「Moanin'」 Art Blakey And The Jazz Messengers ― 2012年02月03日
デアゴスティーニのブルーノート・ジャズCDコレクションのCMで「Moanin'」が流れているのを聞いて、このあたりのジャズを聴いみようと思って買った。1958年発表だから僕が生まれる前、半世紀以上の昔の音楽だ。
ジャズの良いところは生楽器の音を楽しめるところだと思う。楽器の音が良いのは演奏が上手いからである。リズム感も素晴らしい。そういうところはミュージシャンの身体に支えられているわけである。半世紀経ってポピュラー・ミュージックは進化したのかというと、全然そんなことはない。
こういう古い上等な音楽を聴いていると、音楽が時代と共に進化するものではないのだなあと思えてくる。その時代ごとに時代に合った音楽があるだけなのだろう。今は電気やコンピュータに頼る時代だから、電気やコンピュータに頼った身体性の希薄な音楽が聞こえてくるわけだ。そういうメッセージをジャズ・メッセンジャーから受け取りました。
「a night at Birdland vol.1」 アート・ブレイキー ― 2012年02月10日
ジャズの世界では超有名なライブを聴いてみる。冒頭の司会者のアナウンスは聞き覚えがある。How about a big hand there! とにかく演奏がホットで曲も良い。これは本当に良いライブだ。
以前、マイルズ・デイヴィスやビル・エヴァンズなんかのクールで繊細なジャズを熱心に聴いていたことがあるが、最近こういうシンプルで判りやすいスタイルの方が良いと思うようになった。聴いていて寛げる。
1954年という遠い昔のことだからマイク1本で録っているのだが、臨場感があって素晴らしい。
「憂鬱と官能を教えた学校 バークリー・メソッドによって俯瞰される20世紀商業音楽史(上・下)」(河出文庫) 菊池成孔+大谷能生 ― 2012年02月25日
バークリー音楽院はポピュラー音楽の総本山みたいなところで、バークリー・メソッドというのは、ポピュラー音楽のコード進行とメロディーの関係を分析する和声理論である。僕が21世紀になってからフォローするようになった現役ミュージシャンはエスペランサ・スポルディングとコトリンゴなのだが、彼女たちは二人ともバークリー音楽院出身だ。
この本は現在の音楽産業界に流布しているバークリー・メソッドを中心に商業音楽の歴史について語る講義録。バークリー・メソッドの中身の説明をしながら、バッハの平均律クラヴィーアからMIDIに至るまで、商業音楽の歴史について縦横に語っていて、非常に面白かった。
最初の方の長音階、短音階とかトニック、ドミナントとかの話は中学校の時に音楽の授業で楽典をやったときにも習ったクラシックの理論だが、スケールが出てきてだんだんジャズになる。モード技法まで行ってマイルズ・デイヴィスのKind Of Blueの解説があるので聴き直してみると、ナルホドそういうことだったのかとよく判る。
後半はバークリーから少し離れてリズムの話が多いが、これも面白い。他にも僕がポピュラー音楽について断片的に考えていた諸々の事柄について、いろいろ教えられることがあった。
著者は単に無批判にバークリー・メソッドを紹介しているだけではなく、バークリー・メソッドを学んだミュージシャンがコードをどんどん複雑にしたくなることを「バークリー病」と呼んだり、商業音楽を作るためのバークリー・メソッドという教育法はそろそろ役割を終えたんじゃないかとも言っている。
この本に影響を受けて、拙著「ポピュラー音楽の聴き方」が生まれました。
→ 他の音楽本の記事
この本は現在の音楽産業界に流布しているバークリー・メソッドを中心に商業音楽の歴史について語る講義録。バークリー・メソッドの中身の説明をしながら、バッハの平均律クラヴィーアからMIDIに至るまで、商業音楽の歴史について縦横に語っていて、非常に面白かった。
最初の方の長音階、短音階とかトニック、ドミナントとかの話は中学校の時に音楽の授業で楽典をやったときにも習ったクラシックの理論だが、スケールが出てきてだんだんジャズになる。モード技法まで行ってマイルズ・デイヴィスのKind Of Blueの解説があるので聴き直してみると、ナルホドそういうことだったのかとよく判る。
後半はバークリーから少し離れてリズムの話が多いが、これも面白い。他にも僕がポピュラー音楽について断片的に考えていた諸々の事柄について、いろいろ教えられることがあった。
著者は単に無批判にバークリー・メソッドを紹介しているだけではなく、バークリー・メソッドを学んだミュージシャンがコードをどんどん複雑にしたくなることを「バークリー病」と呼んだり、商業音楽を作るためのバークリー・メソッドという教育法はそろそろ役割を終えたんじゃないかとも言っている。
この本に影響を受けて、拙著「ポピュラー音楽の聴き方」が生まれました。
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