「ひとの目、驚異の進化」 マーク・チャンギージー2013年01月08日

人間の視覚能力についての研究で、4つの話題がある。

1、人間の色覚が発達しているのは、肌の色の微妙な変化を見分けるためである。肌の色は血中のヘモグロビン濃度と酸素飽和度の組み合わせによって様々な色合いに変化する。それらは、その人の体調や感情を示している。

2、人間の眼が頭部の前に二つ付いているのは、立体視のためというより、茂みの中で葉っぱの向こうを見通すためである。

3、人間の視覚が錯視図形で錯覚を起こすのは、現在の視覚情報から未来の状況を予測しようとする働きが自動的に作動するため。

4、人間の脳が文字をうまく扱えるのは、文字の形状が自然の中に現れやすい形状の組合せでできているから。

カジュアルな文体で内容もなかなか面白かったが、啓蒙書のわりに話が丁寧過ぎてややまわりくどい感じはする。もうちょっと簡潔にまとめた方が判りやすいと思うところもあった。

「ツバメ・ノヴェレッテ」 コトリンゴ2013年01月16日

ツバメはもちろん燕のことだけど、ノヴェレッテは何かというと、短編小説のことらしい。英語のnovelの仲間。さらに調べてみると、短編小説みたいな短い曲を表す音楽用語でもあるのだった。プーランクの「3つのノヴェレッテ」をパスカル・ロジェが弾いているCDが手元にあったので、聴いてみると、このツバメ・ノヴェレッテに通じる雰囲気がある。

紙製のCDジャケットが歌詞カード兼絵本になっていて、曲が絵本のサウンドトラックという趣向。ピアノ、ベース、ドラムのコトリンゴ・トリオが基本だが、いつものようにピアノ弾き語りも、打込みもあって多彩だ。

打込みのサンプリング音は生楽器がほとんどで、いつもと違い、あまりエレクトロじゃなくてクラシカル。オーケストラのように聴こえるサウンドも全部打込みのようだから、スコアを自分で書いて、自分でプログラミングしているのだろう。すごい職人芸を持ったアーチストだ。

このアルバムをスタジオで録音している様子を12時間×3日間、ネットで生中継していた。僕は仕事をしながらずーっと観ていたので、そのときにやっていた数曲を聴くと、ツバメが飛んでいるイメージじゃなくて、狭いスタジオで録音している様子が頭に浮かぶ。

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