ドッグ・フード2007年12月05日

うちの犬にはあんまり高くない固形のドッグ・フードを与えているが、よほどお腹が空かないとそれだけでは食べない。鶏の干し肉を細かく千切ってフリカケてやると食べる。固形でも値段が高いのだと良く食べるし、もっと高い缶詰やレトルトの柔らかいやつは大好きである。原材料を考えると、概ね高いものほど肉の割合が多くて、安いほど小麦粉が多いようである。犬は本来肉食だから、高いやつほど喜んで食べるのは当然なのかもしれない。

なるべく安くてよく食べるのを探していろいろなドッグ・フードを試しているのだが、最近初めて買ったサンライズ社の製品が食品偽装問題の列に加わった。原材料に「ビーフ」と表示されていたのに牛肉が使われていなかったというのである。ビーフと書いてあれば肉気が多そうで、犬も喜びそうな気がして買う人も増えるかもしれない。ペットフードの材料表示は人間の食品とは違って法律で規制されていないらしいが、これはやはり詐欺的行為である。

ある日の新聞の隅っこに「パッケージのバーコード部分を切り取って返送すれば、返金または代替品を送る」というお知らせ広告が出ていたので、そのとおりにした。買いに行く手間が1回省けると思って代替品を希望と書いたのだが、それから3週間くらいたって現金書留で1200円が送られてきた。返送作業を早くするために返金に統一させていただきますとのこと。買った値段は800円くらいだったと思うが、定価の1200円が返金された。買った分は犬が気にせず食べたから、丸々1200円をお詫びとして受け取ったことになる。

この偽装も誰かが内部告発したらしい。最近のいろいろな偽装はだいたい内部告発で発覚しているようだが、告発しているのはバイトとか派遣とかの非正社員の人じゃないのか。そうだとすると、その告発は純粋な内部からの告発ではない。会社の中に非正社員が増えたために内部と外部がキッチリ分かれなくなり、情報が漏れるようになったわけである。インチキをすればすぐバレるのだ。

ジッポー ハンディウォーマー2007年12月07日

冬、机に向かって座りっぱなしで仕事をしているととても寒い。縮こまってしまうから肩も凝る。電気ストーブを点けてみたが、こいつは電気を喰うわりにあまり暖かくならない。そこで「ジッポー ハンディウォーマー」を買ってみた。

これは「愉しい非電化」(藤村靖之)という本でも推薦されていたエコロジカルな製品で、ジッポーといっても日本のハクキンカイロのOEMである。ハクキンカイロというのは中で火が点いているのかと思っていたが、そうじゃなくて白金触媒の作用で燃料を酸化させて酸化熱が出るというものだった。「愉しい非電化」を読むまで知らなかった。

ハクキンカイロの燃料はベンジンだが、ジッポーはジッポーのライターオイルを使うことになっている。僕も昭和の時代に喫煙していたころはジッポーのライターを使っていた。久しぶりにスーパーやコンビニで探してみるとどこでもジッポーオイルが売られている。今でもジッポーを使っている人は結構いるようだ。

最初、火を点けるのにちょっと苦労したが、コツがわかれば簡単だ。付属のフリースの袋に入れてお腹の辺りを暖めると、たしかに寒さがかなり気にならなくなる。お腹だけ温もってもしょうがないような気がするが、懐炉で身体の一部を暖めると、そこで暖まった血液が巡ることで全身が温もるということのようだ。なるほど、これは良い。

ハクキンカイロの非公式ファンサイトというのもあって、見てみたらいろいろ勉強になった。

「ユニコーン・トリビュート」2007年12月09日

「奥田民生・カバーズ」が思ったより良かったので、こっちも買ってみた。「民生カバーズ」ではみんなが自分の歌い方で歌っていたが、この「ユニ・トリ」ではなぜかみんなタミオっぽく歌っている。そのへんの対照がまた面白い。

「民生カバーズ」ではみんが自分流にやった結果、それがうまくハマッたりコケたりしていたが、このアルバムではカバーの出来不出来にあまり差がない。民生ソロの曲は極端にシンプルなのに対して、ユニコーンの曲は凝っているからだと思う。曲がシンプルだとミュージシャンの実力がはっきり見えるが、曲の個性が強いとミュージシャンの色が見えにくい。

一番気に入ったのはMONGOL800の「大迷惑」。沖縄シャッフルがあまりにもぴったり似合っていておかしい。

吉井和哉のバックでは民生がドラムを叩いている。シンプルだがへヴィーでパワフルなドラムだ。タイコがよく鳴っている。ジョン・ボーナムを目指しているんではないか。最近の雑誌でのインタビューによると、民生はドラマーになりたくてスティーブ・ジョーダンにも習っている。ドラマーのいないフジファブリックか「くるり」に入りたいそうだ。

「偽」2007年12月13日

今年を表す一文字は「偽」であるということになって、清水寺で大きな字を書いたお坊さんが情けないと憤っていた。「日本人の倫理観の低下」みたいなことを言って嘆く人もいる。

今年は消えた年金をはじめとしていろいろな偽りがバレたし、その偽りに対して憤るのはもっともだ。しかし、最近バレているいろいろな偽りの多くは、何年も何十年も前から行われてきたことなのだから、今年特に悪いことがたくさん起きたと考えるのはおかしい。

いろいろな偽りがどんどんバレるようになったのは良いことである。今までバレなかっただけで、昔からいろいろな偽りはあったのだ。最近バレているのは内部告発が多くなったからで、今まで起きなかった内部告発が起きるようになったのだから、日本人の倫理観は向上したと捉えるべきではないか。

あるいは、今までは「偽りを告発せずに内部の利益を守る」というのが日本人の倫理観だったのだが、構造改革によって内部というものの範囲が曖昧になった結果、倫理観の現れ方が変わっただけなのかもしれない。

どちらにしても、「大企業だろうが役所だろうが、ウソ偽りを続けているといつかはバレて潰れるかもしれない」という状況が生まれたので、世の中から偽りが少なくなることが期待できる。

地デジ問題2007年12月21日

僕は地上波デジタルテレビ放送には全然興味がない。2011年にアナログ放送の電波を止めるというのは非常に迷惑だ。うちのテレビは16年前に買ったから、2011年までには壊れてデジタル対応の薄型テレビに買い換えることになるかもしれないが、それだけで済む問題ではない。パソコンやDVDレコーダーに付いているテレビチューナーが使えなくなるし、台所と風呂に置いてあるラジオのテレビ音声も入らなくなる。何かの陰謀としか思えない。

みんなで11年までデジタルテレビやチューナーを買わずに頑張ったらどうだろう。それでもテレビ局はアナログ放送を止める根性があるのか。我々視聴者とテレビ局のチキンレースである。実際、アメリカや韓国ではアナログ放送終了の予定時期が過ぎても放送を継続しているそうだ。日本もそうなる可能性はあると思う。

ところが、ある日の夕方晩飯の用意をしていると、ピンポーンと近所の奥さんがやってきて、折角新しいテレビを買ったのに地デジの映りが悪いからちゃんと見られるようにしてもらえないかと言う。我が家の一帯では電波障害のため共同でアンテナを建てており、今年はウチが管理当番なのである。地デジのことは2010年ごろの当番に任せておけばいいと思っていたのだが甘かった。

しょうがないので、地デジについて調べてみた。地デジの電波はUHFなのでUHF用のアンテナが必要だが、アナログのテレビ大阪とサンテレビを見るためにUHFアンテナがあるから大丈夫。しかしUHFアンテナがあっても地デジがちゃんと映るかどうかは判らないらしい。

ネットで見つけた2社に電話して尋ねると、交換する機材によって数万から数十万円までいくらになるかわからない。安くできそうな可能性を教えてくれた方に見積りを頼むと数日後にやってきて機材を確認し、分配器の交換とブースターの調整で十数万円でできることがわかった。

見積り内容を書いたお知らせを作って40軒に配り、アンケートを取ったところ地デジ対応のテレビを持っている家は半分くらいだった。工事会社に発注して日程を決めて、またお知らせを作って配る。

当日は1時間ほどで工事は終わり、確認のために地デジの見られる家のインターホンを押して回るが、平日の午前中なので留守の家が多い。娘の同級生の女の子が終業式から帰ってきたので「おかえり、家で地デジが映るか見てきて」と頼むと、数分後に家から出てきて「きれいに映ってるよ~」と教えてくれた。2系統ある配線経路のうちもう一方に接続している家にも確認して作業終了。

これでうちのご近所で地デジを見たい方は見られるようになったわけで、アンテナ管理当番としては肩の荷が下りたが、アナログ停波に反対であることに変わりはない。

「PRISMIC」 YUKI2007年12月23日

YUKIのアルバム「joy」と「WAVE」はいくら聴いても飽きないので、その前のソロ1作目も聴いてみることにした。「joy」と「WAVE」のように洗練されたポップアレンジではなくロック寄りで荒削りな感じがする。ソロになる前のJUDY AND MARYがパンク風だったから、ポップに移行する途中だともいえる。

「joy」と「WAVE」に比べると化粧気の少ないサウンドで音質もやや劣るが、その分やりたいことがストレートに伝わってくるような気がして、これはこれで好感が持てる。曲の作者を調べてみると、「joy」と「WAVE」では自作の曲は少ないが、このアルバムでは7曲を作曲している。その辺りもストレートな感じに繋がっているのかも知れない。

YUKIが作った曲だけを順番に聴いてみると、あまりポップじゃない、へヴィーだ。YUKIは自分でちょっと違うなと思ったのだろう。このアルバムでは曲ごとにいろいろな人にプロデュースを任せているが、「joy」と「WAVE」では自分がプロデューサーになるかわりに曲を作るのをほとんどやめた。その選択は正しくて、ものすごく成功したわけだ。

このアルバムで試行錯誤することによって、コンポーザーよりプロデューサーになるという方向を見出したのだろうな。そういうことを考えながら聴くと、より味わい深い。