余市 10年2006年11月09日

僕は輸入食料品を買うのは好きだが、輸入すると輸送のために余計なエネルギーがいるから国産で済めばそれに越したことはないと思っている(スーパーで野菜を買う時もなるべく近くで採れたものを買うようにしている)。そういうわけで、シングルモルトを飲むにしても日本産で満足できればその方がいいので、日本産も試してみる。

サントリーの山崎、白州はイマイチだった。同程度の年数のスコッチに比べると、なぜじゃ口当たりがピリッとしていて、そのピリピリ感に味が隠れてしまっているような気がした。今度はニッカの余市。昔からウィスキーはサントリーよりニッカの方がうまいというのが通説だが、これはどうだろうか。この前、朝日新聞の日曜版にニッカのウィスキーを最初に作った竹鶴さんの話が出ていたのを読んで、ストーリー的には申し分なしである。

こちら余市10年もややピリッとした感じはあるが、サントリーほどではない。結構スモーキーかつクリアな味でなかなか良い。でも、スコッチ・シングルモルトのような「何これ?」的な個性は無い。日本のシングルモルトなんてそんなに種類があるわけではないので、しょうがない。個性とは多様性の一部ナリ。

(追記)余市が目指したのはタリスカーではないだろうか。

「LOVE」 ビートルズ2006年11月13日

ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーチン(とその息子)がビートルズのいろんな曲の音源をトラックごとに分け、再び組み合わせてサーカスのBGMを作ったもの。試聴できるようになったので、聴いてみた。

4曲がフルコーラス聴ける。ピッチを変えているのか、キーの合う曲を選んだのか、別の曲をうまくツギハギしていて面白い。テンポもうまく合わせている。作り方を知りたくなる。1回全部の曲を聴いてみたいとは思うが、繰り返し聴くようにはならないのではないかな。今のところ買わないことに決定。

東芝EMIは「ビートルズ最新作」と称しているが、ちょっと無理があるんではなかろうか。本家はそんなこと言っていないようだ。US盤が1780円なのに、日本盤は2800円もする。歌詞に和訳をつけて1000円も取るのか。DVDオーディオ付きのスペシャル盤はUSが2480円に対して日本盤は4200円! リアル店舗でもネットでも輸入盤がこれだけ簡単に手に入る時代に、何でそんな高いものを買う人がいるのだろう。

ちなみに僕がアマゾンで海外アーチストのCDを買う時は、アーチスト名でしっかり検索して基本的に一番安いバージョンを選んでいる。邦題と原題が違うとか、カタカナとアルファベットの違いとかトラップがいろいろあってややこしいけど、バージョンによって値段が何百円も違うから手間をかける値打ちはある。

「まともバカ」 養老孟司 (だいわ文庫)2006年11月15日

養老先生はオタクキャラである。解剖学が専門で昆虫採集マニアでもあるから自然系オタクなわけだが、実はゲームや漫画が大好きなサブカル系オタクの要素もある。

漫画は絵と文字をいっぺんに読むところが日本独特の文化だとか言っていて、「マンガをもっと読みなさい」という本を出し、今月オープンする「京都国際マンガミュージアム」の館長にまでなってしまった。

ゲームについては、養老先生の弟子である美術評論家の布施英利さんから直接聞いたのだが、先生は研究室のパソコンで何時間もゲームに熱中することがあったそうだ。

この本の中にゲームを擁護している箇所がある。ゲームは仮想現実の世界だが、そもそも我々の住んでいる都市というものも仮想現実の世界であり、コンクリートで都市を作るよりゲームの中の世界を作る方が建設コストがかからなくて良いだろうという理論である。

そして、オンラインの仮想現実だったらブータンからでも東北の山奥からでもアクセスできるのだから、田舎に住めとおっしゃる。田舎に住んで実生活では自然に触れて不自由な生活をし、思うようにしたいという欲望はコンピュータ上の仮想世界で解消するべし。要するに晴耕雨読である。

なんか養老先生個人にとっての理想を普遍化しているような気もするが、よく考えたらこれは名案で、環境、教育、経済など様々な問題に対して新しい展望が開けそうである。

「バカの壁」3部作は口述本だったが、この本も講演の記録だから同じ系統で、スラスラ読める。

ラフロイグ 10年(カスクストレンクス)2006年11月26日

煙くさく薬くさいアイラ産モルトはボウモアで充分だと思って、もっと薬くさいと言われているラフロイグには手を出していなかった。しかし飲んでみるとこれが旨い。たしかにヨードチンキのようなクレオソートのような消毒薬の臭いは強いが、麦芽の味が他のウィスキーよりもはるかに濃い。気に入った!

スモーキーさもなかなかのもので、飲んでいる時よりも、飲んだ後で自分の息が煙っぽくなって鼻に抜ける感じが強く、それも長く続く。この感じは前に経験があるなあ、と思ってよく考えたらタバコを吸っていた時の感じである。洋モクの甘い煙の臭いに似ている。これって身体に悪くないんだろうか? ちょっと怪しい。

アイラモルトのヨード香というのはクセになる人はなるらしいが、ダメな人はダメだろう。僕は別に気にならないが、特に好きなわけでもない。煙くさい感じは大好きである。それよりこの酒はモルトの味が濃いところが気に入った。でもカスクストレンクス(樽出し原酒)だから57度もあってきつい。ほんのちょっとで酔っ払ってしまう。この味の濃さは原酒ゆえなのだろうか。まあ、水で割れば良いのだが。次は普通の40度のラフロイグを買ってみよう。