奥田民生「FANTASTIC TOUR “AGAIN” 08」 岸和田市立浪切ホール2008年11月28日

奥田民生のライブはビデオ、DVDで大体観ているのだが、一度本物を観ておこうと思い、家族みんなで行った。コンサートなんていうものは15年ぶりくらいである。昔は年に1回くらいは行ったが、子どもが生まれてからは行っていない。

感想を一言でいうと、音がとんでもなくでかい。鈴鹿サーキットのパドックで聞いたレーシングカーのエンジン音ぐらいうるさかった。特にベースとバスドラムは音というより重たい衝撃で、耳じゃなくて心臓に響く。高音は割れてしまっているが、それがスピーカーの限界なのか耳のダイナミックレンジを越えているのかもわからない。

昔ドラムを叩いていたときのことを思い出して、耳にティッシュペーパーを詰めた。ドラムというのは叩いている本人が一番うるさいので、いつもティッシュで耳に栓をしていたのだった。娘にもティッシュの耳栓を渡したが、耳が気持ち悪いといってすぐにはずしてしまった。

民生のヴォーカルの音程がはずれているところがあったような気もするが、何しろ音が大き過ぎて音程なんていうものはよくわからない。なんか滝に打たれているように全身に爆音を浴びる。ロックのコンサートってこういうものなのか。よく考えたら僕が行ったことのあるのはタツローとかビリー・ジョエルとかカシオペアとか、ポップスやフュージョンばかりで、ロックは初体験だったのだった。

イントロや間奏の部分でサイケデリックな変な音を延々と聞かせる曲が何曲かあったが、そのへんは観客があまりついて行けてなかったような気がする。最近の民生は曲がポップになった反面、ポップじゃないものも伝えたがっているようで、何か無言のメッセージを感じた。

曲の合間のしゃべりは例によって言葉少なくだらだらしているが面白い。「世の中は金融危機ですが、知り合いで金融危機の影響を受けている人はいないね」と民生が言うと、ベースの小原礼が「変なことをやった人はいるけど」というようなことを言い、民生が「シー!」と指を口に当てた。もちろん小室容疑者の話だろう。

小室哲哉は飛行機に乗る時にファーストクラスを借り切ったらしいが、「お金なんかはちょっとでいいのだ」という歌詞を書く民生はスタッフと4人で機材を積んだワンボックスカーに乗って全国のライブハウスを回ったりする。今回のツアーもこんな市民会館をコツコツ回っている。日常から遊離していないところが民生の良さである。この日のMCでもぼそっと「普通に生きて、普通に死んで行く」と独り言のようにつぶやいていた。

バリライトの照明は綺麗でなかなか良かった。民生のコンサートでこれだけ派手な演出は無かったんではなかろうか。印象に残った曲は「なんでもっと」。ミディアムテンポのリズムとライティングがマッチして感動的だった。1回目のアンコールが終わったところで、2回目を求める拍手が少しだけ起きたが大半の客は席を立ってしまった。我々も疲れて「もうええわ」状態だったので帰った。

浪切ホールはキャパ1500人だからステージが近くに見えて良い。でも伝統芸能向けのホールなので、コンサート用のシートは桟敷部分に仮設されていて、通路を人が通るとぐらぐら揺れて不快だ。それにしても観客が1曲目から立つのはどうよ。僕は立てたシートに半分腰掛けた状態で聴いていたが疲れた。子どもらは僕より楽しんだようだった。

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