「A Bigger Bang」The Rolling Stones ― 2006年05月06日
ストーンズのCD(レコード)を買うのも聴くのも初めてだが、意外性が全く無い。さあありゃああすふぁああくしょんんん、の頃と全く変わらずミック・ジャガーの歌と曲はカッコイイ。すごいなあ。
ストーンズの音楽はエモーショナルという形容がぴったりだと思う。エモーショナル・レスキューという曲は結構好きだったけど、僕はエモーショナルな表現があまり好きではない。感情を表現するのはいいのだが、感情的な表現というのは何だか疲れる。
ストーンズをじっくり聴く時に問題になるのはドラムである。スネアやバスドラのリズムが時々ずっこけるのでとても気になる。岡本太郎の「芸術は綺麗であってはならない、上手くあってはならない。」という発言を思い出す。あるいは利休の欠け茶碗みたいなもんでこれがいいのかなあ、などとといちいち考えてしまう。でもそういう次元の問題じゃないような気がする。
このアルバムは楽しめたし、末長くがんばっていただきたいとは思うけど、ストーンズの音楽はこれからも永久に変わならいと思うので、今後買うことはないでしょう。
「盾シールド」村上龍 ― 2006年05月10日
うーん。吉本ばななも推薦してたので買ってみたが、どうもピンと来ない(だから吉本ばななに対する評価も下がった)。言ってることは大体わかるのだけど「シールド」というコンセプトは何か違うと思う。僕自身のことを考えると「自分の心の中心にあるやわらかく傷つきやすいもの」なんか守ったりしていない。それはプライドというヤツなのではないだろうか。シールドというと新しい概念のようだが、プライドを言い換えただけじゃないだろうか。
作者はより安全なシールドとは何か、というようなことを考えているみたいだが、シールドなんか持とうとするとリラックスできないような気がする。問題はいかに脱力できるかである。
「おわりに」と称して作者が解説みたいなものを書いているのもいただけない。解説が必要になるのは作品自体で語り尽くせていないからである。
「The Little Willies」 The Little Willies ― 2006年05月18日
ノラ・ジョーンズのバンドがカントリーをやっている。うちの奥さんが欲しいというので買った。速い曲は2ビート、遅い曲は6/8というカントリーらしいリズムで素朴な感じ。なかなかよい。カントリーだけどややジャズっぽいというか都会的洗練が感じられる。よく考えたら、キーボード、ギター、ベース、ドラムというバンド編成で、フィドルやバンジョーといったカントリーらしい楽器は使ってないのだった。いってみれば「ややカントリーに寄ったノラ・ジョーンズの新譜」。ただしもうひとり男のボーカルも歌っている。
マメ知識:ノラ・ジョーンズの父はジョージ・ハリスンのシタールの師匠であるラヴィ・シャンカールだそうだ。
「3121」 Prince ― 2006年05月30日
宇多田ヒカルが「最近はまっている」と書いていたので購入。最初はイヤホンで聴いたせいで「密室感」みたいなのが強すぎで全然ダメだと思ったのだが、2回目にスピーカーを通して聴いたら結構良かった。Princeにしては(といってもよく知らないのだが、僕のイメージでは)あまり実験的じゃなくてわりと素直なファンクである。その後はハマるというほどではないけど時々聴いている。
だいたい僕はこういう「独りシコシコ系」はあまり好きじゃないのだが、よく考えてみると、今面白そうなことをやっているのはベックとか日本ではスガシカオとか、打ち込みのリズムトラックに独りでいろんな楽器をダビングしてサウンドを構築していく「お宅ファンク系」とでもいうような人たちである。僕の好きな人でいうとタツローさんだってそうだし、宇多田ヒカルの曲の録音も(独りでではないが)それに近い。
僕はバンドサウンドが好きなので、そういう方向性がずっと受け入れられなかったが、どうしようもなくデジタル化が進む今の時代の表現としてはピッタリなのかも知れないと思うようになってきた。
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