放射線 ― 2011年03月20日
枝野長官やマスコミが原発事故による放射線について「何々シーベルトはCT何回分だから直ちに健康に影響しない」などと言っているが、この言い方にはいろいろと疑問がある。
調べてみると、シーベルトという単位はいろいろな種類の放射線の強度に係数を掛けて足したものである。アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線など放射線の種類によって性質が全然違うのにごっちゃにしてしまっているわけである。アルファ線なら紙でも防げるが、ガンマ線や中性子線ならコンクリートが必要だ。何線がどれくらい検出されているのか可能な限り明らかにするべきだ。
また、CTで放射線を浴びるのは1回だけだが、今問題になっている数値は「1時間あたり何々シーベルト」だから話が違う。「1時間あたり何々シーベルトはCT何回分」というのは「時速100kmは距離100kmに等しい」と言っているようなものである。
それに、放射線を外から浴びるのは逃げたり遮蔽したりできる場合もあるが、放射線を出す物質を体内に取り込んだ場合は被曝が続く。そのへんを「直ちに影響しない」などと誤魔化しているのだろう。
さらに、検出されている放射線の源がどういう元素かによっても話が変わる。希ガスなら体内に取り込まれないらしいが、ヨウ素なんかは取り込まれやすい。放射性物質の半減期によっては、心配するべき期間も大幅に異なる。
加えて、原発の放射能漏れを病気の治療のために仕方なく使うCTの被曝と比べて安心を謳うことにも問題がある。そもそも、日本ではCTを他国より安易に使い過ぎではないかという指摘もある。
そういう複雑な話を「何々シーベルトだからどうこう」と単純化して済ませようとする姿勢自体が無責任である。全然信用できない。自分で調べてよく考えて行動しなくてはならない。
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