ビール合戦2007年04月09日

最近、キリン・ザ・ゴールドとエビス・ザ・ホップという気合の入っていそうな新製品が相次いで出たが、結論から言うとどっちもまあ方向としてはOKである。1年前、僕は「キリンはハートランドを缶で出すべし、エビスはもっとホップを効かすべし、」と書いたのだった。

ハートランドはきれいな緑色の瓶に入ったオールモルトビールだが、一部の酒屋にしか置いていない。キリンはいわゆるプレミアムビールとしてブラウマイスターというのも出しているが、こいつはドイツ語の名前を名乗っているくせに米か何かを使っているのである。キリンはラガーにしても一番搾りにしても、なぜか米とかスターチを使うのが好きで、麦芽のコクがあまり無い。ハートランドは旨いんだから、あれを缶で出せばいいじゃないか、というのが僕の意見であった。

エビスはホップの使い方に問題がある。以前、1年半ほど自分の作ったビールだけを飲み続けた経験のあるワタクシにご説明させていただくなら、ビールに使うホップには、苦味担当のビターホップと、香り担当のアロマホップがあります。エビスはホップが効いていることは効いているのだが、苦いばっかりで香りが無い。アロマホップをケチってるんじゃないの?と思ってしまうわけである。

キリン・ザ・ゴールドはちゃんとオールモルトだし、エビスはちゃんとアロマホップを効かせてきた。これはサントリー・プレミアム・モルツのヒットによって、業界の目が覚めたということだろう。ビールというのはモルトのコクとビターホップの苦味とアロマホップの香りのバランスによって成り立っている、という基本を日本のビール業界も思い出したのだ。

この前、キリンが復刻ラガーというのを出していた。明治ラガーと大正ラガーがあって、原材料を見たら、明治は麦芽とホップだけ、大正はそこに米が加わっている。今のラガーは更にスターチが加わるわけで、つまり時代とともに混ぜ物が増えてきたのである。これは「薄い味の方がたくさん飲むだろう」という販売戦略と、「モルトより米やスターチの方が原料代が安くなる」という経済原理によるものではないかと僕は疑っている。

ところで、僕は1年前に「アサヒは当分スーパードライでいくしかないからしんどいだろうな」とも書いたが、キリン・ザ・ゴールドが売れたらますますしんどくなる。アサヒはプレミアム・モルツに対抗してプライムタイムというのを出したが、プレミアムモルツやエビスと違ってコクはあまり無い。その代わり香りが良いのだが、ホップの香りではなく大吟醸酒のようなエステル香である。これはこれでうまいビールであることは間違いないが、苦戦しているようで、スーパーの棚に置いてある量も少ないしプレミアム・モルツより大分安く売られている。スーパードライをオールモルト化するのは”KARAKUCHI"じゃなくなってしまうから無理だし、いつスーパードライを見切ってオールモルトの新製品を出すのかが問題だ。キリンやサントリーがモルトビールでシェアを固めた後で出したら結構苦しいだろう。どうする、アサヒ?

「ダブル ドライブ」 井上陽水奥田民生2007年04月27日

前作「ショッピング」が出てからもう10年にもなるのか。10年前というと、ちょうど僕がいろいろ悩みつつ「小脳論」を書いた頃で、自分も世の中も結構暗かった。時代状況を反映して「ショッピング」は地味で渋めの曲が多かった。歌詞も日常の世界をややシュールに描いていて、暗い世の中を生き延びることについてさりげなく示唆的だった。

それに較べると今回はかなりポップな曲が多くて、明るくお気楽な感じがする。何曲か女声コーラスも入っている。歌詞は日常生活を離れてヨーロッパやら砂漠やら南の島やら世界各地に飛び、シュールさの度合いもややアップしている。

前作の「アジアの純真」では「これからは中国との関係が重要になるでしょうね」と宣言していたが、今度は「京都に電話して」という曲で「世界中が日本文化に注目してるよね」と陽水さんが言っている(ように僕には聞こえる)。

「アジアのジュンシン」は撥音(ン)を並べた歌詞だったが、「キョウトに電話して」は拗音(ャュョ)を多用している。この2曲の歌詞は言葉の響きを優先した自由連想法で作られていて、どちらもアルバムのメッセージの鍵になる曲である。...ような気がする。

ビートルズ・フォロワーなのは相変わらずで、曲の半分くらいはビートルズっぽいが、他にもいろんな雰囲気の曲を自由にやっている。ジャック・ジョンソンみたいな曲もある。歌詞も相変わらず意味を捉えにくい曲が多いが、よく判らないがゆえに何度も聴きたくなる。サウンドも単純そうで隙がなく、古そうで新鮮。いくら聴いても飽きない、かなり面白いアルバムだと思う。

それにしても「MOKKO」って何? 全然わからん。

阪神 7 - 2 ヤクルト (4/25)2007年04月28日

息子の友だちから電話が掛かってきて、ヤクルト戦の切符が2枚あるけど要りませんかと訊かれた。お父さんの仕事の都合で行けなくなったのだという。最初はありがたく僕と息子で行こうかと思ったが、その友だちも連れて行ってやることにした。当日券があるようなので、僕は自分で切符を買うことにする。

切符はレフトスタンドの席だった。当日券売り場のおばちゃんに見せて、この近くの席を1枚下さいと言うと、横に100席くらい離れた席の切符をくれた。

スタンドに入ってから息子たちと別れ、一人で打撃練習を見ていると雨が降ってきた。小雨なので頭にタオルを被ってぼんやりとグラウンドを眺めていると、中学生の頃に一人で来た時の気分を思い出した。甲子園球場の雰囲気は30年前からあまり変わっていないが、よく考えると細かい変化もいっぱいある。

1、昔は外野席の前にラッキーゾーンがあった。

2、昔は電光掲示板などというものはなくて、手動式のスコアボードだった。

3、昔は外野の芝生が秋になると枯れていたが、今はオーバーシーディングで冬でも青い。

4、昔はトラッキーはいなかった。

5、昔は選手ごとの応援歌はなかった。

6、昔は相手チームのファンがもっとたくさんいた。

7、昔はスタンドが禁煙ではなくて、暗くなると立ちのぼるタバコの煙がライトに照らされてよく見えた。

その他、いろいろ。

それにしても、やっぱりテレビで見るのとは違う。いろんなことがわかって面白い。今回の発見は、ランナーがいる時、キャッチャーがピッチャーに球を投げ返すたびに、セカンドとショートが2塁ベースに寄っていくこと。ピッチャーが取りそこなる可能性を考えてバックアップしているわけだ。野球に限らず、そういうほとんど無駄な労力のように見える手間を惜しまないのがプロのあり方である。

ところで、ヤクルトのセンター青木は思ったより身体がごつい。特に下半身がかなり太い。それから、林威助の打球は鋭い。青木くらい打てるように頑張れ。

攻守交替のたびに赤星と金本がキャッチボールをするのだが、赤星が山なりの緩い球を投げるのに対してアニキは速い球を返すのがおもしろかった。

試合の途中で雨がひどくなり、2イニングくらいはスタンドの裏で雨宿りをした。雨の中、下柳がなんとなく好投して、打線もいつの間にか7点取って、終わってみれば快勝。4安打の今岡がヒーローインタビューで「みなさん、雨に濡れて風邪を引かないようにして下さい」と言う。

息子たちを探しに行くと席にいない。ケータイに電話をして出口で待ち合わせる。前の方の席が空いていたから移動していたとのこと。たくさん点が入ったし六甲颪も歌えて満足したようだ。