人口問題2007年02月01日

柳沢厚生労働大臣が講演で少子化問題について語ったときに女性を「子供を産む機械」と表現したことが問題になっているが、これは表現の是非以外にも突っ込みどころの多すぎる発言だ。

まず「人口を増やすには女性一人あたりたくさん子どもを産んでもらうしかない」という発言の主旨が間違っている。女性が産む子どもの人数が変わらなくても、出産年齢が下がれば短期的には人口が増える。

それ以前に「人間の頭数さえ増えれば良い」という考え方は、女性に限らず人間全般を何かの目的のための手段と捉えているわけで、根本的に間違った態度である。

そもそも人口が減るのはそんなに悪いことなのか? 環境、食料、資源など様々な問題において人間の数が少ない方が有利である。人数が少ない方が集団に埋もれにくくなって一人一人の値打ちが上がるという考え方もできる。

僕が思うに少子化は気まぐれに起こっているのではなく、近代化の進展による必然だと思う。近代化によって世の中が複雑になると、子どもを育てるのも難しくなるし、それ以前に大人が生きていくだけでもしんどい。小手先の政策でどうにかなるものではないだろう。産めよ増やせよとか言っていれば済むと思っているんだろうか。

カツ丼2007年02月08日

「ためしてガッテン」でカツ丼の話をしているのを見て一応要点を記憶に留めていたら、次の週くらいに「チューボーですよ」でもカツ丼をやっていた。最近夕食の献立に悩んでいたところなので、カツ丼を作ってみることにする。

カツを揚げるのは面倒だが、ガッテンの作り方だと100ccの油でフライパンで揚げるというのが簡単でよい。さらに、豚肉にパン粉をつけるのも手間だが、スーパーの肉売り場でパン粉付きの豚肉というのを発見したのでそれを買ってきた。なおかつ、ダシを作るのも「ヒガシマルちょっとどんぶり」を使って省略する。あとはタマネギをスライスするだけだ。

作ってみるとこれは簡単。10分くらいでできる。しかもうまい。家族にも好評だった。どちらの番組でも言っていた重要なポイントは、卵とじにするときに卵をほとんどかき混ぜないことのようです。

「Scratch」 木村カエラ2007年02月10日

これはGOOD。前の2作よりサウンドの完成度が高くて楽しく聴ける。なんか雰囲気がYUKIの世界に似てきたような気がする。前作「Circle」の感想で僕が言ったとおりになりつつあるのではないか。

QUEENの真似をしている「SWINGING LONDON」という曲がなかなかよくできていて面白い。やっぱり一人多重コーラスをうまくやるのがポップの鍵だ。この曲の作曲者はYUKIの曲の半分くらいを書いている蔦谷好位置である。他の曲も調べてみると、Jez Ashurstというイギリスのミュージシャンが2曲書いていて、この人もYUKIの「joy」に1曲提供している。なるほど、スタッフ人脈からしてYUKIに近づいているわけである。

あと、このアルバムは音が良い。洋楽みたいである。日本で録音しているが、レコーディングエンジニアが外国の人のようだ。録音したスタジオは前作とだいたい同じのようだが、同じ機材でもエンジニアによって違うんだなあ。

例によってDVD付きでプロモーションビデオ3曲とライブ7曲が入っているのだが、ライブパフォーマーとしてのカエラちゃんはまだちょっと年季が足りない気がする。

「ベートーヴェン 悲愴・月光・熱情・告別」 アルトゥール・ルービンシュタイン2007年02月13日

昔、ビリー・ジョエルが「This Night」という曲(アルバム「An Innocent Man」)で「悲愴」の第2楽章のメロディーを使っていた。なかなかいいメロディーなので「悲愴」を弾いてみようと思って楽譜を見たら、C#mという黒鍵の多い調で、バイエル修了の腕では簡単ではなく挫折した思い出がある。

その程度の人間がいうのもナンですが、ルービンシュタインさんの演奏はちょっと気に入らない。そりゃまあ華麗なテクニックと柔らかいタッチで自由自在に弾いているのはわかるのだが、どうもリズムが不安定だし細部がいい加減なように聞える。ベートーヴェンの曲が最初から最後まで生真面目なのに対して、演奏はちょっと違う性格である。ある意味、人間味があるという見方もできるとは思いますが。

ところで、「悲愴」第3楽章のメロディーも何だか聞き覚えがある。よく考えたら阪神の浜中の応援歌だ。さすが、ベートーヴェンはいろんなところに影響を与えているようだ。

 → グールドのベートーヴェンの感想はこちら

「このストレスな社会」 橋本治2007年02月24日

「広告批評」誌の時評「ああでもなくこうでもなく」シリーズ第5巻。政治やスポーツや社会的な事件についていろいろ語っていて、いつもどおり面白い。アルビン・トフラーと橋本治さえ読んでおけば、今の世の中がどうなっているのかが大体判るような気がする。僕が考えていることと重なる部分も多くて勇気付けられる。

今までの4巻と比べてみたわけではないが、今回はちょっとだけポジティブな話が多かったような気がする。著者が肯定的に評価しているのは、アテネオリンピックの体操男子チームとイチローと村主章枝とオシム・ジャパンで、全部スポーツ関係だ。彼らの活躍はこれからの日本人のあり方のヒントになるという。スポーツ選手から学べというのだから、小脳論に近いわけである。