「娯楽」 東京事変 ― 2008年03月03日
奥田民生が絶賛する東京事変。これはたしかに良い。バンドのアンサンブルが優れていて、退屈な曲が無い。もっとパンクかと思ったが、意外にファンクっぽいノリ。椎名林檎の歌い方はお酒でいうと芋焼酎みたいにちょっとクセがあるが、クセがある味ほど慣れればハマるものである。
ソロの時は詞も曲も自分で書いていたと思うのだが、このアルバムでは作曲は他のメンバーに任せている。YUKIと同じようなパターンだ。Jポップ業界の女性で作曲し続けて成功しているのは宇多田ヒカルくらいか。
ところで最近、「反社会学講座」の著者パオロ・マッツァリーノさんのサイトを発見して、バックナンバーを読んでいたら、2006年のよかったものに東京事変の「大人」を挙げていた。椎名林檎さんの歌からはジャズが聴こえるとのこと。これも聴いてみよう。
「虫眼とアニ眼」 養老孟司・宮崎駿 (新潮文庫) ― 2008年03月10日
基本的には「最近の世の中は...」というグチだが、結論としてはオビに書いてあるとおり「お先真っ暗だが、だからこの世は面白い」ということ。奥田民生がアルバム「Fantastic OT9」の「カイモクブギー」という曲で「無茶だけれども、それはそれでフリーダム」と言っているのと同じだ。
宮崎駿が考える「老人の町」についてのイラスト・エッセイというのが20ページもある力作で、宮崎アニメ世界を現実化しようと妄想している。これだけ緑の多い町ならたしかに良い。
→ 「超バカの壁」 養老孟司
→ 「まともバカ」 養老孟司
→ 「耳で考える」 養老孟司 久石譲
「その数学が戦略を決める」 イアン・エアーズ ― 2008年03月14日
「テラバイトのデータ計算が専門家にとってかわる」という宣伝文句の本。地球温暖化なんかのシミュレーションをするような話かと思ったら、ちょっと違った。いろいろな分野で、デジタル化されたデータの統計処理によって、従来の専門家の直感より的確な判断ができるようになりつつあるという話。かなり面白かった。
過去のデータをコンピュータで分析し、何かと何かの相関を探して、統計的な推定をする。例えば降雨量からワインの値段を予測する、映画の脚本から興行収入を予測する、患者の症状から病気を診断するなど。それが従来の専門家より成績が良いのだそうである。専門家の権威が落ちるが、それはしょうがない。
身近なところではグーグルやアマゾンで我々も統計的に把握されているわけだが、平均値から離れた自分だけの価値観がどこにあるかをはっきりさせておくことも重要だと思う。
アメリカでは政策や教育方法の有効性なんかも統計的に分析して選択したりし始めているそうで、すごく興味深い。政策を実行する前に結果を予測するわけではなく、いろいろやってみて効果を統計的に比較するのである。それはなかなか良いのではないか。統計やらコンピュータがどうというより、試行錯誤の結果を見て決めるというのが良い。
ところで、「絶対計算」というのは訳者の造語かもしれないが、あまり適切な訳語ではないのではないか。データを数えて相関を探すだけのことに「絶対」や「計算」は言い過ぎのような気がする。ググッてみると囲碁の地の数え方にも絶対計算というのがあるようだし。
「Venus and Mars」 Wings ― 2008年03月15日
なぜかポールの昔の曲が最近のマイブーム。離婚報道を見たせいかも知れない。まず「ロンドン・タウン」を聴いてみたが、ちょっと内省的で楽しくない。次にこの「ヴィーナス・アンド・マーズ」。聴くのは多分20年ぶりくらいだ。
1975年、僕が中1のときに最初に気に入った洋楽の曲がウィングスの「あの娘におせっかい(Listen To What The Man Said)」だった。モノラルのテープレコーダにラジオを繋いで、好きな曲を録音して聴いていた。今聴いてもこの曲は本当に素晴らしいポップの名曲だ。さらっと聴けるが実は変わったコード進行でカッコイイ。
大学生になってバンドを始め、最初のライブで「Rock Show」をやったのも懐かしい。他の曲もそれぞれ個性があって全体がカラフルな感じがする。このアルバムはビートルズ解散後のポールのベストだと思う。
「HEART STATION」 宇多田ヒカル ― 2008年03月20日
これは宇多田ヒカルのアルバムの中で一番良い。今まではいつもポップな曲が何曲かあって、バラードがあって、他は個人的な趣味に走った地味な曲という印象があった。今回はほぼ全編ポップで、しかもオリジナルで創造的でもある。才能全開の傑作だ。
1曲目「Fight The Blues」で「くよくよしてちゃ敵が喜ぶ」というところは奥田民生が「OT9」の「カイモクブギー」で「あたりまえみたいな顔してろ、でないと今をのりきれないぞ」と言っているのに似ている。「期待されてプレッシャーすごい、それでもやるしかないんです」というのはイチローが「プレッシャーに正面から向き合うことにした」と言っているのに通じる。
宇多田ヒカルは何ヶ月か前にブログで、なんかポップに目覚めたというようなことを書いていた。奥田民生もやっと自分のサウンドを掴んだというし、イチローも正月のインタビュー番組で遂に最終的なバッティングフォームを手に入れたかも知れないと言っていた。
僕が共感して応援している人たちが、去年同時に開眼しちゃったようだ。これは不思議な偶然の一致、シンクロニシティというヤツである。何か時代の流れと関係しているような気がする。
「五感(GOKAN)」の純生ルーロ ― 2008年03月25日
大阪のビジネス街である北浜に五感という名前のケーキ屋があって、小麦粉の代わりに米の粉を使ったロールケーキがおいしいらしい。仕事の関係で堺筋本町によく行くので、ひと駅隣りの北浜で地下鉄を降りて寄ってみた。
店は堺筋の西側に面したビルの1階にあってすぐに判った。開店直後の10時に行ったのだが、シックな店内にビジネスおじさんがたくさんいた。それはその日がホワイトデーだったからだと思われる。おじさんたちは多分義理チョコのお返しに、ケーキ類ではなくクッキーとかマドレーヌとかの乾き系を買っていた。
僕は仕事仲間へのお土産にマドレーヌを買い、奥さんの義理チョコのお返しにロールケーキを買った。1本950円。要冷蔵なので保冷剤を付けてくれる。どちらにも黒豆が入っている。店員さんは応対が丁寧で親切。
マドレーヌはあっさりとして素直な味でおいしかった。ロールケーキも非常にうまい。奥さんにまた買ってきてと言われたが、次回は別のケーキも試してみたい。
石垣島 ― 2008年03月31日
ここ数年、僕の周りで沖縄旅行をする人がとても多い。僕は行ったことが無いけど良いところらしい。奥さんの提案により、我が家も石垣島に行くことになった。
石垣島は沖縄本島からさらに400キロ南の彼方にある。大阪から1600キロも離れていて上海より遠い。広さは220平方キロで大阪市と同じ。我々が滞在している間の最低気温は20℃、最高気温25℃くらいでとても気持ち良く、ずっと風邪気味だったのがすっかり治ってしまった。
マングローブの茂る河口でカヤックを漕いで、竹富島をサイクリングして海岸で星砂を探し、夕日を見て星を見て、グラスボートで珊瑚を観察した。サンゴ礁のビーチに波はなく、子どもたちは海に入ったが水はまだ冷たかった。3泊4日の間に沖縄そばを4回、ゴーヤーチャンプルーを2回食べた。
レンタカーでドライブしていると、時々首輪の付いた犬がひとりで車道を走っているのに出くわす。いいなあ、自由だ。移住したくなった。仕事はどうするか。僕は在宅で仕事をしているので、インターネットさえ繋がればどこに住んでも大丈夫だ。それとも、たこ焼き屋をやるか。
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