「瀕死の双六問屋」 忌野清志郎 (小学館文庫)2009年09月25日

短い文章とレコード評をセットにした雑誌連載をまとめたもの。口述等でなく唯一まじめに自分で書いた本というだけあって、文章が内容形式ともにすごく面白い。ちょっとシュールな超短編小説の回もあれば、わりとストレートな文章の回もあって、虚実のブレンド具合がうまい。自由自在に書いている。やっぱり言葉の使い手である。

あとがきによると、キヨシローは2006年に喉頭ガンと診断されたとき、声を失いたくないので手術をしなかった。手術を避けて放射線治療をしても唾液線を失うので1、2曲しか歌えなくなる。それで、治療しなければ余命半年と宣告された現代医学から逃げ出して、代替医療に切り替えたとのこと。この話は本文でキヨシローが書いていることと言行一致している。

 → 「ロックで独立する方法」 忌野清志郎

 → 他の音楽本の記事

「AXIS: BOLD AS LOVE」 ジミ・ヘンドリックス2009年09月29日

僕が最初に知ったジミヘンの曲は、スティングの傑作「Nothing Like the Sun」に入っている「Little Wing」だった。素晴らしい曲だなあと思ったらジミヘンだった。TOTOの「Kingdom of Desire」(日本盤ボーナス・トラック)にも入っていた。マイルス自伝を読んだらジミヘンの影響で電化したようなことを言っていた。奥田民生も「レッド・ツェッペリンを、ジミ・ヘンドリクスを、超えようとして」と歌っていたので、ツェッペリンとジミヘンのベスト盤を聴いてみたら、ジミヘンの方がカッコ良かった。

この前読んだキヨシローの「瀕死の双六問屋」で紹介されているいろいろなレコードの中でジミヘンの「AXIS: BOLD AS LOVE」が一番気になった。忌野清志郎公式ページのタイトルは「地味変」である。もうジミヘンを真剣に聴くしかない。

前にベスト盤を聴いたときは、カッコイイけどちょっと判り難い音楽のような気がしたのだが、それは僕の耳の視野が狭かっただけである。ロックなのかジャズなのかファンクなのかブルースなのかなどと思いつつ聴いていたのだが、そんなことは考えずにシンプルにギターの音色を聴けば良いだけだ。ジミヘンの音楽はギターの音色自体に快楽がある。