「Fantastic OT9」 奥田民生2008年01月27日

これは素晴らしい! 奥田民生の最高傑作だ。本人もはっきりそう自覚しているようで、タイトルも「すばらしい奥田民生の9作目」である。何が一番良いかというと曲がポップになったこと。ポップといってもどこかで聞いたことのありそうな曲ではなく、今までどおりオリジナリティを追求しながらポップであるところがエライ。

今までの8作ではいつも「同じ音程が8分音符で2小節くらい続くような単調なメロディ」が出てくる曲が3曲か4曲あった。ボサノバで「ワン・ノート・サンバ」という曲があるが、これはワン・ノート・ロックである。僕の知る限りユニコーンの時にはそういう曲は無い。民生はソロになってから意図的にメロディを単調にしてきたのだ。でも今回はついにワン・ノートのメロディがほとんど無くなった。

歌詞もいつもよりメッセージ性のある曲が多い。奥田民生のメッセージはややシュールだったり両義的だったりして伝わりにくいが、実は同時代的な問題意識にはかなり鋭いものがあると思う。今回はそういう曲がほとんどで、すごく面白い。

という具合に、僕はメロディと歌詞が特に進化していると思ったのだが、雑誌やテレビのインタビューを見ると本人が一番強調しているのはサウンドである。録音の技術で何かを掴んだらしい。何かアナログっぽくてパワフルな音だ。

タミオの曲にはいつも新しい何かがあるので、最初からすんなりとは飲み込めないのだが、聴けば聴くほど良さがわかってくる。今回は特に中身が濃くて、いつもより消化するのに時間がかかる。発売日から10日くらい聴き続けたところでやっと全貌が見えてきた感じがする。ええわー。

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