ジャズ2009年07月30日

最近、ポップやロックで聴きたいものが無くなってしまったので、ジャズを聴いている。特にエレクトリックになってすぐあたりのマイルス・デイヴィス(In A Silent Way、A Tribute To Jack Johnson、Bitches Brewなど)に興味が湧いてきた。電化マイルスは何か良く判らないから、あまり深入りしていなかったのだが、そのよく判らなさに惹き付けられる。

電化マイルスはアコースティック・マイルスに較べると、音の美しさが劣る。生楽器と違って、電気楽器の音は濁っている。音の美しさを犠牲にしてまでマイルスが電化したのはなぜか。「マイルス・デイヴィス自叙伝」によると、「ミュージシャンは、自分が生きている時代を反映する楽器を使わなきゃダメだ。自分の求めているサウンドを実現してくれるテクノロジーを活用しなきゃならない」とのことであるが、これは「ロックの方が売れているから、ロックに接近しよう」の言い換えに聞こえなくもない。

マイルスが電化してジャズとロックが融合してフュージョンが生まれた。僕の珍説ではロックとはエレキギター中心の音楽である。ジャズについては僕が言うまでもなく「即興演奏」をする音楽である。じゃあエレキギターを中心に即興演奏するフュージョンはジャズに含まれるのかというと、僕の中では含まれない。つまり僕の珍説には「ジャズはアコースティック楽器で即興演奏する音楽である」というのが加わる。

そこまで考えてふと気付いたのだが、ジャズの本質をちょっとひっくり返して「アコースティック楽器で譜面どおりに演奏する音楽」というのを考えると、これがクラシックになる。そういえば、譜面どおりに演奏するクラシック業界においてグレン・グールドはスピードや強弱を譜面どおりに弾かないので異端扱いされた。即興ではないかもしれないが、グールドはちょっとジャズ寄りなわけである。

マイルス・デイヴィスが即興演奏の可能性を開拓し尽くして、ジャズは終わった。ロックも同じところをグルグル回っている。今の時代を反映する楽器は何かな? コンピューター? マイルスはテレビCMで「例えば耳に埋め込んだコンピュータ・チップで演奏できるとか」って言ってたなあ。

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