「ゲット・アップ!」 神保彰2008年07月05日

昔のカシオペアみたいだ。曲の雰囲気が似ていて、なんか懐かしい。違うのはキーボードがシンセじゃなくて生ピアノであるところ。みんな上手いからパッと聴いた感じはなかなか良い。でも、何回も聴いていると段々何かが足りないような気がしてきた。

同じようにギター、ベース、ドラム、ピアノでバカテクのフュージョン・バンドをやっている上原ひろみの曲を聴いているときに判った。神保彰の曲はなんかマジメで物足りないのである。上原ひろみの音楽にあるような毒が無い。どんなジャンルでも作品には毒があってこそ嗜好品にもなり得るのだし、うまく使えば薬にもなったりするわけである。

最近、神保彰のドラム教則DVDを買ってみたのだが、とんでもない超人的なテクニックを追求していて呆れた。神保師匠の超絶テクには毒があるのだ。誰かのバックでドラムを叩くのはイヤなんだろうか。その方が師匠のドラムが活きると思うのだけど。

オーディオテクニカ ATH-CM700Ti2008年07月06日

シュアーのE4cの音質には満足しているのだが、耳栓式のイヤホンにはいろいろと欠点がある。その1、耳垢で汚れる。汚れるだけならまだ良いのだが、イヤホンの穴が詰まって音が聞こえなくなったり、耳垢が潤滑剤になってパッドがスポッと抜けたりする。その2、周りの音が全然聞こえない。おかげで電車の駅を乗り過ごすこともあるし、もし後ろからヘンなヤツが襲い掛かってきても気配が分からない。

そういうわけで、耳栓式じゃないイヤホンに変えたい。E4cはちょっと低音が弱いので、なるべく低音の出るヤツが良い。電器屋のイヤホン売り場にオーテクの試聴機があったので聴いてみるとまあまあ低音も出ていて気に入った。本体がアルミのとチタンのがある。チタンの方がちょっと高い。音は違うのか、聴き比べてみても同じような違うような、何となくチタンの方が気に入ったような気もするが、よく判らない。

ネット上の評価を調べても賛否両論というか、納得のいく意見はない。どうせ同じようなものなら安い方でいいという気になってきた。でも何となく気に入ったという自分の感覚に従ってチタンの方を買った。

音はまあまあクリアだし低音も良く出ているので満足。耳垢で汚れることもないし、耳栓式より周りの気配が判る。ただし、耳栓式より姿勢が安定しないのはしょうがない。

興味があるのでアルミとチタンの物理的特性を調べてみた。イヤホンの本体としてどちらが良いのかはやっぱりよく判らない。しかしチタンというのは問題のある材料であることが判った。チタンを精製するときの廃棄物に放射性物質が含まれるので、その処分が問題になるらしい。うーん、そうだったのか。今後はチタン製品を選ばないようにしたい。

くいだおれ2008年07月09日

学生時代にバンド仲間の間で「くいだおれ」と呼ばれているドラマーがいた。妙に背筋を伸ばしたまま、腕だけでドラムを叩いているように見えるからだった。

前に勤めていた会社にも「くいだおれ」というあだ名の男がいた。ひょろっと背が高く黒縁眼鏡を掛けていて眉毛が太かったからである。

一回だけ「くいだおれ」に行ったことがある。就職したばかりだったから1985年のことで、同期入社の友人たちとミナミに繰出したものの、どこでご飯を食べたらよいかわからず「くいだおれ」しか思い付かなかったのだった。たしか、1階の食堂で何か洋食を食べたと思う。味は特に印象に残っていない。

その時にくいだおれ人形(その頃にはまだ太郎という名前は付いていなかった)を間近で観察した。くいだおれ人形が叩いているように見える太鼓はチャチな作り物だろういと思ったら意外にもヤマハのスネアドラムだった。僕もヤマハのドラムを使っていたので親近感が湧いた。ただし、実はくいだおれ人形はそのスネアを叩いていない。ドンと鳴るのは背中にしょったバスドラムだ。

道頓堀のあたりをぶらぶらしていて、人混みの奥でくいだおれ人形の鳴らす「チーン、ドン」という音が聞えてくると、何となく祝祭的な気分が醸し出される。くいだおれ人形がいなくなると寂しいという意見が多いようだが、たしかにあのレトロな音がなくなると道頓堀の雰囲気はかなり変わるような気がする。でもよく考えると、もう何年も道頓堀には行っていないし今後行くつもりもないのだった。

「MODERN GUILT」 BECK2008年07月19日

いつものコラージュ的で面白いアレンジではなく’60年代のロック風サウンドで音質もローファイ。演奏時間も30分ちょっとしかない。懐古的だ。イヤホンで聴いたら、リズムがヘヴィー過ぎてちょっとどうかなと思ったが、スピーカーで聴くと懐かしい感じで良い。

ジャケットもサウンドと同様、いつものようにポップな感じではなく、白黒写真に名前とタイトルだけ。しかしこの雰囲気はどこかで見覚えがある。思い出した。ボブ・ディランの「モダン・タイムズ」をCDラックから探し出して見比べると、写真の図柄は違うが白黒写真に名前とタイトルだけでデザインのコンセプトはかなり似ている。

ベックは白背景に黒の文字で「BECK」、金色で「MODERN GUILT」、ボブ・ディランの方は黒背景に白で「BOB DYLAN」、金色で「MODERN TIMES」。音楽ジャンルは違うが、社会批判的な歌を昔風サウンドに乗せているという点も共通している。そもそもタイトルが似ているし、これはボブ・ディランさんへの共感の挨拶なのではないだろうか。

冷蔵庫2008年07月31日

夕食後に麦茶に氷を入れて飲もうと冷蔵庫の製氷室を開けた奥さんが、氷が解けかけていると言う。冷蔵室を開けると照明は点いている。温度設定は中と強の間。冷凍室を調べると、凍らせていたバナナや明太子が柔らかくなっている。これはいかん。冷蔵庫の側面を触ると、いつもは放熱で熱くなっている部分が全然熱くない。扉に耳を当ててみるがコンプレッサーの音もしない。

冷蔵庫の取り説の「故障かなと思ったら」の項目を読むが、どう考えても故障しているという結論になった。お客様相談室の受付時間はもう過ぎているので明日電話することにする。奥さんがクーラーバッグを出してきて、冷凍室の冷凍食品と保冷剤を詰めた。明日の朝は冷凍食品の朝食だなということになる。冷凍みかんがあったのでみんなで食べる。家にある保温水筒を全部出してきて、冷蔵室に冷やしてあった麦茶と解け残った氷を詰める。

この冷蔵庫は去年買ったばかりだ。保証書には2007年9月から1年保証と書いてある。幸い補償期間中だが、こんなに早く壊れてもらったら困る。先代は16年働いた。10年目に冷えにくくなったので修理を呼んだらコンプレッサーの寿命だと言われ、4万円払って交換してもらったのだった。

それにしても難儀やなあと思いつつ、水筒の冷たいお茶を飲む。ふと思い付いて冷蔵庫の電源プラグをコンセントから抜いてみる。再び差すとブーンと低い音が鳴った。すぐに冷蔵庫の側面が熱くなり始めたので直ったのは間違いない。なんだそりゃ。制御プログラムのバグか。最近の家電は何でもマイコンが入っているからなあ。もっと早く電源リセットを思い付くべきだった。ちゃんと取り説に書いとけ!