味と青臭さが目立つのだろう。

ビ-ルの材料のほとんどは水と麦芽エキスである。麦を発芽させたものが麦芽だ。麦が発芽する時に麦のデンプンは麦芽糖に変わる。モルトエキスをなめてみると甘い。モルトを水で煮込んだ汁にイ-スト(酵母)を入れておくと、イ-ストが糖分を分解してアルコ-ルと炭酸ガスに変える。そうやってできたものがビ-ルである。麦芽の糖分は分解されるが他の成分は残る。残った成分が麦の味として感じられるわけである。ホップは雑菌の繁殖を抑えるのと風味を付けるために加えられるようだ。

ビ-ルの作り方の大筋はこうだ。水にモルトエキスを入れて30分から1時間くらい煮込む。途中で何回かに分けてホップを投入する。煮込んだ汁を冷ましてペットボトルに詰めてイ-ストをパラパラと振り入れる。半日もすると発酵が始まって炭酸ガスの泡が出てくるので、朝晩キャップを緩めてガスを抜く。1週間ほどで泡が出なくなったら、1次発酵が終ったことになる。泡が出ないのは糖分が全て分解されたしるしだ。消毒した瓶に麦汁を詰めて、砂糖を少し入れて栓をする。砂糖は瓶の中で2次発酵させて泡を出すために入れる。瓶詰からまた1週間で2次発酵が終わり。後は冷蔵庫で冷やせば、しっかり麦の味がするおいしいビ-ルが飲める。うまくやれば、とても細かくて香りの良い泡が出る。

こうして自分で作ると、とてもおいしいビ-ルが小瓶1本当たり100円くらいでできるのだ。発泡酒より安い(ただし、法律で個人はアルコ-ル1%以上のお酒を作ってはいけないことになっているので、ちゃんと薄めなければイケマセン)。同じようなビ-ルを買ってこようと思ったら、日本の地ビ-ルで3倍、輸入ビ-ルだと5倍くらいの値段になる。どう考えても自分で作った方がいいので、僕はここ数ヶ月、月に一回15本ずつ作っている。