「バッハ:ゴルトベルク変奏曲(’81)」 グレン・グールド2007年10月01日

'55年のデビュー盤に比べて、このアルバムはデジタル録音だから音が良い。音楽は音質の問題じゃないよという考え方は僕の中にもあるが、やっぱり音質がいいと聴く楽しみも増すものだ。音楽の3要素はリズム、メロディー、ハーモニーだというが、それ以外に「楽器の音色」というのもかなり重要だと思う。録音がいいと、音色もよくわかる。例の鼻歌もよく聞こえる。デビュー盤の演奏とは全然違って落ち着いた演奏だが、歯切れの良さは変わらない。

グールドがこの曲を弾いている映像を発見した。低い椅子に座って、かなり変則的な姿勢で弾いている。昔、中村紘子さんがNHK教育TVのピアノ教室で(僕の記憶では)「フォルテを弾く時はこうやって体重を掛けなさい。♪ガーン(親指を立てて真ん中のドを強く弾く音)」と指導していたが、このグールドの姿勢だと体重を掛けるのは不可能だ。グールドは普通より指の第二関節をよく使っているようにも見える。

さて、去年の暮れ頃に始まった僕のクラシック・ブームは、途中からグールド・ブームに変わり、グールドをひと通り聴いたところで終息しつつある。グールドのピアノは仕事のBGMにぴったりなので今後も聴くけど、他のクラシックにはあまり興味が深まらなかった。グールドは僕のポピュラー音楽耳でも楽しめる。クラシックの範疇からはみ出てるところがいいのかな。

 → ゴルトベルク変奏曲('55)

毛虫との闘い2007年10月04日

花壇に植えてあるメープルに毎年夏になると毛虫が発生する。黄緑色でトゲトゲのある派手なヤツらだ。「昆虫エクスプローラ」の「幼虫の図鑑」で調べると、イラガの幼虫のようだ。

木酢液をスプレーして半日くらいたつと下に落ちている。いつもはまだ5ミリくらいのうちに発見して対処するのだが、今年は気付いた時には2センチくらいになっていた。こいつらは葉っぱをギャル曽根のように食べまくるのである。食べまくって木の下の地面に2ミリくらいの糞を落とす。

地面が糞だらけになっていると奥さんに指摘されてから、毎日50匹くらい1週間駆除し続けたが、その間に2回刺された。木の下に停めた自転車を動かそうとしたら、自転車のサドルの横にいたのと、木の幹にいるやつを棒で落とそうとしてときに別のヤツを触ってしまった。刺されると蜂に刺されたのと同じように痛いが、水で洗って痒み止めを塗っておいたら、わりとすぐに痛みは消えた。

毛虫が全部いなくなったときには葉っぱはほとんど完食されていた。黄色に紅葉するのを楽しみにしているのに、丸裸に近い。まあ、落ち葉を掃除する手間が省けることにはなる。幹にはサナギの抜け殻がたくさん残っている。成虫になったヤツはどこに行くのだろうか。家の周りでは見かけないのに、いつの間に卵を産むのか謎だ。

アイリッシュ・シチュー2007年10月05日

この前、昼間のワイドショーを見ていたら、料理コーナーでじゃがいもと豚肉のシチューというのをやっていて、旨そうだったので夕食に作ってみた。

テレビでは料理の先生が、この「じゃがいもと豚肉のシチュー」は肉じゃがの元になった料理でアイリッシュ・シチューというのだと説明していたが、ググッてみるとちょっと違う。日本海軍でビーフシチューを作ろうとして醤油味になってしまったのが肉じゃがのルーツだという説が有力である。それと、アイリッシュ・シチューの肉はラムらしい。それはともかく、この料理はウィスキーと押し麦を入れるところがアイリッシュっぽくて旨そうな気がする。

豚バラのブロックの代わりに薄切り、押し麦の代わりに麦主体の「雑穀ご飯の素」を入れ、ブーケガルニはローリエだけで済ませる。レシピにじゃがいもの量が無いが、男爵を3個入れた。味付けは「ブイヨンの素」を使うのだが、「マギーブイヨン」の表示を見ると原材料は「食塩、砂糖、粉末醤油・・・」とある。5番目に牛脂が出てくるが、味のメインは醤油のようだ。なんか騙されたような気がする。ウィスキーはアイリッシュのブッシュミルズモルトを使った。

結果はやっぱり豚肉を使った肉じゃがみたいなものだが、雑穀が入っているので煮汁がオートミールみたいになる。ちょっと麦の香りがして旨い。

ドライヤー2007年10月06日

この前、風呂上がりに頭を乾かそうとヘアドライヤーのスイッチを入れたら、一瞬だけ「ヒュン」とモーターの回る音がして、それっきりウンともスンともいわなくなってしまった。寿命が尽きたのだろうか。大学に入って一人暮らしを始めるときに買ったから、26年使ったことになる。

最近のドライヤーは軽いプラスチック製でスイッチもチャチなスライド式だが、こいつはステンレス製でスイッチはカチカチと押し込むメカニカルなやつである。僕はこういう旧式な製品の方が好きだ。

数年前に「昔のドライヤーにはアスベストが使われていた」という報道があり、メーカーにメールで「これこれの型番のドライヤーにアスベストは使われていますか?」と問い合わせたことがある。数日後に、技術屋と思われる気の弱そうな声の青年から電話が掛かってきて、アスベストは使われていませんと教えてくれたので、安心して使い続けていたのだった。

モーターが壊れたのならしょうがないが、コードが切れただけなら直せるかも知れないので、一度分解してみることにした。ネジを2本はずしてグリップをパカッと開ける。テスターでコードの導通を確かめると、片方のラインが断線している。コードの根元の部分が長年の使用によって変形している。カッターで切り裂いてみると、やっぱりそこが切れていた。

被覆を剥がして銅線を繋ぎ、半田で固めておく。熱収縮チューブで被覆して一丁上がり。グリップを元通りに組み立てて、コンセントに繋ぐと、ちゃんと動いた。直って良かった。

外付けハードディスク・トラブル その12007年10月09日

奥さんのキッチン・パソコンに繋いでいたデータ保存用の外付けハードディスクが、数ヶ月前に動かなくなってしまった。僕の仕事用パソコンに繋いでいろいろ試してみたが、アクセスランプも点かないしハードディスクが回る音もしない。メーカーの保障期間はとうに終わっているので、修理するより買い換えた方がましかもしれない。

このハードディスクには主にiTunes用の音楽データを入れていた。CD300枚分くらいは入れたので入れなおすのも大変だが、それはまあしょうがない。ところが奥さんが言うには、過去5年分くらいの(つまり我が家でデジタルカメラを使い始めてからの全ての)写真データが入っていて、まだ半年分くらいしかCD-Rにバックアップを取っていないらしい。これは修理するしかない。

メーカーのウェブサイトを調べてみると、修理の際にはデータは全て消去しますと断言してある。データを復旧したいなら専門業者に頼めとのこと。それで専門業者を調べると、料金がとんでもなく高い。故障内容やデータ量にもよるが何十万円もする。いくら思い出の写真が貴重だといっても、これは出せない。それなら、自分で修理するしかない。

とにかく分解してみることにする。でもケースを開ける方法が分からない。どこにもネジがないのだ。そこでググッてみると、ありがたいことに分解方法を教えてくれるサイトがあった。写真入りで説明してあるとおりにやると、簡単に分解できた。

外付けハードディスクの中身はすごくシンプルで、ハードディスク本体のユニットと、駆動用の基板と、USBコネクタ接続用の基板があるだけだ。基板のどこかが短絡したりどこかの端子が外れたりしていないか見てみたが、何も発見できない。

さらにまたググッてみると、「ジャンクハードディスクの復活法」というのを見つけた。要は、基板が駄目になったハードディスクと同じ機種で「基板は大丈夫だがハードディスク本体が駄目になったもの」を手に入れて、大丈夫な部分どうしを合体するというわけである。ジャンクはヤフオクで手に入れる。なるほど。

ヤフオクを数週間見たがジャンクが現れないので新品を買うことにする。価格コムで値段を調べてからアマゾンで注文すると数日で届いた。早速、故障したヤツと新品を両方分解して、基板を入れ替えてみる。パソコンに繋ぐと故障したハードディスクのモータが回るブーンという振動が手に伝わってきた。やった!

と思ったら、パソコンから認識していないし、アクセスランプが変な具合に点滅している。説明書を読んでもこんな点滅の仕方のことは載っていない。メーカーのサイトをいろいろ検索した末に、この点滅の仕方は故障を現しているということが分かった。ガクッ! その記事を見つけるのにすごく苦労した。そんなことは説明書にも書いておくべきだ。

そういうわけで、話は振り出しに戻る。写真データを取り戻すにはデータ復旧業者に頼むしかないのか。とりあえずまた調べてみるが、やっぱりどこも高い。どこか手頃な値段でやってくれるところはないかと執念で探し続けると、他よりかなり安いところを発見した。安いといっても数万円。5年分の写真の値段としてはギリギリのところか。こんなに高いのに、他が数十万円なので安すぎて怪しいと感じてしまう。大丈夫だろうか。

それから2ヶ月ほど経ったが、他に方法も見つからない。もういちどこの業者のウェブサイトに書いてあることを詳しく読んで検討した結果、思い切って見積もりに出してみることにする。データ返却用に新しい方のハードディスクと一緒に宅配便で送ると、次の日に受付完了のメールが来た。2週間くらいで料金と復旧ファイルのリストを送るとのこと。

大事なデータは必ずバックアップを取りましょう! ていうか、春に僕のパソコンが故障して、ちゃんとバックアップを取ると誓ったのではなかったか。うーん、あのときは仕事関係のデータのことしか思いつかなかったのだった。

「走ることについて語るときに僕の語ること」 村上春樹2007年10月22日

村上春樹がなぜ走るのかについて書いているのだが、ひとことでいえば長編小説を書くための体力作りに走っているわけである。村上さんは作家になったのと同時に走り始め、毎年フルマラソンを走っているそうだ。この本は作家になって以降の自伝みたいなものである。

今までのエッセイに断片的に書かれていた話も多くて、あまり目新しい内容はない。音楽でいうと過去の曲を録音しなおしたベスト・アルバムのような雰囲気だ。そういうのもそれなりに面白いものである。文体は今までの村上朝日堂エッセイのお気楽な雰囲気ではなく、何かリアルに迫ってくるものがあった。

ところで、僕は20年くらい前に探偵スペンサーと村上春樹の影響でジョギングを始めたことがある。10時ごろに会社から帰って寮の食堂で夕食を食べてから、近所の川沿いの暗い道を4キロ毎晩走った。会社で地下のロッカーから4階の居室まで階段を駆け上がっても息が乱れないようになったが、1ヶ月ほどで膝が痛くなって挫折した。

それ以来めったに走らなかったのだが、この本を読み終わったら妙に走りたくなって1キロほど走った。やっぱり膝が痛くなってきたので帰りは歩いたのだった。

「honeycreeper」 パフィー2007年10月23日

アメリカで人気が出てから日本でも人気復活のパフィー。タイアップ曲が4曲入っている。前作同様、なんかパワフルである、味が濃い感じがする。歌が上手くなったからか、アメリカ市場を意識して力が入っているのか、昔より脱力感が減った。

最近は奥田民生の曲がアルバムに1曲しか入ってなくて残念だ。脱力感がパワーダウンしているのは、タミオの全面的なバックアップが無くなったからだろうか。しかしそのタミオ師匠の方も近頃はだらだら感があまりない。だんだん業界内の大御所的ポジションになってきたからか。

iTunesデータベースのジャンルは「Alternative&Punk」になっている。前作は「Rock」だった。もっと前のタミオプロデュース時代は「Pop」だった。パフィー周辺が入力しているとすれば、だんだんアーチスト志向になっているといえる。リスナーの誰かが入れているとしても、聴こえ方がそういう風に変わってきているわけだ。

パフィー本人たちがそういうサウンドが好きなのか、スタッフの考えなのか、また今後どういう方向に行くのかはわからないが、パフィーは曲を作っているわけじゃないので、RockとかAlternative&Punkと称しても結局「そういうサウンドに乗せたポップ」なんじゃないかと思う。Popでいいやん。

豚肉とサツマイモの煮物2007年10月30日

この前テレビで見た「栗と豚肉の煮物」を作ろうと思ってパック入りの剥き栗を買っておいたのだけど、いざ料理しようと冷蔵庫から取り出したら何かぐちゃっと潰れて様子がおかしい。消費期限を見るとはるかに過ぎていた。急遽献立を変更しなくてはならないが、冷蔵庫の野菜庫には代わりになりそうな野菜がない。

勝手口の外の棚を確認したらサツマイモがあった。豚とサツマイモというと豚汁を思いつくが、栗と豚の煮物に近いものにしたい。「豚肉 サツマイモ」でググッてみると、「豚肉とサツマイモと杏の煮物」というレシピを発見したので、それをアレンジして作ってみることにする。

豚肉200gをゴマ油とおろし生姜で炒めてから、1センチに切ったサツマイモ2本とニンジン半分を入れて酒50ccで煮る。沸騰したら水300cc、砂糖小さじ1、ヒガシマルうどんスープの素1袋を投入。再び沸騰したところで味を見ると、ゴマ油が香ばしくて予想外に旨い。10分経ったらインゲン70gを入れて、あと5分煮て完成。

食べてみると、これはイケる! 家族にも好評。サツマイモは皮を剥かなくてもいいので下ごしらえも楽だし、薄く切るから煮えるのも早い。夕食ローテーションの谷間で使えそうだ。