アバター ― 2010年02月05日
3年ほど前に3D映像表示装置を設計したこともあり、3Dに興味があるので「アバター(3D・吹替え)」を観てみた。 まあ仕事の一環である。平日朝9:30の回なのでガラガラ。観客は50人くらい。ほぼ真ん中の席。偏光メガネは結構ごっついが意外に気にならない。でも、メガネをかけると暗い。片目に入る光量は半分くらいになるわけである。
CGは凄いけど、3Dである必要はあまり無いと思う。ワイドな構図の場面では偏光メガネをはずしてもほぼ普通に見ることができるし、メガネをはずした方が明るくクリアに見える。狭い場所の場面では遠近感がよく判るが、だからどうしたという感じ。空を飛ぶ場面などは普通の2D映像であっても視点の移動による遠近感が生じるので、実は3Dの値打ちはそんなにない。前の方の席で見れば没入感があって面白いかもしれない。首が疲れそうだけど。
ストーリーはキャメロンらしく単純な勧善懲悪で、映像に立体感はあっても話に奥行きが無い。宮崎アニメや「マトリックス」その他いろいろを表面的になぞっているだけだ。一言でいうと「USJのアトラクションを長時間見ているようなもの」。2時間40分飽きないが、もう一回見たいとは思わない。何回見ても面白い宮崎アニメや「マトリックス」とは全然違う。
富士山 ― 2010年02月06日

一昨日、神奈川に出張に行く新幹線の窓から外を眺めていたら、たしか掛川あたりで、雪で縞模様になった浮世絵風の富士山の頭が見えた。それから2、30分経って富士山の正面まで来たところで、写真を撮った。
この丸い汚れは新幹線の窓についているわけだが、普通のカメラならもっとボケるはずだ。ケータイのカメラ、どんだけパンフォーカスやねん! パンフォーカスとは、遠くも手前も全部ピントが合うこと。ケータイのカメラは小さ過ぎるので、「全てが遠くにあるようなもの」になって、どこもボケないのである。
餃子鍋 ― 2010年02月12日
春も近づき鍋のネタも尽きてきたところで、餃子鍋はどうかと思い付いた。つまり水餃子だが、豆乳鍋のダシというのでやってみることにした。餃子を50個包んで、野菜は冷蔵庫にあった豆モヤシと水菜を入れる。
餃子が浮き上がってきたところで食べてみると、予想外に旨い。桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」を入れると更に旨くなった。水菜を早く入れ過ぎてクタクタになったのは失敗。
「ヴェスパタイン」 ビョーク ― 2010年02月17日
「Gling Glo'」でビョークの歌の良さが分かったので、他のも聴いてみることにした。静かでちょっと暗い感じがするが、暗がりで蛍光色の何かが飛んでいるような美しさがある。Vespertineを辞書で引くと、「夕方に現れる」という形容詞だ。なるほど、そのイメージは完璧にサウンドとして表現されている。
「暗がりで何かが光るような感じ」で思い浮かぶのは「もののけ姫」で、そういえばビョークは「もののけ姫」っぽいキャラクターだ。レディオ・ヘッドを聴くとお化けが出そうで怖いが、ビョークの場合は出るとしても良いオバケのような気がして怖くない。
「音楽堂」 矢野顕子 ― 2010年02月18日
奥さんから借りて聴いてみた。ピアノ弾き語り。矢野顕子の弾き語りは抑揚の付け方が独特だが、どれも同じに聞こえてあまり面白くない。コアなファンにはそれが良いのだろうけど。
スタジオじゃなくてホールで録音していて、ピアノの音が遠いがヴォーカルは近いという変なサウンド。名エンジニアが録っているというので期待して聴いたが、僕は聴き難いと思う。
「邪悪なものの鎮め方」 内田樹 ― 2010年02月19日
面白い。ウチダ先生も身体で考えることについて考えている人だから、いろいろ共感できる点が多い。
今現在の世界はパンドラの箱が開いたような状況なので、我々は邪悪なものとの付き合い方を考えなくてはならない。一番邪悪で扱いに困るのは「自分への呪い」である。
何かズルをしたり他人を騙したりして利益を得る人は、「自分と同じような人間」が他にいない方がより大きな利益を得るので、「自分のような人間は世の中にいない方が良い」。そういう存在であり続けていると、そのうちに「自分は世の中にいない方が良い」と思うようになってしまう。それが「自分への呪い」である。
「道徳律というのは… 世の中が「自分のような人間」ばかりであっても、愉快に暮らしていけるような人間になること… それが自分に祝福を贈るということである」 と書いてある。なるほど。そういえば、カントがそんなことを言っていると高校の同級生が教えてくれたような気がする。調べてみると「汝の意志の格率が常に同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行動せよ」だった。同じことかな?
この本は無料で公開されている著者のブログからテーマに沿う文章を抜き出してまとめたもの。なるべくそういう本は買うまいと思っているのだが、今回は面白かったのでまあよしとする。
買うたろう!商品券 ― 2010年02月20日

大阪府発行「買(こ)うたろう商品券」。一万円で1150円券10枚。このデザインはなかなかポップかつローカルな感じで良いのではないでしょうか。よく見ると小さく「(C) cui daore」と書いてある。「くいだおれ」は飲食業からキャラクター・ビジネスに業態転換したのだ。
我が家では日常の買い物に使うだけで余分な物は買わないのだが、こういうのは本当に経済効果があるのだろうか。
「ストリート・キッズ」 ドン・ウィンズロウ (創元推理文庫) ― 2010年02月26日
ロバート・B・パーカーさんが亡くなったのを嘆いていたときに、友人が教えてくれた探偵小説。話はなかなかテンポがよくて面白い。なんか漫画を読んでいるみたいである。エンタテインメントとしては悪くない。
ハードボイルドということになっているが、違うのではないかと思う。それは三人称で書かれているからだ。三人称だから、主人公の知らないところで敵が何をしてどう考えているという描写も出てくる。これは読者と主人公の視点の一体感を著しく損なう。ハードボイルドというのは犯罪とか探偵とか暴力といった道具立てじゃなくて、主人公の意識や視点をどう描くかという形式が問題なのである。
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