「FABFOX」フジファブリック2005年12月03日

フジファブリックの曲はちょっと変である。志村くん(作詞作曲ギターボーカル)の間の抜けた歌もおかしい。ちょっと変なおかげで、最近の数多あるJポップロックバンドの中に埋もれずに生き残りそうな気もする。

志村くんは奥田民生が好きで自他共に認める民生フォロワーだが、民生ほどポップセンスは無さそうだ。曲のアレンジからするとメンバーにプログレ好きが多いのではないか。演奏はうまい。頑張ってポップにしようとしている曲は、ちょっと変な感じがスパイスとなっていい感じである。

「乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない」橋本治(集英社新書)2005年12月04日

バブルが発生したのはもう投資先が無くなったからで、投資先が無くなったのはもう必要が満たされたからである。その状況は今も続いている。著者は同じようなことを何年も前から言っていて、僕もそのとおりだと思う。メーカーの技術者である僕の仕事場でもみんなそう思っている。ようするに、必要なものはもうみんな持っているから何かを売るのは大変なのである。

そういう状況にもかかわらず経済発展重視の社会構造のままでやり続けているから日本の社会は破綻しかかっている。JR西日本の脱線事故やマンション強度偽装事件なんかはその証拠である。

じゃあどうすればいいのいかについて著者は具体的には言わないが、最後に「我慢」というコトバが出てくる。僕も最近ガマンについて考えていたので、我が意を得たりであった。

「NIKKI」くるり2005年12月08日

奥さんがくるりのファンなので新譜が出たら買うことになる。くるりの曲は完成度が高いというか、よくできているとは思うのだが、まとまりすぎて趣味的世界に閉じている感じもする。アレンジからすると60年代のロックが好きなのだろう。まあ安心して聴けることは確かだ。

「Synchoronicity」BENNIE K2005年12月10日

コカコーラのCMソングでブレイクしたBENNIE Kの新譜「Japana-rythm」が気に入ったので、一つ前のアルバムも買ってみた。Japana-rythmより音はだいぶシンプル。ブレイク前後で制作費が数倍違うのではなかろうか。でも、ちょっとチープな感じもヒップホップぽくてよい。

ヒップホップとはいうが、結構ロケンロールな曲もよいし、ポップでキャッチーな曲もあるし、R&B風の曲もなかなかである。歌詞は何を言ってるのかよく聞き取れないので歌詞カードを読んでみても英語日本語混じりでやっぱりよくわからない。でもわけがわからないなりのエネルギーが感じられる。

Japana-rythmもそうだが、いろんなラッパーを呼んで「コラボ」しているのは不要。次からは本人たちだけで頑張ってもらいたい。

「意味がなければスイングはない」村上春樹2005年12月11日

元ジャズ喫茶マスターの著者がジャズ、ロック、クラシックのミュージシャンについてかなり深く語っている本。人選が渋めであまり興味が持てないなと思いつつ読んでみたら、意外に面白かった。

良い音楽とそれを生み出す音楽家の生活や社会状況との関わりについて掘り下げていて、それぞれ短い伝記のような感じになっている。創造性とか表現ということについて色々考えさせられた。何かを生み出すにはすごいエネルギーが必要だが、その源には自分の中の欠落を埋めたいという切実な動機があるのだろうか、とか。

日本からはナゼかスガシカオが選ばれている。歌詞を結構気に入っているようだ。村上春樹が前からいいと言っていたので、僕もアルバム1枚買って聴いてみた。ファンクっぽい打ち込みポップ。まあ緻密だし面白い音楽ではある。歌詞は全然聞いていなかったので、今度よく聴いてみよう。

この本を読んで、ビーチボーイズ「サンフラワー」(今は「サーフズ・アップ」と合わせて1枚のCDになっている。しかも1000円くらい)、ウィントン・マルサリス「シック イン ザ サウス」、ブルース・スプリングスティーン「ザ ライジング」、ウディ・ガスリー「ダスト ボウル バラーズ」(今は「リジェンダリー パフォーマー」というタイトルになっている)を買うことにした。

「無思想の発見」養老孟司(ちくま新書)2005年12月24日

養老先生の本はほとんど読んでいるが、これは特に面白い方だった。唯脳論以来、先生は現代社会に批判的なことを言いつつ、「じゃあどうすればいいか」については「自分で考えろ」という態度で一貫していた。それが、この本では初めて(?)「じゃあどうするのか」についても述べておられる。

そもそも先生は日本の社会についていろいろ言いつつ、常に「オレは虫取りさえできればいい、先も短いことだし後のことは知らん」という態度だったが、とうとう日本を憂い、日本の無思想を守りたいとまで仰る。日本には思想が無くて、その代わりに身体技法がある。その方がいいのだという。

小脳論的にいうと、思想は大脳が生み出すもので、身体技法は小脳が生み出すものである。身体技法の方がいいというのだから、養老先生も小脳派なわけである。先生は「脳か身体か」という見方で考えておられるのだが、それは実は「大脳か小脳か」なのだというのが小脳論なわけです。

韓国のり2005年12月30日

この前、寝る前に焼酎を飲もうと思ったらアテが無く、ふと思いついて韓国旅行の土産にもらった海苔をパリパリと食べてみたら予想外に具合が良かった。油が塗ってあるのでアッサリし過ぎず、振ってある塩の加減が酒にぴったり。