「音は心の中で音楽になる」 谷口高士2010年12月01日

副題は「音楽心理学への招待」。音楽心理学というジャンルの様々な研究を広く紹介する本。僕が音楽について考えているいろいろなギモンに答えてくれた。

例えば、楽器の演奏によって喜びや悲しみなどの感情を表現し、聴き手に伝えることができるかという実験がある。それは可能だそうだ。テンポや強弱によって感情が伝わる。ただし、フルートで怒りを表現しようとしても、喜びになったりするらしい。

何度も聴いているうちに音楽の印象が変わる理由についての研究もある。まず、人間は刺激の複雑性が中くらいのときに最も快く感じるという「バーラインの最適複雑性モデル」を仮定する。同じ音楽を何度も聴くと、慣れて複雑さが減るように感じるわけだから、元々複雑度が大の音楽は聴けば聴くほど複雑度が中くらいに近づいて快くなる。逆に複雑度が中の音楽は聴いているうちに複雑度が下がってつまらなくなってくるわけである。この話は僕の芸術論にやや通じるものがある。

他にも好きな音楽を聴いているとつらい作業に長時間耐えられるとか、ややこしいことをするときには単純な音楽を好むとか、どうでもいいような役に立つような研究もあって面白かった。

 → ポピュラー音楽の聴き方

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「Rock Dust Light Star」 ジャミロクワイ2010年12月06日

カップヌードルのCMで「腹減った、ハラヘッタ」と歌っていたジェイ・ケイ。もう過去の人っぽい印象だったが久しぶりに新譜が出た。わりと評判が良いようなので聴いてみる。相変わらずの70年代ファンク基調。

なかなか良い。安心して聴ける。でもファンクのルーツに戻り過ぎているような気がする。カップヌードルの曲「Virtual Insanity」が入っているアルバム「Travelling Without Moving」の方が創造性が感じられて面白かった。

菜園2010年12月07日



夏のベランダ菜園の収穫は、キュウリ12本と小さいゴーヤ3本で、やや物足りなかった。来年またやるとしたら摘芯や授粉などを研究して、収量を上げたいところだ。

それまでの秋冬にできるものは無いかなと、ホームセンターの種売り場の棚を眺め、ラディッシュとルッコラのタネを買ってきた。プランターに撒いて育てているところだが、やや育ちが悪い。写真手前のラディッシュはちょっと太ってきたが、奥のルッコラは全然伸びない。両方ともなぜか紅葉してしまっている。

「The Present」 YUKI2010年12月15日

YUKIのライブ。曲間のおしゃべりで「上手にではなく、心をこめて歌います」と言っているが、たしかにそのへんの妙に上手いだけの女性ヴォーカルとは違った表現力がある。イノセントからワイルドまで声の色の幅が広いので聴いていて飽きない。

このライブは25人くらいのオーケストラ付きというスペシャル企画。オーケストラというからクラシカルなアレンジなのかと思ったが、普通のバンドサウンドに生のストリングスやホーンを加えただけ。ストリングスはレコードどおりで良いのだが、ホーンはちょっと昭和歌謡みたいだ。スイングジャズの「恋愛模様」なんかは良かった。

スティングとかくるりもオーケストラと一緒にやっているように、これからこういう企画は増えるんではなかろうか。シンセサイザーより生のストリングスやホーンの方が良いに決まっている。

「SYMPHONICITIES」 スティング2010年12月22日

スティングが自分の曲をオーケストラでやり直してみるというコンセプト。原曲に近いアレンジもあり全然違うのもあり、それが曲によってうまくいっていたりいなかったりする。たとえば「ロクサーヌ」を1オクターブ下で歌っているのは渋くて良いのだが、アレンジがありきたりで映画音楽みたいである。でもまあ、スティングの曲の良さはよく分かる。

昔のCDと聴き比べてみると、歌が上手くなっている。

さすがに音が重厚で良い。イヤホンで聴いているのが惜しくなる。スピーカーで聴きたい。