阪神 7 - 2 ヤクルト (4/25)2007年04月28日

息子の友だちから電話が掛かってきて、ヤクルト戦の切符が2枚あるけど要りませんかと訊かれた。お父さんの仕事の都合で行けなくなったのだという。最初はありがたく僕と息子で行こうかと思ったが、その友だちも連れて行ってやることにした。当日券があるようなので、僕は自分で切符を買うことにする。

切符はレフトスタンドの席だった。当日券売り場のおばちゃんに見せて、この近くの席を1枚下さいと言うと、横に100席くらい離れた席の切符をくれた。

スタンドに入ってから息子たちと別れ、一人で打撃練習を見ていると雨が降ってきた。小雨なので頭にタオルを被ってぼんやりとグラウンドを眺めていると、中学生の頃に一人で来た時の気分を思い出した。甲子園球場の雰囲気は30年前からあまり変わっていないが、よく考えると細かい変化もいっぱいある。

1、昔は外野席の前にラッキーゾーンがあった。

2、昔は電光掲示板などというものはなくて、手動式のスコアボードだった。

3、昔は外野の芝生が秋になると枯れていたが、今はオーバーシーディングで冬でも青い。

4、昔はトラッキーはいなかった。

5、昔は選手ごとの応援歌はなかった。

6、昔は相手チームのファンがもっとたくさんいた。

7、昔はスタンドが禁煙ではなくて、暗くなると立ちのぼるタバコの煙がライトに照らされてよく見えた。

その他、いろいろ。

それにしても、やっぱりテレビで見るのとは違う。いろんなことがわかって面白い。今回の発見は、ランナーがいる時、キャッチャーがピッチャーに球を投げ返すたびに、セカンドとショートが2塁ベースに寄っていくこと。ピッチャーが取りそこなる可能性を考えてバックアップしているわけだ。野球に限らず、そういうほとんど無駄な労力のように見える手間を惜しまないのがプロのあり方である。

ところで、ヤクルトのセンター青木は思ったより身体がごつい。特に下半身がかなり太い。それから、林威助の打球は鋭い。青木くらい打てるように頑張れ。

攻守交替のたびに赤星と金本がキャッチボールをするのだが、赤星が山なりの緩い球を投げるのに対してアニキは速い球を返すのがおもしろかった。

試合の途中で雨がひどくなり、2イニングくらいはスタンドの裏で雨宿りをした。雨の中、下柳がなんとなく好投して、打線もいつの間にか7点取って、終わってみれば快勝。4安打の今岡がヒーローインタビューで「みなさん、雨に濡れて風邪を引かないようにして下さい」と言う。

息子たちを探しに行くと席にいない。ケータイに電話をして出口で待ち合わせる。前の方の席が空いていたから移動していたとのこと。たくさん点が入ったし六甲颪も歌えて満足したようだ。

サッカー2006年06月26日

日本対ブラジルの試合が始まってしばらくは「日本がんばれ、あーブラジルは流してるなあ」などと思いつつロナウジーニョのプレーを鑑賞していたのだが、15分くらい経った頃にふと「ロナウジーニョはボールをあまり見てない」ということに気づいた。そう思ったらブラジルの選手はみんなそんな風に見える。彼らの目は周囲の状況把握に専念して、ボールのことは脚に任せているのではないか。

前半ロスタイムにロナウジーニョから反対サイドへのふわっとしたパス、それをヘディングでふわっとゴール前に入れてロナウドのヘディングでゴール。日本の選手はこういう浮いたボールに弱い。たしかオーストラリア戦の時も解説の人が言っていたと思うが、みんながボールウォッチャーになってしまってマークが疎かになる。思い起こせばドーハの悲劇も2002年大会のトルコ戦でも 、空中を漂うボールをみんなで空しく見送っているうちに全てが終わったような気がする。

2010年に向けての日本代表の課題は「組織か、個人か」とかで揉めてる場合じゃなくて、「ボールばっかり見ないようにする」でしょう。すごくシンプルだ。いつも首を振ってキョロキョロと周りを見渡しているナカータはやっぱり世界レベルだ。

日記2003年10月23日

近所の人が切符を譲ってくれたので、今夜は甲子園で日本シリーズを観る。だから黄色いシャツを着て会社に行く。息子が小学校から帰ってくるのが4時頃なので、それまでには帰りたいところだ。でも、3時まで会議があり、それから試作品の組立てをやっていたら4時半になってしまった。急いで家に帰り、応援バット大小2本ずつ、阪神帽2つ('92年に買った縦縞と、今年買った黒)、双眼鏡2つ、デジカメ、水筒を用意する。息子のグローブも持っていく。バットとグローブを入れるカバンを探すと、黄色い紙袋があったのでそれを使うことにする。寒くなりそうなので上着も持っていく。荷物が多くなったのでセーターはやめておく。

車に乗り、後部座席の息子に寝ておくように言う。湾岸線を走って行くと尼崎のあたりで甲子園の照明が見えてくる。鳴尾浜の出口を降りると阪神ファンとおぼしき車で渋滞が起きている。信号で並んだ車に乗っている男女がタイガースのユニフォームを羽織っているのを息子が見つける。裏道を走って、実家近くで借りられる秘密の駐車場に車を停める。

もう6時だから普段なら遅刻だが、日本シリーズは6時15分開始なのでまだ間に合う。小走りで甲子園に向かう途中、コンビニに寄ってお茶とオニギリとジェット風船を買う。店の前ではタイガース・グッズを売っている。球場に向かう人々が歩道をぞろぞろ歩いている。歩道に面したいろんな店で売っているタイガース・グッズを物色している人も多いが、試合開始に遅れるぞ~と思いながら追い越していく。空には2機のヘリコプターが旋回して非日常的雰囲気を振り撒いている。

チケットに書いてある入場門から球場に入ると通路に人が並んでいる。焼き鳥の屋台だった。我々の席はバック・スクリーンのレフト側7段目、TVカメラの近く。スコアボードを見ると、先発は井川だ! 今年我々が甲子園に来た時は2試合ともムーアだったので、違うピッチャー、それもエース井川が見られて嬉しい。タイガースの選手が出てきて、観客席にボールを投げ込む。赤星の投げたボールが僕と息子の席から3mくらいのところに飛んできた。惜しい。応援団の合図で選手の名前を一人ずつ連呼し、選手が手を挙げて答えると拍手。最後に井川コールが起きるが、井川だけは答えない。投球練習に集中しているようだった。

スコアボードの上の旗を見ると、ライトからレフトに向かって吹く夏の浜風と違って、ホームからセンター方向に冷たい北風が吹いている。いわゆる六甲颪(おろし)である。1回表ホークスは三者凡退。ホークス応援団はレフトスタンドの四分の一くらいに集まって座っている。球場全体からいうと5%くらいだろう。でも一応ラッパと太鼓に合わせて応援している。

その裏タイガースの攻撃になると、案の定、周りの人たちが全員立ち上がった。僕は試合の展開と関係なく騒ぎ続けるのはあまり好きではなかったのだが、最近は選手も監督も「声援が後押ししてくれる」と言っていることだし、ちゃんと立って応援することにしよう。何しろ、座っていたら試合が見えない。息子は座席の上に立たないと見えない。周りにいる子どもたちもみんな座席の上に立っている。立って、応援団のトランペットに合わせて各選手のコンバットマーチを歌う。

声援の甲斐あって、桧山と片岡のタイムリーで3点を取る。1回の攻撃が終わり、みんなが座って休憩していると何となく2回表の攻撃が始まる。どよめきが聞えたのでグラウンドの方を見ると、松中の打球が飛んでいる。追い風に乗って外野スタンドに入ってしまった。その後、2回裏にまた立って応援し、3回表に座ってオニギリを食べる。

風は大して吹いていないのだが、気温がどんどん低くなってきた。売り子の青年が持ってくるビールが売れなくなり、熱燗が飛ぶように売れ始めた。僕も飲んで暖まりたいが、車で来たからダメである。コンビニで買った熱いお茶を水筒に入れておいたので、それを飲む。立って応援している時はいいのだが、座ってじっとしていると寒い。時々、かすかに雨も落ちてくる。セーターを着てくればよかった。

しばらくはどちらも点が入らず、このまますんなりと勝ってしまいそうな気配だった。5回の裏が終わってグラウンド整備の間に赤星と金本がキャッチボールをしているところをデジカメで撮る。6回の裏には金本兄貴のホームランがバックスクリーンに突き刺さり、楽勝ムードになる。

7回の表にホークス応援団がどこかで聞いたことのある曲を演奏している。よく聴くと「若鷹軍団~」というダイエーホークスの応援歌だった。どこで聞いたのかというと、ダイエーの店内である。初めて聞いた時は「若貴軍団?二子山部屋の歌か?」と思ってしまった。この若鷹の歌はマイナーで悲壮な感じがする。このシリーズで初めて聞いた城島の応援歌も本人のキャラクターに反してマイナーだ。マイナーの応援歌というのは、ちょっとどうかと思う。物悲しいメロディーで気分が沈んだはずなのに、ホークスが井川を打ち崩して1点差になってしまう。満塁で代わった安藤がフォアボールを与えて同点。その間に応援団がジェット風船をたくさん配り、我々のところにも回ってきたのでそれを膨らます。

ラッキーセブンのファンファーレが鳴り終わって風船を飛ばす。7回裏には点が入らず、でもまあホームだからサヨナラ勝ちだろうと思っていると、8回表に2アウト満塁のピンチになる。安藤がピッチャーゴロをはじき、拾い上げたので「よっしゃ」と思ったら、ボールが手に付かずポロッと落としてしまう(記録はヒット)。当然3塁ランナーが還って逆転されてしまった。

8回裏、フォアボールで出た金本が盗塁を決める。このあたり、僕はメガホンを置いて双眼鏡でバッターを見ることに集中していた。TVカメラのそばから見ているので、TV画面と同じ景色である。絵は同じだけど、音は全然違う。レッツゴー、ジョージ!アリアスは声援に答えて苦手の外角スライダーをレフト前に運んだ。同点だ!これでサヨナラ勝ちの雰囲気が濃厚になる。

9回表、ピッチャーはリガンに代わり、誰かの打席で2ストライクになったはずが、バッターが1塁に歩いて行く。何が何だか判らない。打撃妨害でもあったのか?星野監督も飛び出してくるが、抗議は受け入れられずランナー1塁でプレー再開。観客には何の説明も無い。これはイカン。誰かが「説明せえよ!」とヤジを飛ばす。その後で奥さんから僕のケータイに電話がかかってきたので、「さっきのは何?ボーク?」と訊くと、「ボーク、ボーク」と教えてくれた。

ウィリアムズが抑えてチェンジになったが、9回裏タイガースも0点で延長戦に突入する。10時をまわり、明日のことが気になり始める。日本シリーズの延長は15回までである。そこまでいったら明日になってしまう。最後まで観たいが、11回くらいが限界だろう。寒いし、時間は気になるし、早く決めてくれ~と思っていると、金本がすごく低い弾道のライナーを打ち、打球はレフトスタンドに飛び込んだ。

サヨナラホームランに驚喜乱舞し、僕が周りの人たちとメガホンを打ち合っていると、息子も後ろの席の少年とメガホンを打ち合っていた。星野監督と金本選手のインタビューが始まるが、息子が全然見えないというので肩車してやる。インタビューが終わったところで息子を降ろし、六甲おろしを歌ってから帰る。