「サボテンミュージアム」 奥田民生2017年09月10日

奥田民生の曲名の大半が日本語なのに対して、アルバムタイトルは「股旅」以外全て英数字だった。今回は初のカタカナ表記。これは何かを意味しているのだろうかと思って聴いてみると、これまでになくアルバムを通してサウンドが一貫している。奥田民生のアルバムは曲調やサウンドに変化を付けて統一感より多様性を持たせていることが多いが、今回はシンプルなロックンロールのバンドサウンドの曲ばかり。「股旅」も統一感があったことを考えると、そういうアルバムに日本語タイトルを付けたくなるのかも・・・というのが僕の仮説。

前2作は一人多重録音だったが、今回は現在の民生バンドである、G 民生、B 小原礼、D 湊雅史、K 斎藤有太による演奏。インタビューでも、曲を簡単にして楽器の音がよく聴こえるようにしたと言っているが、たしかに音が良い。低音高音を過剰に強調しない自然なバランスで、ボリューム大き目でもうるさく感じない。

それぞれの曲は、過去の自分の曲に似たものが多い。例えば「エンジン」は「無限の風」(Fantastic OT9)、「ミュージアム」は「チューイチューイトレイン」(OT Come Home)、「俺のギター」は「快楽ギター」(Comp)、「白と黒」は「鈴の雨」(Fantastic OT9)、「明日はどっちかな」は「フェスティバル」(Lion)、なんかがすぐに思い浮かぶ。今まではそういう自己模倣的な曲は少なくて、いろいろ工夫して新しいものを作ろうとしていたようだが、今回は開き直ってシンプルな演奏だけで勝負しているように聴こえる。

歌詞の脱力感とユーモアはいつもどおり。

いつもは50分から1時間ほどある収録時間が38分しかないが、演奏がシンプルなのでこれくらいがちょうどいい。