日記1999年03月29日

会社からの帰りのバスで本を読んでいると、なるほどねーと思うようなことが書いてあったので、そのことについてじっくり考えてみようと本を閉じて顔を上げると、前の席に座ったおばさんの頭が見えた。おばさんの灰色の髪の毛は一本一本が見事に内径約12ミリのコイル状に固く巻かれていて、もしかするとこれはパンチパーマというヤツなのかも知れないが、あえて言うならパンチパーマよりも元の髪は長くて、しかも完全にランダムな方向にコイルがほどけている。

僕が考えたのは、このような髪型の利点は何かということである。多分、手入れがラクということはあるだろう。何しろ固そうに巻かれているから、洗おうが寝ようが全体の形状は確固として保たれるに違いない。僕だってあまりヘアスタイルにかまう方ではないが、それでも洗ったまま寝たりしたら翌朝収拾がつかなくて大変だからちゃんと乾かしてから寝るくらいのことはする。でも、このおばさんの髪型はそんな手間も一切不要と思われる。手間を惜しむだけなら松本人志みたいに坊主頭にすればよさそうだが、そうじゃなくてパーマをかけているのはファッション性の問題だろう。このおばちゃんのランダムコイルヘア(と名付けよう)は手入れの効率化とファッション性の両立という難問をクリアしているのである...に違いない。

明治だか大正だかの昔にパーマネントウェイブというのが日本に入ってきた時はきっと西洋志向のファッションだったのだと思うが、ここまでキツく巻くに至ってはアフロ志向と見るべきである。本人にそういうつもりはないのかも知れないが。ファンキーだなあ。...などと考えているうちに僕の降りる停留所に近づいているのに気付いてあわてて停車ボタンを押したのだった。

池の端を歩く。冬の間たくさんいたカモたちはすでに北へ旅立ったようである。後にはサギがぽつんと残されている。岸辺の草むらには空き缶やタバコの箱がたくさん捨てられている。ゴミが落ちているのを知ってて拾わないのは、ゴミをそこに捨てたのと同じことになるだろうかと考える。

家に着いてポストを見ると本が送られてきている。去年「中村雄二郎の哲学アゴラ」というところで僕の投稿が採用され、それが掲載された本が送られてきたのだった。ネット経由で僕の文章が出版物に載ったのは「村上朝日堂CDーROM」、「インターネットで作家になる方法(布施英利著)」に続いてだが、それらと違って著者とのやりとりは無し。

今日は奥さんと子供たちは遅くなるので、自分で肉ジャガを作って食べることにする。まず、じゃがいもの皮をむく。「風の歌を聴け」でジェイが毎日バケツ一杯のじゃがいもをむいていたという話を思い出す。小さないもを半分に、大きなのを4つに切って、面取りをして水にさらす。皮をむいたニンジンを5ミリ厚の半月に切る。タマネギをザク切りにしていると、ウンジャマラミーのタマネギ先生に見えてくる。熱した鍋に大匙1杯半の油をひいて牛肉100グラムを炒め、色が変わったところで、じゃがいも、ニンジン、たまねぎの順に加える。全部をよく混ぜ合わせて炒めてから、ひたひたに水を入れる。ここまではカレーでもシチューでも同じだナ。肉ジャガは西洋料理の和風アレンジなのか。醤油大匙2、砂糖1、酒1、みりん1を加える。一杯加えるたびに味をみる。煮立ったらアクをとって、煮詰まるまで放っておく。

肉ジャガができるまで「ウンジャマラミー」をやる。飛行機と木こりの面をクリア。テリヤキヨーコには苦戦。おいしい肉ジャガができたので、ベルギービールを飲みながらご飯と昨日の残りのトリ肉ハンバーグとともにいただく。その後、チクワとワサビ漬けを肴にビールの続きを飲み「電車でGO2」をやる。飲酒運転のせいか、秋田新幹線をうまくダイヤ通りに走らせることができないが、何となく電車で旅行しながらビールを飲んでいる気分になった。そう言えば、奥田民生の「股旅」のジャケット写真の山は秋田新幹線から見えるらしい。

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