日記2005年07月27日

6時半起き。朝食は昨日デパ地下で仕入れたパン。今日はどうやって万博まで行こうか。ホテルのある千種から万博に行くには3通りのルートが考えられる。1、JR千種から中央線、愛知環状鉄道経由で行く。2、地下鉄東山線で星ヶ丘まで行ってリニモ乗り換え。3、名古屋駅に戻ってバス。昨晩ガイドブックで調べたところでは、中央線の万博直通列車は7時半くらいにならないと走っていないので、1は乗換えが多くてややこしそうである。2はリニモに乗り換える時にものすごく待たされるらしいのでパス。1、2は北ゲートに着くが、3で東ゲートに着いた方が早く中に入れそうな気もする。結局、地下鉄で名古屋駅まで戻って昨日と同じバスに乗ることにする。

地下鉄で名古屋駅まで行き、バッグをコインロッカーに押し込む。バス乗り場まで歩いて行くと、もう100人くらい並んでいる。15分くらい待つとバスが次々に出発し始めた。4台目に乗る。8時半に東ゲートに着いて、9時の開門まで並んで待つ。日差しは強いが、台風の名残りの風が吹いている。足元の地面には細かい木のチップが敷いてあり、コンクリートやアスファルト舗装より涼しげで良い。周りの山からアブラゼミの声が聞こえる。

開門から10分ほどでゲートを通り、「走らないで下さい!」という係員の声を聞きながら企業パビリオンゾーンまで早足で歩く。日立館の列に並んで10時半の整理券をもらう。次に三井東芝館に行こうとするが、人の流れに押されてすぐ隣の列に並んだらトヨタ館の「子ども・高齢者連れ優先」整理券の列だった。30分ほど並んで1時半の整理券をもらう。子どもたちはトヨタ館はつまらなそうだから観たくないというが、「せっかく整理券がとれたのだから、話のタネにどういう風にツマラナイか観てみよう」と説得する。

青い空に「POCARI SWEAT」という白い文字が浮かんでいるのを発見。テレビCMでやっているのと同じ広告をやっているわけである。よく見ると5機の飛行機が並んで飛びながら白い煙を吐きだして文字を作っている。周りの人たちも空を見上げ、それにつられて空を見た西洋人のオジサンが「ポカライ、スウェット? WHAT?」と言って眉をしかめた。そういえば、ポカリスウェットの発売当時に、飲み物の名前にSWEATつまり「汗」と付けるのは英語ネイティブの印象としては×ではないかという話を読んだような記憶がある。

コモン1に行き中央アジア館で大きな涅槃像を見たりする。モンゴル館でテント住宅「ゲル」の中に入ってみる。大阪万博跡地にある民族学博物館でも見たことがある。そういえば、最近大阪の万博公園に行ってない。久しぶりに行きたい。愛知万博の跡地には何ができるのだろうか。

整理券の指定時間になったので日立館に行く。小さめのノートパソコンみたいな携帯表示装置を渡されて狭い展示通路を歩く。表示装置を展示物の赤い印のところに持っていくと、絶滅危惧動物の説明が出てくる。同じ装置で同じ説明を表示しているのに、大人には漢字で子どもには平仮名で表示される。どうやっているのか考えたが、仕組みが見抜けなかった。通路の出口まで行くと表示端末が回収されるが、その時に端末の端に付いている透明カプセルを交換していた。燃料電池とのこと。

その後、乗り物に乗って双眼鏡のような装置を覗くと景色にCGが合成されるという展示を見る。CGで表示された動物に手をかざすと、動物が手に乗ったりする。手で握ったベルトのような装置で手の位置を検出しているのである。CGのフクロウ博士が僕の名前を読んで語りかけてくるところは、USJの「ET」と同じ。目新しい装置で面白かった。

昼食。シンガポール館の麺を食べる。イカやエビが入っているカレー味のラーメンみたいなもの。子どもたちはピザ。

そうこうするうちにトヨタ館の時間。整理券があっても30分くらい待たされる。中に入ると長円形のフロアステージを観客席が取り囲んでいる。まずラッパを吹くロボットの演奏。地味。ラッパを吹いたからどやっちゅうねん。その後、ダンサーと一人乗り変形4輪自動車による舞踏劇。前半の「温暖化による危機」を象徴しているであろうパートが冗長。どうやら地球温暖化を救うためにこの変形4輪自動車が登場したという趣旨のようだが、温暖化防止のためには万博会場で結構人気のある自転車タクシーの方がよっぽど役立つだろう。最後に人間が乗れる二足歩行ロボットが登場するが、動きが鈍い。トヨタ館はやっぱりイマイチだった。

みんなが一番観たがっていた三井東芝館に並ぶ。120分待ち。退屈なので周りの人々を観察して過ごす。この万博には高揚感みたいなものがあまり無くて良い。一応非日常的イベントのはずだが、みんなわりと淡々と楽しんでいる感じがする。環境保護がテーマ(だったっけ?)だから、会場のゴミ箱も細かく分別するようになっているし、展示内容も「このままでは地球は酷いことになります」みたいな話が多い。昔と違って「科学技術&経済成長万歳」的に脳天気になれない雰囲気がある。僕はもともと愛知万博には興味がなかったのだが、この中途半端な感じが結構気に入った。

いよいよパビリオンの入り口まで案内されたところで娘がトイレに行きたいと言い出す。案内係のお姉さんが関係者用のトイレに連れて行ってくれて事無きを得る。16人が一組となって建物の中に入り、水色の制服を着た可愛いお姉さんから説明を受けた後、穴の開いた箱の中に顔を突っ込む。デジカメ7台で自分の顔を撮影し、小さい映画館みたいな部屋に移動してCGのSF映画を観ると、自分の顔をしたキャラクターが登場して加山雄三と共演するのである。家族が次々に登場するが、CG化した顔が面白いので笑えた。

ひととおりいろんなところを回って観たいものは観た、ということで家族みんなが納得し、あとは適当にぶらぶらすることになる。サクランボソフトを探しに、こいの池まで歩く。途中の売店で娘にキッコロとモリゾーを買う。こいの池に面した日本広場の屋台で山形サクランボ・ソフトクリームを発見し、買って食べる。たしかにうまい。

奥さんの友人がアフリカ関係のパビリオンで働いているらしいので、アフリカ共同館に行ってみる。奥さんが友人のことを案内係の日本人に尋ねてみるが、知らないと言われる。ネクタイを締めたアフリカ青年が椅子に座って太鼓を叩いているのを近くて見ていたら、息子が手招きされる。息子が太鼓の叩き方を教わって青年と一緒に叩く。楽しそうだった。

娘が疲れたというので、外のベンチで休む。その間に奥さんと息子はエジプト館を見に行く。結構人気が有り、5分待ちくらいの行列ができていた。面白かったとのこと。

コモン3に移動。ドイツ館が空いていたら入ろうかと思ったが50分待ちなのでパス。スペイン館とイタリア館の間を歩く。スペイン館の外壁のデザインは赤白橙黒の蜂の巣模様で印象的。娘がまたトイレに行き、戻ってきたら首から下げていたモリゾーが無くなっている。トイレに忘れてきたという。奥さんがトイレに並んでいる列の先頭の人に頼んでモリゾーを取りに入らせてもらう。

夕方になり、もう何かを見て回る元気も無くなってきたので、北ゲートに向かってグローバル・ループ(デッキ)を歩く。何か乗り物に乗りたかったが、乗り物はみんなループを時計方向に走っていて、我々の進む方向とは逆なのだった。

腰を押えつつ何とか北ゲートまでたどり着く。子どもたちが公式グッズショップを見たがるが、混んでいるので「名古屋駅のキオスクで同じ物売ってるから」と言ってパス。ゲートを出てリニモの駅に行くとたくさん人がいるが、駅員に訊くとすぐ乗れるという。ホームから濃尾平野に沈む夕日が見える。3両編成の小さいリニモに乗ってぎゅうぎゅう詰めになる。とても滑らかに加速して5分ほどで終点に到着。JRの直通列車に乗換え。電車の床に折畳み椅子を広げて家族交代で座る。

名古屋駅のキオスクで少しお土産を買ってから、夕食に讃岐うどんを食べる。奥さんがみどりの窓口に行って、9:35のぞみの指定席を9:20に変更した。僕がコインロッカーにバッグを取りに行くが、遠かったので少し遅くなった。バッグをかついで走ったら足がもつれてコケそうになる。うどん屋の前まで戻ったところで奥さんが新幹線の時間は9:10だと言い、みんなで走って新幹線のホームに上がるとすぐにのぞみが来た。新幹線の中でビールを飲みたかったが、酔ったら新大阪から家まで帰るのが余計にしんどくなりそうなので、家まで我慢した。

日記2005年07月26日

さすがに疲れたので8時まで寝てしまう。朝食はホテルの自動販売機コーナーでホットドッグとタイ焼きと焼きオニギリを買ってきて部屋で済ます。台風接近中につき、万博見物をとりやめて名古屋市内観光に出かけることにする。

ホテルの外に出ると小雨が降っている。まず名古屋港水族館に行くために地下鉄に乗る。名古屋港に着いた頃には雨は上がっていた。近くに観覧車が見える。大阪の海遊館のあたりとよく似た景色だ。外に大きなプールと観客席があって、イルカのショーが始まるところだった。前の方の席に座ってじっくり観る。なかなか迫力があった。ショーが終って水族館の展示を見に行く。銀色の海水魚はどれもうまそうだ。いつもながら、水中を泳ぐペンギンは速い。ナポレオンフィッシュの顔はでかい。横顔をデジカメで撮った。ウミガメは恐い顔でガラス越しに睨みつけてくる。人工孵化させたウミガメの子どもがたくさんいて、これがみんな育ったら飼うのが大変だろうなと思ったら、海に放流するとのこと。

12時を過ぎてお腹も空いたので名古屋駅のあたりで昼ご飯を食べようということになり、地下鉄の駅に戻る。ところで、名古屋では名古屋駅のことを「名駅(めいえき)」、名古屋港は名港という。名古屋城を名城というのかどうかは知らないが、名古屋城の近くを通る地下鉄環状線は名城線である。でもこの名古屋をメイと略す風習は何か変だ。名古屋に来てからずっと考えていたのだが、何が変なのかがやっと判った。「名ナニナニ」というのは、名医とか名曲とか名馬というように「優れている」ことを表す言い方である。名駅、名港といったら優れた駅や優れた港という意味になる。ナゴヤの駅、港ならばナ駅、ナ港と略すべきではないか。いや、ナゴヤの人にとっては「ナゴヤ=優れている」なのかもしれない。それなら、いっそドラゴンズの選手のことも「名選手」と略してはどうか。

などと地下鉄の中で考えているうちに予定が変更になった。名駅には寄らず、息子が見たいという名古屋ドームまで行くことになる。事前に調べたところでは今日は野球の試合は無いが、グッズショップとレストランは開いているようだ。

地下鉄の名古屋ドーム前駅から地上に出ると雨が降っている。ドームまでは結構歩くが、ずーっと屋根が続いていて全く濡れずに行けるようになっている(ただしJRの駅からだと濡れそう)。近くまで来たところでドームをバックに記念撮影。あたりには我々以外誰もいない。ドームの形は平凡なお椀型で、大阪ドームのようなワケのわからないインパクトは無い。大きさも大阪ドームより小さく感じる。ドームのそばまで来てみると、正面の壁に妙に迫力の無い水色の竜の絵が掲げてある。とろんとしたしまりの無い目付きが、竜らしからぬ脱力感を醸し出している。しかし、何となくどこかで見たような目付きだなあと思ってよく考えたらこれはオチアイ監督の目とちゃうか? つまり「オレ竜」だということに気付いた。

そこから右に3分の1周ほど歩いたところにグッズショップとレストラン街みたいなところがあった。セルフサービスの店が6軒くらい並んでちゃんと営業しているが、我々以外の客はひと組だけだった。名古屋らしく味噌カツを頼もうとしたら、そのお客のうちの一人のおじさんがカウンターの中に入ってきて注文を聞いた。ヒレ味噌カツ定食2つ、と言ってお金を払ったら「73」と書かれたプラスチックの番号札をくれる。他にお客がいないのに何で番号札が必要なのか? 味噌カツができて番号札と引き換えに受け取る。おじさんは子ども用の取り皿を用意してくれていたが、子どもたちは別の店で注文したざるそばを食べているのでいらないのだった。味噌カツのタレは甘くてちょっと苦くてチョコレートみたいだが、意外とイケた。

天井からぶら下がっている大型液晶TVに台風の進路が映っている。東海直撃コースだったのが、東の方にそれたようだ。全国ネットのニュースは台風が関東地方に接近すると、他の場合より熱心に台風情報を伝える。

レストランのフロアからスタンドへの入り口がガラスドアなので中をのぞき込むとグラウンドが見えた。立て看板みたいなものがいっぱい並んでいる。明日、就職説明会があるらしい。

お客のいないレストランフロアを出て、グッズショップに入る。中日ドラゴンズのマスコットはシャオロンというのか、知らなかった。「小竜」の中国読みだろうと推測する。タイガースグッズもたくさん売られていて、息子が欲しがっていた「タイガース扇子」があったので買ってやる。

ショップを出たところにある表示板によるとドームの周囲は750mだそうである。それを見た息子が走って1周してみたいという。時間を測ったら3分くらいだった。僕は腰が痛くてそんな元気は全然無い。駅まで歩いて戻る途中に図書館があったので、中に入って休憩する。小さい図書館で、別に読みたいものも無かったのでぼおっと座って休む。子どもの頃、名古屋に引っ越した友人の家に泊まり、名古屋市科学館に行ったのを思い出した。行ってみようかと思って開いている時間を調べたら、もう終りかけだった。

また地下鉄に乗って栄まで行く。デパ地下で夕食を買い込んで、ホテルの部屋で食べようということにしたのだ。地下街の薬局で湿布薬とドリンク剤を買う。デパ地下に行って総菜売り場を探しているとジェラートとソフトクリームの店があったので、子どもたちはジェラート、僕はソフトクリームを食べる。奥さんは我慢している。それから総菜売り場をうろうろして、僕は「天むす」、奥さんは「手羽先」、息子は「鰻丼」、娘は「おこわ」に決定。ミニトマトも買う。それからパン売り場で明日の朝食用にパンを買う。

またまた地下鉄に乗ってホテルの最寄り駅まで戻る。切符を買う時に奥さんが、今日は「地下鉄一日切符」を買えば良かったということに気付いたがもう遅い。駅に着いて地上に出ると鮮やかな虹が出ていた。デジカメで写真を撮る。周りにいた人たちもケータイを空に向けていた。コンビニに寄ってビールとジュースとお菓子を買う。ホテルの入り口に着くとフロントの女の子が外に出てきてケータイで虹を撮った。

ビールと天むすの夕食をとりながらテレビで阪神ー巨人戦を観る。シーツがホームランを3本打ってボロ勝ち。この調子で、あのとろんとした目付きのオレ竜なんかには絶対抜かれずに優勝して欲しい。風呂に入り、腰に湿布を2枚貼ってもらって寝る。今日は奥さんがシングルルームに行き、僕は娘と寝る。娘の寝相が悪くて熟睡できなかった。

日記2005年01月15日

昼食に焼き飯を作る。刻みネギは溶き卵に混ぜておくと香りが飛んでしまわないことを発見。鶏ガラスープの素を少量のお湯で溶いてから使うと、冷やご飯のカタマリがすぐにほぐれてふわふわになりとても具合がよいということも発見。更に付け加えるなら、鶏ガラスープの素は味の素のヤツよりもユウキ食品の方が旨いことも発見。

難波に本とCDの買出しに行く。この前は全く収穫が無くてちょっと凹んだが、今日はどうだろうか。まずタワーレコードのJポップの階を見て回る。奥田民生関連特集みたいな陳列があって、「民生フォロア-」としてアジアン・カンフー・ジェネレーションが置いてあり、買うことにする。「陽水トリビュート」も置いてあり「小野リサとUAがすばらしい」と書いてあった。僕の感想と全く同じだ。タワレコのPOP書きに雇ってもらえるかもしれない。

女性ジャズボーカルのインストアライブが始まる。ウッドベースとピアノをバックに小柄な女の子が歌う。めちゃうまい。音楽雑誌を読みながら背中で聴いていたが、だんだん盛り上がってきて僕も振り返って見てしまった。配られたチラシによると「マキ凛花」という人で6曲入りアルバム「マネチカ」でデビューしたところらしい。この先も苦節あると思いますが、頑張って下さい。アジカンと奥さんに頼まれたくるりのDVD「くるくる鮨」を買ってROCK/POPの階へ。

U2の新譜「HOU TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB」を試聴する。カッコイイ。500円くらい高いがDVD付きの方を買う。レッチリの「BY THE WAY」も買うことにする。ジョンレノンの「ACOUSTIC」は輸入盤もコピーコントロールドだった。買わん! タワレコの無料雑誌「バウンス」をもらって帰る。表紙はサンボマスター、なんでそんなに売れている?

ジュンク堂に移動。村上春樹・吉本由美・都築響一「東京するめクラブ、地球のはぐれかた」、パオロ・マッツァリーノ「反社会学講座」、松山巌「住み家殺人事件」、池谷裕二「進化し過ぎた脳」、アントニオ・ダマシオ「無意識の脳、自己意識の脳」を購入。ブレインサイエンスの棚に新しい本がたくさん増えている。でも小脳に関する本は無い。

南海難波駅の中にある「蓬莱」の売店で豚マンとシューマイと甘酢ダンゴを買う。家に帰って、蓬莱のオカズで晩飯を済ませた後、買ってきたCDをパソコンにインポートしながら聴く。アジカン「ソルファ」、音は結構いいけど歌が弱い。最近の若手ロックバンドには民生フォロワーがたくさんいるみたいだが、みんなだいたいそうである。声も詞も曲も、足元にも及ばない。やっぱり民生は天才やなあ。「バウンス」をぱらぱらと眺めていると、ボ・ガンボスのデビュー15周年記念再発の広告が出ている。トリビュートアルバムには民生も参加していてすごく楽しみ。

日記2004年12月04日

昼から野球の練習に行く息子のために焼き飯を作る。油を引いたフライパンを熱し、溶き卵1個をスクランブルド・エッグにしたところに、冷凍庫にあったミックスベジタブルと冷蔵庫にあったちりめんじゃこを投入。茶碗2杯分くらいのご飯も投入。ハウス「炒飯の素」を振りかける。菜箸でご飯のカタマリを崩していると右手の指がつりそうになって情けなくなる。

味をみてみると、「炒飯の素」を少なめに入れたにもかかわらずカラすぎる。ハウスのはちょっと醤油が効きすぎているようだ。永谷園かグリコの方がいい。中国で食べた炒飯はもっとあっさりしていた。薄いトリガラスープの味で醤油なんか使ってなかったと思う。何しろ、僕のホームページが検索される項目の第1位は「おいしい焼き飯の作り方」なので、中国で炒飯(チャオファン)を食べる時も研究していたのだ。焼き飯と炒飯は違うような気もするが、中国の炒飯はおいしかったので、あれを目標にする。次回は「炒飯の素」ではなく「味覇(中華スープの素)」を使って作ってみよう。

息子が野球に行った後、残った家族3人でダイエーに行く。車の中で娘が「我らーの、我らの、ダイエーホークスー」と歌うが、あの歌ももう聴けなくなるのだろうという話になる。奥さんがメガネを作っている間に、CD屋で陽水トリビュートと村治佳織とフジファブリックのCDを購入。本屋で「心理療法個人授業」南信坊・河合隼雄(新潮文庫)を買う。メガネ屋でもらった抽選券で娘がガラガラ抽選を10回やったら1個だけ赤玉で500円の買い物券をもらう。後の9個は白玉で、入浴剤やお菓子をもらう。買い物券を使ってちょっと高い芋焼酎「風憚」(1890円)を買う。

昼食がまだなので何か食べようかと思ったが、雨が降ってきたので息子が帰って来そうだ。何か買って帰って家で食べようということになる。メニューは天ぷらうどんに決まり、総菜売り場で僕と奥さんは「牡蛎入りかき揚げ」、娘は「レンコンの天ぷら」を選ぶ。加ト吉の冷凍うどん、木綿豆腐、百合根、チンゲンサイを買う。

家に帰るとすぐ息子が帰ってくる。雨の中でしばらく練習したのでびしょ濡れ。天ぷらうどんを食べながら「陽水トリビュート」を聴く。なかなか面白い。すごいと思ったのは小野リサとUA。この人たちが歌うと何でも自分の曲になってしまう。カフェ・ラテをいれて、冷蔵庫にあったベルギーの板チョコを食べ、「心理療法個人授業」を読みながら村治佳織「トランスフォーメーション」を聴く。演奏はサワヤカだが、ギターの音が遠い。エコーかけ過ぎじゃないか、と思ったらホールでの録音だった。夕刊を読みながら「フジファブリック」を聴く。うーん、音がイマイチ。曲もやや素人っぽい。これならアジ・カンを買った方がよかったかも。

そうこうするうちに夜になる。今日は上海滞在中のある晩に一人で食べた中華のメニューを再現することにした。まず、麻婆豆腐を作る。豆腐をサイの目に切って電子レンジで温め、鍋でミンチを炒めてから豆腐とユウキ食品の「四川麻婆ソース」と水を入れて、煮詰ったところに水溶き片栗粉少々。中国では麻婆豆腐に片栗粉はほとんど(または全然)使っていないようだった。麻婆豆腐完成。中華は早くできて良いなあ。

次に、百合根とチンゲンサイを塩胡椒だけで炒める。本当は「百合根とセロリの炒めたもの」を作りたいのだがセロリだと子どもたちが食べないので、チンゲンサイで代用。子どもたちは麻婆豆腐も無理なので焼き肉にする。麻婆豆腐は中国で食べた中でも旨かったやつに近い味になったが、百合根は炒めすぎてホクホクになってしまった。

食後にネットでiPodに関する情報を調べる。20GBと40GBのどっちにするか迷っている。手元のカタログによると、4分の曲を128Kbps AACで圧縮すると20GBに5000曲入る。どこかの掲示板情報では、かなり音質にこだわる場合で256Kbpsで入れているようだ。それでも2500曲入る。アルバム200枚分くらいである。僕が持っているCDのうち、iPodに入れたいのはそれくらいだと思う。そういうわけで、40GBより軽くて薄い20GBに決定。アマゾンに注文した。

日記2004年11月06日

朝、娘が「みみはなのど」に行きたいと言う。鼻がつまって気持ち悪いので耳鼻科に行きたいという意味だ。耳鼻科に行くと、春に来た時よりだいぶすいている。ノドが赤くなっていないのでアレルギー性鼻炎です、秋の花粉のせいかもしれませんな、とのこと。ネブライザーで3分くらい蒸気を吸い込んでから、クスリを貰って帰る。帰りに銀行に寄ってお金を降ろしたら千円札が樋口一葉だった。

台所にガスファンヒーターを設置する。灯油を買ったり寒い時に外に出て給油したりするのが面倒なのでガスに変更した。ガスのホースを引っぱってくる都合で15センチ角の板が必要になったので、棚を短く改造した時の余り板を鋸で切る。小さい板切れを切り出すだけなのだが、鋸が真っすぐ進まず苦労する。

昼食はカップラーメン「日清麺職人ミソ味」。結構うまい。ご飯が残っていたので一緒に食べる。ラーメン・ライス。男おいどん。

買いたい本がたくさん溜まっているので、難波に出かけることにする。駅で切符を買うのに樋口一葉を使おうとしたら、自販機に「新紙幣は使えません」と書いてあった。よく見ると、3台のうち1台だけ「新紙幣使えます」だった。

電車の窓から大阪の景色を見ていたら上海を思いだした。大阪と上海は似てるなあ。難波に着いて高島屋の前まで行くと南街劇場のところが更地になって工事中だった。何ができるんだろうか。タワーレコード難波店に行くついでに無印良品に寄る。新婚旅行でイタリアに行った時にスーパーで買ったコルク抜きが壊れたので、代わりのを探す。あった。イタリアで買ってきたヤツにそっくりである。タグに「Made in ITALY」と書いてあったので、同じ製品かもしれない。ソムリエナイフも買う。こっちは中国製。

タワーレコードのJポップの階を詳細にチェックするが、知らないバンドや歌手ばかりである。アジアン・カンフー・ジェネレーションというバンドが大々的に売り出されていたので試聴してみる。わりといいとは思ったが、買わない。Salyuという女の子のボーカルもいいとは思うがシングルしか出ていないので買わない。シングルは高過ぎる。矢井田瞳の新譜が出たのか、と思ったらシングルだった。当然買わない。

奥田民生のDVDが12月に出るという情報を得る。「人ばっか」のライブバージョンが入っているそうなのでちょっと気になるが、ビデオクリップ集というのは買う気がしない。ビデオクリップというのは「口パク」だし「演奏のフリ」しかしていない(それすらしていないのもある)からだ。ライブだったら買うけど。そんなこんなで、奥さんに頼まれた矢野顕子の新譜だけを買い、タワーレコードの無料雑誌をもらって帰る。ジャズやロック・ポップの階にも寄らない。前は輸入盤ばっかり漁ってJポップは買わなかったのだが。

ジュンク堂に行っていろんな本を探す。タッチパネル式検索機は便利だ。買おうと思った本を実際に手に取って中身を確かめると内容がイマイチだったり、在庫が無かったりして、結局何も買わない。洋書の棚に行ってハルキ・ムラカミのThe Wind-Up Bird Chronicleを買おうかと思うが、アマゾンの通販の方が安いのを思い出してやめる。

今日は本もCDも全く収穫が無かった。こんなことは初めてだ。帰りの電車でタワーレコードの雑誌を読んでいたら、フジファブリックというバンドが気になった。僕の隣に高島屋の紙袋を持った女の人が座り、しばらくすると豚まんの匂いが漂ってきた。大阪の電車ではよくあることだ。

日記2004年09月04日

朝、息子が野球の練習に行こうとしたら自転車のタイヤがパンクしていたので、僕が車で送る。公園のグラウンドまで行く途中の踏切で止まった時に息子が「あ、バット忘れた」と言うので、家に引き返してまた公園まで行く。家に戻って車を道に止め、駐車スペースの芝を刈る。先月尿素肥料を撒いたのが効いて、芝生の擦り切れたところが回復し、全体に青々としてきた。芝生の本に「シバは肥料に敏感」と書いてあったが、本当だった。

奥さんが息子の自転車を自転車屋で修理してもらおうと言うのに逆らい、パンク修理に取りかかる。チューブを引っ張り出してバケツの水に浸けてみるが、どこからも泡が出てこない。この前、近所の奥さんの自転車のパンクを直してあげようとした時と同じだ。あの時は結局どこに穴が空いているのか判らず、修理できなかったのだった。ふと思い付いて、チューブがパンパンに膨らむまで空気を入れてみる。ブクブクブクッと勢いよく空気が出てきた。後は簡単だ。

昼食は奥さんの発案により、永谷園のお吸い物を冷たくしてソーメンを入れたもの。何それ?と思ったが意外にいける。

娘は3時からピアノのレッスンがあるので、バイエルの練習をさせる。バイエルはすぐに飽きて、童謡やポピュラーソングを弾きたがる。C調スリーコードの曲だったら自分で和音(ドミソ、ドファラ、シレソ)を当てはめて弾けるようだ。半年でそれだけできるようになったのに感心する。

野球の練習が3時に終わるので、2時半頃に車で家を出る。公園の近くの自転車屋に寄り、僕のマウンテンバイクのタイヤを買う。買ってから15年くらい経って、タイヤの側面が裂けてしまったのだ。マウンテンバイクだけど山道を走ったことは2回しかない。舗装路を走るだけだから、凸凹のほとんどないタイヤを買うことにした。僕のマウンテンバイクにはサイドスタンドも付いている。あとはドロ除けを付ければ、完ぺきな邪道MTBである。

自転車屋の駐車場から公園のグラウンドが見えた。息子のチームがどこかのチームと練習試合をしている。よく見たらセンターを守っているのは息子のようだ。少年野球の外野はすごく浅く守る。センターの守備位置はセカンドベースのすぐ後ろのあたりだ。誰かがセンター前ヒットを打った。息子がワンバウンドで捕球し、二塁手に返球した。

公園の駐車場に車を停めて練習が終わるのを待つ。練習の最後にチームの全員が一塁線に並び、誰もいないグラウンドに向かって「ありがとやしたっ!(ありがとうございました)」と礼をする。息子を車に乗せて帰る。途中の信号で止まった時に、ふと後部座席の息子を見るとヘルメットを被っていない。「ヘルメットは?」「あ、忘れた」というわけで、公園に戻る。

家に帰って自分の自転車のタイヤを交換しようとするが、タイヤのサイズが間違っていることが判明する。アルミのホイールに「26×1.50」と書いてあったので、そのサイズを買ってきたのだが、チューブを引っ張り出してみるとそこには「26×2.00」と書いてある。チューブが太くてタイヤに入らない。

夕方、家族で電器屋に行く途中、自転車屋に寄ってタイヤを「26×1.95」のヤツに交換してもらう。1.5は1本2000円だったが、1.95は2700円なので差額1400円を払う。電器屋で娘が欲しがっていたプレステのゲーム「サルアイトーイ」を買う。息子は自分の小遣いで「デロリアン号」のラジコンを買う。ラジコンなんて何万円もすると思っていたら、3000円だった。

電器屋の隣の「王将」で夕食。麻婆豆腐を頼んでみると、山椒が効いていてまあまあだった。中国で何度も麻婆豆腐(麻辣豆腐ともいう)を食べたが、これより劣るのもあった。それにしても日本の中華食堂の麻婆豆腐は、たいていの場合「あん」が多すぎる。中国の麻婆豆腐は片栗粉なんかほとんど入っていないと思う。そしてもっと辛い。

日記2004年02月07日

朝起きて窓の外を見ると、雪が舞っている。息子は近所の公園に少年野球チーム対抗マラソン大会の応援に行ったが、外はすごく寒そうである。新聞を読みながら、自家製のクルミパンに蜂蜜をつけて食べ、コーヒーを飲む。うちの奥さんは最近、パン作りに凝っていて、我が家では去年の秋からパンを買ったことがない。

朝食の後、掃除機をかけていると宅配便が届く。僕が注文した奥田民生のゲームが来たのだ。掃除が終わってからさっそくゲームを開封する。注意書きを読むと、MacintoshはPowerPC G3以上に対応と書いてあり、僕のパワーブックでは遊べないことがわかる。奥さんのWindowsパソコンでやらせてもらう。ゲームは完全にWeb版の続きである。Web版はタダでできるが、あれをクリアした人の多くは完結編を買いたくなるんではなかろうか。

奥さんが野球用品店に息子のヘルメットを取りに行き、ついでにハンバーガーを買ってきた。娘が公園に遊びに行くというので、一緒に行く。めちゃくちゃ寒い! 寒いので、ほとんど誰も遊びに来ていない。でも、娘は平気である。娘と二人でローラー滑り台を滑る。3、4回滑ったところで、息子がマラソンの応援から帰ってくるのが見えた。娘に一緒に帰ろうと言うと、幸いにもウンと返事をしたので、走って息子を追いかける。

息子は家に戻ってチーズバーガーを2個食べ、ヘルメットを被って野球の練習に行く。僕と奥さんがうどんを食べ、娘がハンバーガーを食べていると、娘の友だちのハルナちゃんが遊びに来る。ハルナちゃんは小さいカップのカレーうどんを持ってきたので、お湯を沸かしてあげて一緒に食べる。

昼食の食器を洗ってから、トイレでちょっとした日曜大工をやる。その後、スキーに行く時のために車のタイヤチェーンを買おうと思い、ネットで調べると「イエティ」というメーカーのゴム製のやつが良さそうである。特に、走行時の振動が何も付けないタイヤの状態と変わらない、というのが良い。でも、それで滑り止めは効くのか? まあ、スイスのメーカーらしいので信頼することにする。

車でイエローハットに行ってみると、チェーンの在庫はすごく少なくなっていて処分セールをしている。イエティなんか一つもない。よく考えたら、もうすぐ春だ。すぐ近くのオートバックスにも行ってみたが、同じであった。リタイア後のサラリーマン風おじさんがイタリア製の金属チェーンの付け方を店員に教わっていて、すごく着けやすそうだったが、金属チェーンは乗り心地が悪いのでやめる。

ついでに近くの本屋に寄る。中国語の辞書を見る。買うとしたらデイリーコンサイス日中中日かなと思うが、選択肢が少ないので買わない。店を出ようとして、ふと目についたギター教則本を買う。この本にはCDが付いている。この前買った中国語会話の本にもCDが付いていた。

家に帰ってネットでチェーンの値段を調べると、通販の方が(少しだが)店頭より安いことが判る。2万円以上につき、送料、代引手数料も不要。ネット通販は安いし便利だなあ、と思いつつ購入の手続きをする。タイヤサイズに合うチェーンの型番を慎重に確認する。代金ちょうどのお金を集めて封筒に入れておく。

日記2003年10月23日

近所の人が切符を譲ってくれたので、今夜は甲子園で日本シリーズを観る。だから黄色いシャツを着て会社に行く。息子が小学校から帰ってくるのが4時頃なので、それまでには帰りたいところだ。でも、3時まで会議があり、それから試作品の組立てをやっていたら4時半になってしまった。急いで家に帰り、応援バット大小2本ずつ、阪神帽2つ('92年に買った縦縞と、今年買った黒)、双眼鏡2つ、デジカメ、水筒を用意する。息子のグローブも持っていく。バットとグローブを入れるカバンを探すと、黄色い紙袋があったのでそれを使うことにする。寒くなりそうなので上着も持っていく。荷物が多くなったのでセーターはやめておく。

車に乗り、後部座席の息子に寝ておくように言う。湾岸線を走って行くと尼崎のあたりで甲子園の照明が見えてくる。鳴尾浜の出口を降りると阪神ファンとおぼしき車で渋滞が起きている。信号で並んだ車に乗っている男女がタイガースのユニフォームを羽織っているのを息子が見つける。裏道を走って、実家近くで借りられる秘密の駐車場に車を停める。

もう6時だから普段なら遅刻だが、日本シリーズは6時15分開始なのでまだ間に合う。小走りで甲子園に向かう途中、コンビニに寄ってお茶とオニギリとジェット風船を買う。店の前ではタイガース・グッズを売っている。球場に向かう人々が歩道をぞろぞろ歩いている。歩道に面したいろんな店で売っているタイガース・グッズを物色している人も多いが、試合開始に遅れるぞ~と思いながら追い越していく。空には2機のヘリコプターが旋回して非日常的雰囲気を振り撒いている。

チケットに書いてある入場門から球場に入ると通路に人が並んでいる。焼き鳥の屋台だった。我々の席はバック・スクリーンのレフト側7段目、TVカメラの近く。スコアボードを見ると、先発は井川だ! 今年我々が甲子園に来た時は2試合ともムーアだったので、違うピッチャー、それもエース井川が見られて嬉しい。タイガースの選手が出てきて、観客席にボールを投げ込む。赤星の投げたボールが僕と息子の席から3mくらいのところに飛んできた。惜しい。応援団の合図で選手の名前を一人ずつ連呼し、選手が手を挙げて答えると拍手。最後に井川コールが起きるが、井川だけは答えない。投球練習に集中しているようだった。

スコアボードの上の旗を見ると、ライトからレフトに向かって吹く夏の浜風と違って、ホームからセンター方向に冷たい北風が吹いている。いわゆる六甲颪(おろし)である。1回表ホークスは三者凡退。ホークス応援団はレフトスタンドの四分の一くらいに集まって座っている。球場全体からいうと5%くらいだろう。でも一応ラッパと太鼓に合わせて応援している。

その裏タイガースの攻撃になると、案の定、周りの人たちが全員立ち上がった。僕は試合の展開と関係なく騒ぎ続けるのはあまり好きではなかったのだが、最近は選手も監督も「声援が後押ししてくれる」と言っていることだし、ちゃんと立って応援することにしよう。何しろ、座っていたら試合が見えない。息子は座席の上に立たないと見えない。周りにいる子どもたちもみんな座席の上に立っている。立って、応援団のトランペットに合わせて各選手のコンバットマーチを歌う。

声援の甲斐あって、桧山と片岡のタイムリーで3点を取る。1回の攻撃が終わり、みんなが座って休憩していると何となく2回表の攻撃が始まる。どよめきが聞えたのでグラウンドの方を見ると、松中の打球が飛んでいる。追い風に乗って外野スタンドに入ってしまった。その後、2回裏にまた立って応援し、3回表に座ってオニギリを食べる。

風は大して吹いていないのだが、気温がどんどん低くなってきた。売り子の青年が持ってくるビールが売れなくなり、熱燗が飛ぶように売れ始めた。僕も飲んで暖まりたいが、車で来たからダメである。コンビニで買った熱いお茶を水筒に入れておいたので、それを飲む。立って応援している時はいいのだが、座ってじっとしていると寒い。時々、かすかに雨も落ちてくる。セーターを着てくればよかった。

しばらくはどちらも点が入らず、このまますんなりと勝ってしまいそうな気配だった。5回の裏が終わってグラウンド整備の間に赤星と金本がキャッチボールをしているところをデジカメで撮る。6回の裏には金本兄貴のホームランがバックスクリーンに突き刺さり、楽勝ムードになる。

7回の表にホークス応援団がどこかで聞いたことのある曲を演奏している。よく聴くと「若鷹軍団~」というダイエーホークスの応援歌だった。どこで聞いたのかというと、ダイエーの店内である。初めて聞いた時は「若貴軍団?二子山部屋の歌か?」と思ってしまった。この若鷹の歌はマイナーで悲壮な感じがする。このシリーズで初めて聞いた城島の応援歌も本人のキャラクターに反してマイナーだ。マイナーの応援歌というのは、ちょっとどうかと思う。物悲しいメロディーで気分が沈んだはずなのに、ホークスが井川を打ち崩して1点差になってしまう。満塁で代わった安藤がフォアボールを与えて同点。その間に応援団がジェット風船をたくさん配り、我々のところにも回ってきたのでそれを膨らます。

ラッキーセブンのファンファーレが鳴り終わって風船を飛ばす。7回裏には点が入らず、でもまあホームだからサヨナラ勝ちだろうと思っていると、8回表に2アウト満塁のピンチになる。安藤がピッチャーゴロをはじき、拾い上げたので「よっしゃ」と思ったら、ボールが手に付かずポロッと落としてしまう(記録はヒット)。当然3塁ランナーが還って逆転されてしまった。

8回裏、フォアボールで出た金本が盗塁を決める。このあたり、僕はメガホンを置いて双眼鏡でバッターを見ることに集中していた。TVカメラのそばから見ているので、TV画面と同じ景色である。絵は同じだけど、音は全然違う。レッツゴー、ジョージ!アリアスは声援に答えて苦手の外角スライダーをレフト前に運んだ。同点だ!これでサヨナラ勝ちの雰囲気が濃厚になる。

9回表、ピッチャーはリガンに代わり、誰かの打席で2ストライクになったはずが、バッターが1塁に歩いて行く。何が何だか判らない。打撃妨害でもあったのか?星野監督も飛び出してくるが、抗議は受け入れられずランナー1塁でプレー再開。観客には何の説明も無い。これはイカン。誰かが「説明せえよ!」とヤジを飛ばす。その後で奥さんから僕のケータイに電話がかかってきたので、「さっきのは何?ボーク?」と訊くと、「ボーク、ボーク」と教えてくれた。

ウィリアムズが抑えてチェンジになったが、9回裏タイガースも0点で延長戦に突入する。10時をまわり、明日のことが気になり始める。日本シリーズの延長は15回までである。そこまでいったら明日になってしまう。最後まで観たいが、11回くらいが限界だろう。寒いし、時間は気になるし、早く決めてくれ~と思っていると、金本がすごく低い弾道のライナーを打ち、打球はレフトスタンドに飛び込んだ。

サヨナラホームランに驚喜乱舞し、僕が周りの人たちとメガホンを打ち合っていると、息子も後ろの席の少年とメガホンを打ち合っていた。星野監督と金本選手のインタビューが始まるが、息子が全然見えないというので肩車してやる。インタビューが終わったところで息子を降ろし、六甲おろしを歌ってから帰る。

日記2003年08月23日

早起きして電車に乗り、7時半に新大阪に集合。「ふれあい田んぼ教室」の稲刈りに行くのである。バスが中国道を走って10時頃に丹波篠山に着く。バスの窓から道路脇の田んぼを見ると、まだ青い田もあり、黄色い田もある。田植えの時も暑かったが今日はものすごく暑い。この前の時は広場で開校式をやったが、今日は暑すぎるので倉庫の中でやる。鎌を使う時の注意を受ける。振り回したりしないこと。鎌の刃は鋸のようにギザギザになっているので、身体を切ると治りにくいです。稲を掴む手は親指を上にすること(稲と一緒に親指を刈らないように)。

冷夏で稲の成育はあまり良くないとのこと。作況指数95ぐらい。5月に自分たちで植えた田んぼに行って、畔で鎌をもらう。5歳の娘ももらう。大丈夫だろうか。田んぼの稲は一応黄色くなって穂が垂れている。田植えの時と同じように田んぼの両側に分かれて、一斉に刈り始める。鎌を1、2回軽く引けばザクザクっと切れます、と教えてもらったとおりに気持ち良く刈れる。息子はほっといても大丈夫そうである。娘は力が足りないのでかなり何回もギコギコと引いていて、一度鎌が自分のスネに当たりそうになったので、鎌の引き方を指導する。まあ、何とかなりそうだ。

稲を刈ると、隠れ場所を失った蜘蛛やアマガエルやバッタがたくさん出てくる。蜘蛛やバッタはいいけど、アマガエルは田んぼの水が無くなったら困るんじゃないだろうか。などと思いつつ調子よくザクザクと稲を刈っていると、JAのおじいさんに「親指を上にして稲を持ちや」と注意される。僕は注意事項を良く聞いていなかったので、稲を束にして持ちやすいように親指を下にしていたのだった。近くで小さい男の子が泣き出した。指を切ったようだ。スタッフの女性が救急箱を持ってきて手当てをする。

おじいさんの言うとおりに親指を上にして稲を持ち、5、6株刈ったところで束ねてヒモでくくる。くくった稲の束は2つに分けてX字に広げ、畔に立てた物干し竿みたいな棒に掛けて干す。みんな調子よく刈っているので、どんどん稲が無くなって刈り跡の地面が広がり、反対側から刈り進んで来た人たちの鎌の音が近づいてくる。娘がアマガエルを捕まえたと言って見せに来る。ほとんど刈り終えたところで終了の声が掛かる。稲刈りは田植えより大分ラクである。

残った稲をコンバインで刈り取るデモンストレーションを見る。コンバインは800万円くらいするという。この機械は刈った稲から籾をはずし、残った藁は刻んで後ろから吹き出して行く。つまり、田んぼの肥やしにするわけだ。そういう機械を使うから昨今は稲藁というものが手に入りにくいのだそうだ。走り回るコンバインのキャタピラは蜘蛛やバッタやアマガエルを踏ん付けていないだろうか。と思う間もなく、残った稲はキレイに刈られてしまう。では、コンバインを運転してくれたお兄さんに拍手をお願いしま~す。パチパチパチ。

鎌を返して倉庫に戻り、弁当をもらって食べる。お握りと唐揚げとキュウリの漬物の弁当と猪汁。前と同様、とてもおいしい。お茶は黒豆茶で、これもうまい。あまりの暑さにお茶をがぶがぶと飲むが、いくら飲んでも喉が渇く。僕がバテバテで倉庫の隅に寝転がっていると、娘が着ぐるみの「ごはんぢゃワン君」に抱きつきに行く。娘は頭の上にプロペラの付いた帽子をかぶり、「AKAHOSHI 53」のTシャツを着ているので、いろんな人から「タケコプターみたいやなー」とか「阪神強いなー」と話かけられる。僕が売店にペットボトルのお茶を買いに行くと、娘は売店の裏に座り込んでJAのおじいさんと何やら話し込んでいた。

昼食後、脱穀、籾摺り、精米の体験。割りばしで稲から籾をはずし、すり鉢と軟球で籾殻をはずし、ジュースの瓶と木の棒で玄米を突いて精米をした。どれも手間ヒマがかかって結構大変だとわかる。その後で、スイカ割りと餅つきをやる。盆と正月が一遍にとはこのことだ。喉が果てしなく渇くので西瓜を食べてみると甘くてうまかった。西瓜を食べているところにAM-KOBEの子ども番組の司会をやっているお姉さんが来て、娘にインタビューした。昼食で腹一杯だったが、黒豆きな粉の付いたもちもうまかった。こういう実り豊かなところで農作業をしてうまいモノを食べて暮らすのもいいなあ。

次は藁細工体験。まず、藁縄をなう方法を教わる。8本の藁の根元をくくって足で押さえ、4本づつを手のひらの2ヶ所で一遍に捩じっては撚りあわせる。なるほどこうやるのか。息子に教えようとするが、あまり僕の言うことを聞こうとしないので放っておく。すると、近くに座っていたスタッフのおじさんが息子に丁寧に教えてくれる。息子の方もおじさんの言うことを真剣に聞いている。他人の言うことはわりと素直に聞くのである。息子は熱心に縄をなっていたが、時間がきて終了。

帰り支度をしていると、息子が藁をもらって帰りたいといっておじさんに訊きにいく。おじさんはきれいな藁を2束持ってきてくれた。自分たちで刈った稲を3束と、藁細工用の藁2束を、濡れた傘を入れるための袋に入れて持って帰る。夏休みの自由工作として藁草履を作ればいい。年末に正月用のしめ飾りも作ろう。バスに乗り込み、窓からごはんぢゃワン君やスタッフの皆さんに手を振る。帰りのバスではドラえもんの映画の声だけ聞きながらウトウトする。藁束を抱えて電車に乗って帰る。

日記2003年05月10日

5時半起き。6時半に家族みんなで家を出て電車に乗る。難波で御堂筋線に乗り換え、7時半に新大阪に着く。JA主催の「ふれあい田んぼ教室」という田植え体験ツアーに参加するのである。観光バスの3台に分乗して出発。車内では「お米のできるまで」という子ども向けの冊子が配られ、お兄さんが稲の成長やなんかについて説明してくれる。このツアーは「小学生と保護者」を対象とした稲作と米食の啓蒙活動なのである。8月の稲刈り体験ツアーの料金も込みで大人6900円だから安い。

中国道を通り途中一回休憩をして、2時間もかからずに丹波篠山に到着。JAの大きな倉庫施設にバスが止まる。倉庫の前の広場に集まって「開校式」をやる。イベント会社から派遣されたと思しき元気そうなオネエサンが司会をする。揃いの黄緑のTシャツを着たスタッフ(というか農協の若いモン)が何十人もいる。サンテレビの取材カメラと、雑誌の記者もいる。かなりタイアップのかかったイベントのようである。目の前には田んぼが広がり、その奥に小山があって新緑がきれいだ。

まず、塩水撰という作業を体験する。巨大なバケツのような入れ物に水が張ってあり、子どもたちが塩を両手ですくってどんどん入れる。塩水の濃さを測るのに、生卵を浮かせてある。タマゴが横向けに浮かぶまで塩を入れるのである。できた塩水に種籾をパラパラと投入すると重い籾は沈み軽いのが浮く。沈んだ籾だけが「良い籾」なので、浮いた籾は穴あきのオタマですくい取って捨てる。そうやって選別した籾を乾かして使うのだ。

次は苗床作り。30cm×60cmくらいのプラスチックのケースをもらう。深さは5cmくらい。そこに土を入れてもらい、専用のヘラで平らにする。ヘラをケースのふちに沿って滑らせると、土がケースの深さの半分くらいにならされるようになっている。それができたら、ジョウロでたっぷりと水をかける。それから、紙コップ一杯分の種籾をもらい、籾が重ならないように丁寧に土の上に蒔く。ケースの縁の方から蒔くこと、という指導があった。土の表面全体に均一に籾を蒔いたらできあがり。

ここで昼食の時間になる。地元のお米で作ったお握り弁当と丹波名産黒豆で作った味噌のみそ汁が配られる。広場のアスファルトの上にシートを敷いて弁当を食べる。天気が良くてとても暑い。黒豆味噌はコクがあって旨い。弁当を食べているところに3人組の女性たちが何かチラシを持って回ってきた。ラジオ関西の子ども向け番組の宣伝だった。3人のうち1人だけカウボーイハットを被っているお姉さんがいて、この人の写真がチラシに載っている。

我々が座っている場所のすぐそばに軽トラックが止まっていて、荷台に昔懐かしいポン菓子の機械が積んである。係の人が「もうすぐ大きな音がしますよ」と知らせに来る。オジサンが木槌か何かでレバーを叩くとズバーンという音がしてカゴの中にポン菓子があふれた。オジサンがポン菓子を大きなバケツに移し、熱いドロドロの砂糖水?をかけてかき回した。

奥さんが売店で黒豆味噌と黒豆きな粉を買ってくる。娘が黒豆ソフトクリームを食べて走り回っていたが、突然「お腹痛い」と言い出してアスファルトの上に吐いてしまう。朝早く起きたので疲れてもう眠いのだろう。昼食タイムが終わり、みんな田植え用の身支度をして集合。短パンにハイソックスまたはタイツということになっているが、僕は裸足で行くことにする。苗の持ち方や植え方の説明を聞く。

苗を一握りもらって、田んぼまで歩いて行く。アゼを裸足で歩くと草の茎や小石が当たって痛い。80人くらいづつが田んぼの両側に並ぶ。目の前の泥の上にヒルがいたので草切れで拾ってアゼの水路に流す。田んぼに足を入れると、ずぶずぶずぶっと泥の中に沈んで底なしの気配。何とか両足を踏ん張って立ったらさっそく向う脛にヒルが食い付いているのを発見し、思わず「うおーっ」と叫んでしまう。近くにいたオジサンが手でひょいっと取ってくれた。

ピンと張られたロープを目印に苗を植えていく。ロープに沿って5、6本植えたらロープが一段前進して、みんなも一歩前進する。20センチ間隔くらいで植えた苗の間に足を踏み入れても苗が倒れないのが不思議だ。片手に持った苗の塊から3、4本づつちぎって植え、無くなったら畔から苗の塊を投げてもらう。途中、僕が首からぶら下げていた奥さんのケータイが鳴ったが、両手がドロドロだし田植えで忙しいので無視する。

意外にも腰は何ともないのだが、ぶにゃぶにゃした泥の中でずっと踏ん張っているので、脚が疲れてガクガクしてきた。田んぼの向かい側から植えてきた人たちとの距離が2mくらいまで近づいた頃、司会のオネエサンが「ハイ、この列を植えたら終わりで~す」とアナウンスした。「一時間ほどかかりましたね~」と言うので驚いた。20分くらいしか経っていないように思える。それにしても、僕は初めて田植えをしたはずなのだが、なぜか苗を植える感触に覚えがある。

田んぼから出ることになり一列になって歩くが、みんな泥に足をとられてコケそうになっている。泥の底には石ころがあって足の裏が結構痛い。畔に上がって、田植え機の実演を見る。160人で1時間かかった田植えが、機械なら1人で1時間あればできるそうである。田植えは楽しかったが、100倍の効率なら機械を使うのは当然だ。でも、田植え機なんて一年に何日使うのだろう? ものすごく稼働率の悪い機械でもあるな。

広場に戻って足を洗ってから、お米についての話を聞く。「ごはんぢゃワンくん」というキャラクターのぬいぐるみとオネエサンの掛け合いで(ごはんぢゃワンくんは喋らないが)進行していく。籾を蒔いてから苗が育つまで5週間もかかるそうである。2週間くらいかと思った。これから夏まで丹波篠山農協の皆さんが田んぼの草取りや水の調節をしてくれて、我々は8月下旬にまた来て稲刈りをするのである。

閉校式をやり、最後にオネエサンの指導で農協スタッフの皆さんに「ありがとうございました」とお礼を言う。荷物をまとめてバスに乗る。スタッフの方々が手を振ってお見送りしてくれる。帰りのバスでアンケートを書かされる。あなたの好きなご飯メニューは何ですか? 何も思い浮かばず、カレーと書いてしまう。名探偵コナンのビデオが上映される。ぼおっとしているうちに新大阪に着く。今日はなかなか面白かった。稲刈りも楽しみだ。