ブッシュミルズモルト 10年2007年01月23日

今までに試したウィスキーは全て、スコッチとその真似である日本のシングルモルトだったが、このブッシュミルズモルトはアイリッシュウィスキー。スーパーの酒売り場にはなく、品揃えの良い酒屋で見つけた時に買った。

アイリッシュがスコッチと違うのは、麦芽を煙で燻していないためにスモーク味が全くないこと。これはかなり大きな差だ。スコッチシングルモルトの世界では、大雑把にいってスモーキーさとモルトの甘みが比例しているようなので、「スモーキーではないのにモルトの甘みはある」というこの味わいは新鮮に感じられる。

もうひとつスコッチとアイリッシュの違いがある。スコッチの蒸留回数は2回だが、アイリッシュは3回蒸留するそうだ。そのせいで口当たりがとても滑らかである。ふーん、蒸留回数で口当たりが違うのか、と思いつつよく考えたらこれは焼酎の甲類乙類の関係と同じだ。乙類(いわゆる本格焼酎)は1回蒸留で味が濃厚、複数回蒸留した甲類は原料の味が無くなってスッキリしている。

そういうわけでこのブッシュミルズモルトはスッキリとシンプルな味である。麦芽の甘みと樽の木の香りだけが感じられ、しかもそのバランスが素晴らしい。正月にお屠蘇として飲んだらお節料理にぴったりだった。でも、味の濃い食べ物には合わないと思う。味の濃い料理の場合は、食後に肴無しで口直しとして飲みたい。口の中に長いこと木の香りが残るのが良い。