マニフェスト2009年07月31日

manifestを辞書で引いてみると「積荷目録、乗客名簿」と書いてある。うーん、そういうもんなのか、と思いつつ周りの単語をよく見ると、manifesto「政党などの宣言書、声明書」というのがあった。今話題の政党マニフェストはこっちだ。

マニフェストの話題で思い出すのは、会社員時代に書かされた「成果目標」というヤツである。半年ごとにA3の紙に仕事の目標を具体的に書かされる。その目標の達成度がボーナスの額に影響したりするので、なるべく達成しやすい低い目標を書きたくなるが、あまり低い目標だと上司の承認がもらえない。そこは交渉ごとである。

僕の仕事は製品開発だったのだが、「これこれの新技術を検討する」とかいうのはダメである。「どういう品質でコストなんぼのモノをいつまでに開発する」などと具体的に書かなければならない。そんなこと言われても、新しいものを開発するんだから、できるかどうかはやってみなければわからないのである。それに半年間の仕事をそんな数十文字の目標の達成度で測るなんてナンセンスだ。あれは本当にイヤなものだった。

自分の成果目標を書くのもイヤなのに、部下にも書かせて面談をしなくてはならない。目標なんか立てなくてもちゃんとやるヤツはやるし、いくら目標を立てたってやらないヤツはやらない。そういうアホらしい制度があることも、僕が会社を辞めた理由のいくらかを占める。

会社員の成果目標はアホらしいが、選挙のマニフェストは大いに意味があると思う。そのマニフェストについて、実現可能性を問題にする論調がある。つまり目標が高すぎるのではないかという批判だが、これはおかしい。高い目標を設定するのは、後で批判されるリスクを負っているのだから本人の勝手である。後でチェックして、できていなければ批判すれば良い。後でチェックされない従来の「選挙公約」とは意味が違うのである。

我々はマニフェストの実現可能性ではなく、そこに書いてある政策の方向性に賛成かどうかで投票する政党を選ぶべきである。

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