「YUKI Concert New Rhythm Tour 2008」 DVD2009年04月03日

YUKIのライブを見てみたかったので、去年DVDを買おうと思ったのだが、アマゾンのユーザーレビューですごく評判が悪かったので見送った。曲がカットされていたりして、編集が良くなかったようだ。今年出たのは良さそうなので買った。

大体CDと同じアレンジで、意外にバンドサウンドで勝負している。良いバンドだと思う。曲が良いしYUKIも楽しそうに歌っているし、ハッピーな気分になれそうなライブだ。名曲「JOY」のアレンジが凝っていてカッコイイ。

ステージの背景に映されている映像がオマケに付いている。僕はライブ映像以外のミュージックビデオが好きではないのだが、見てみるとなかなか良かった。じっくり見るとすごく手間ヒマがかかっている。バックに流れるライブ演奏との組合せも面白い。

YUKIはステージでは子どもみたいにニコニコと歌っているが、メイキング映像を見るとプロデューサーでありバンドのリーダーとしてみんなを引っ張っている。シュールとリアルが両立した面白いキャラクターだ。

ロックとポップの違い2009年04月06日

僕は昔からロックとポップの違いについて考えてきたのだが、遂に結論が出た。もしかしたら既に当たり前の話かもしれないので、ググッてみることにすると、検索窓に「ロックとポ」まで入力したところで「ロックとポップの違い」という検索語の候補が出た。この件について考えている人は多いようである。でも、僕の考えたようなことを言っている人は見当たらないので、ささやかながらここに発表する。

ポップとロックは明確に分かれるものではない。それどころか、今や世の中に溢れるポピュラー音楽のほとんどはロック・アレンジで、ポップロックといっても良いようなものである。しかしながら、思うにロックとポップの本質ははっきりと違うのである。

ロックとはエレクトリック・ギターのサウンドを追求する音楽のことで、ポップはヴォーカルが中心の音楽である。その根拠は以下のとおり。

1、ロックにはインストルメンタル(楽器だけで歌が無い)曲はあるが、インストルメンタルのポップというものは無い。つまり、ロックにヴォーカルは無くても良いが、ポップにヴォーカルは不可欠である。

2、ポップにはヴォーカルだけのア・カペラ曲というのもあるが、ア・カペラのロックというのは考え難い。つまり、ポップに楽器演奏は必ずしも必要無いが、ロックには楽器が必要。

3、ロックに必要な楽器は何か。ある楽器を単独で演奏した場合にどう聴こえるかを考えてみる。ドラムとベースはジャンルを規定しない。アコースティック・ギターを鳴らしたらフォーク、キーボードを弾くと(クラシックでもジャズでも無ければ)ポップ。独奏でロックたり得るのはエレキギターだけである。→ジミ・ヘンドリックス「The Star Spangled Banner」参照。

そういうわけで「ロック=エレキギター、ポップ=歌」であることが証明された。ということはロックは電気工学が一般に普及した20世紀後半以降の音楽であり、ポップは人類発祥以来の音楽であるともいえる。

ポップは歌が中心であるという意味でいわゆる民族音楽とも繋がっているし、どんな楽器によるサポートも可能である。それに対して、ロックはエレキギターが中心であるがゆえにサウンド表現に制約がある。要するに他の楽器はギターを邪魔しない程度にしか使えないのである。

ロックは20世紀の電気工学に固く結び付いているが、最近の電子工学の発達によりデジタルサウンドの演奏・録音技術がアナログなギターサウンドを押しのけつつある。エレキギターが鳴っていても、それが中心でなければロックではない。ロックは工学技術の変遷に伴って消えつつあるということだ。ロックはポップに吸収されかけているといえるだろう。

以上の考察を中心に電子本を書きました。
↓拙著 「ポピュラー音楽の聴き方」  よろしく!
「ポピュラー音楽の聴き方」

「ALL OVER THE WORLD」 ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA2009年04月08日

再結成したユニコーンがTV番組で「ヒゲとボイン」を演奏しているのを見て、元ネタのELOを聴きたくなっていたところ、仕組まれたようにアマゾンからELOのベスト盤をおすすめされた。輸入盤1148円(2013年末時点では793円)。これは買うしかない。

ELOをじっくり聴くのは高校生の頃の「ディスカバリー」以来30年ぶり。最初の方はやっぱりビートルズやジョージ・ハリスンっぽい。クイーンにも結構似ていることを発見。ストーンズみたいなのもある。ジェフ・リンはすごくオリジナルでありながらパロディだかオマージュだかもやっていたのか。

僕が初めてELOを知った「Turn To Stone」、「ヒゲとボイン」の元ネタ「Shine A Little Love」、オリヴィア・ニュートン‐ジョンが歌っていない「ザナドゥ」などいろいろ名曲がある。知らない曲もいっぱいあったが多彩で楽しめた。

シンセサイザーやヴォコーダーを使うピコピコサウンドは、今で言うエレクトロ・ポップのはしりかなと一瞬思ったが、リズムが全然違う。エレクトロ・ポップの無機質な打ち込みビートとは正反対に人間味のあるロケンロールなノリ。なるほど、ELOのサウンドはそういうバランスで成り立っていたのか。面白いなあ。

4月9日 阪神 2 ‐ 4 広島2009年04月10日

息子の友人から3塁アルプスの入場券を2枚もらったので甲子園に行った。ジョーシンで家電製品を買って入場券が当ったのだが、野球に全く興味が無いからとくれたのだそうだ。我が家にはなぜか色々なところから「抽選で当った」とか「行けなくなった」という阪神戦の切符が回ってくる。ありがたいことである。

いつもは車で行って実家の前に停めるのだが、最近開通した阪神なんば線に乗ってみることにする。阪神が難波に繋がったのは画期的だと思うけど、難波から尼崎までが各停なので20分もかかってちょっとガッカリ。南海難波から大阪難波まで歩くことを考えると、御堂筋線で梅田に行って阪神本線の特急に乗るのと変わらない。

甲子園の外観はベージュになり、アプローチの階段が付いたりして雰囲気が変わった。タイガースショップで、息子の友人に「甲子園リニューアル記念タオル」を買った。いつもはコンビニでオニギリを仕入れて行くのだが、甲子園リニューアル記念に球場内の売店で弁当を買う。僕は穴子弁当、息子は蛸めし。兵庫県の特産物を使っているわけである。なかなかうまい。でも量が少ないし900円は高い。電車で来たのでビールを飲もうかと思ったが、日が暮れると少し寒くなってきたのでやめる。

新しい帯状のLEDディスプレイは派手過ぎる。選手は気にならないのだろうか。前から思っていたのだけど、攻守交替の間にコマーシャルが流れるのもうるさい。300人くらいしかいないくせに広島の応援もラッパがうるさい。鳴り物の応援は禁止してWBCの試合のような雰囲気で観たい。

と、文句ばかり言うようだが、全体として甲子園はやっぱり良いなあと思った。野球を生で観るのはテレビとは別ものである。持って行ったラジオは聴かずに生の野球に集中した。時々心の中で実況中継をしてみる。僕は子どもの頃、スポーツアナウンサーになりたかったのだった。

試合は不完全燃焼気味。先発石川は4点とられたけど、球は悪くなさそうだった。チャンスで何度も新井が凡退。新井がファウルフライを取り損ねた打者も四球で出塁してホームまで還ってくるし。新井大丈夫か。腰が悪いんじゃないのか。メンチが守備でライトゴロを見せてくれたのは良かった。

今まで甲子園のいろいろな席から野球を見たが、今回の3塁側アルプススタンドというのは、一番試合に入り難いような気がする。斜めだし、遠いし。9回裏2アウトになってあきらめかけていたら、代打今岡が二塁打を打った。それで1点入ったと思っていたのだが、後でスポーツニュースを見たら入ってなかった。

帰りは甲子園駅に入るのにしばらく並んだ。阪神が勝ったら、みんなが六甲おろしを歌っている間に帰れば良いし、ボロ負けだったら試合が終わる前からゾロゾロ帰り始める人がいるのだが、ギリギリで負けるとみんな一斉に帰るから一番混雑するのだ。

「告白」 チャットモンチー2009年04月15日

このヴォーカルは天然だ。カッコつけていないが、表現力がある。曲もポップでなかなか良い。演奏もギター、ベース、ドラムの最小限の編成ながら曲ごとに雰囲気を変えてよく頑張っている。

リードギターのテクニック不足は、ヴォーカルと曲の良さとアレンジのアイデアでカバーしている。でも、そうなるとロックというよりポップである。いわゆるスリーピースのロックバンドというスタイルにこだわっているようだが、このまま突き進むのはちょっと苦しいのはなかろうか。

ライブは3人でシンプルにやるとしても、レコーディングではもっと自由にいろんな楽器を入れて表現の幅を広げれば良いのに。今のところ、3人でできることの可能性を追求しているようだが、いつか限界を感じたら変化するのではないか。

津山2009年04月20日

この前、祖父母と曾祖母の法事があった。今まで法事には行かなかったのだが、いつになく親戚が大集合するというので行った。岡山県の津山市というところ。中国山地の川沿いの城下町。

大阪から高速バスで3時間弱、2670円で行けるのだが、ETC値下げの影響で渋滞するかもしれないのでJRで行く。新大阪から新幹線で岡山まで1時間弱、岡山から津山線で1時間強で行ける。料金は倍以上かかるが、鉄道の方が好きだから構わない。

山陽新幹線に乗るのは高校の修学旅行で九州に行ったとき以来。トンネルばかりでつまらんなあと思っているうちに岡山に着く。津山線は1時間に2本しかない。出発までまだ15分もあるのに3両のディーゼル車が停まっていてほぼ満席。ワンマンカーなのでドアはボタンを押して自分で開ける。

沿線はのどかな緑の景色だが、雨が降っていて窓が曇ってよく見えない。列車はガタゴトと激しく縦に揺れる。腰に悪い。レールが昔のままで短いうえに、保線作業が行き届いていないのだろう。iPodを聴きながらぼおっとしているうちに津山に着く。

津山市内の人通りはほとんどなく、駅前の商店街は壊滅している。シャッター通りどころか、廃屋や更地も多い。タクシーで叔父の家に着くと、30人以上いる。誰だか判らない人もたくさんいて、自己紹介し合う。いろいろなおじさん、おばさんと握手をする。何人かのおじさんの苦労話を聴く。

読経の後の会食で、17年ぶりに会った従兄弟と話す。この前会ったときはほとんど話さなかったので、ゆっくり話すのは小学生の頃以来だ。田んぼのことを訊くと、かなり休耕したり宅地にして貸したりしているという。

ところで、津山といえばB'zの稲葉君の出身地である。従兄弟は幼稚園から中学まで同級生だったそうだ。従兄弟によると、稲葉は頭のいいヤツやった。デビューしてまだ売れない頃は後援会みたいなのを作ってみんなでレコードを買ったりした。その当時は聴いても何も思わんかったけどなあ。

全員で記念撮影をして数分後にはキャビネサイズの写真が配られたので驚く。お供えのお下がりをたくさんもらい、従兄弟が車で駅まで送ってくれる。津山線の縦揺れでまっすぐに座っていられず、膝に伏せて寝てしまう。家に帰って稲葉君の兄が経営する「くらや」のお菓子「いちま」を食べたら美味かった。

「バレエ漬け」 草刈民代 (幻冬舎文庫)2009年04月29日

この前テレビで草刈民代さんが商店街を歩いているのを見た。背筋がビシッと伸びてとても美しい歩き方だが、足元は見事な外股である。商店街を歩くときもバレエ・ダンサーなのだ。

うちの奥さんが草刈民代さんのファンで、この本を貸してくれた。編集者がまとめた口述本かと思ったら、意外にもちゃんと自分で書いているようだ。しかも上手い。歩き方と同様にビシッと筋が通っていて、外股な感じがする。文章がこれだけ本人の雰囲気を表しているのは、なかなか稀なことだと思う。

最初に文章を書こうと思ってから20年経ったのだという。民代さんは多分、バレエ・ダンサーとして身に付けた回路を使って文章を書いている。村上春樹さんが「どんな風に書くかというのは、どんな風に生きるかというのとだいたい同じだ」といっているとおりのやり方である。実はそういう文章を書く人は非常に少ない。ちゃんと生きている人の多くは文章なんか書かないし、文章に熱心な人は生きることが疎かになりがちだ。

これくらいの一流になる人は何の迷いもなく自分の道を進んで来たのだろうと思っていたが、給料をもらうバレエ・ダンサーという仕事が存在しない日本でプロとしてバレエを続けるうえでは常に葛藤があったと書いていて驚いた。大事な舞台の前に緊張で胃が痛くなったりするとも書いていて、イチローの胃潰瘍を思い出した。

バレエの作品やダンサーの話は不案内でよくわからないが、不注意で忘れ物ばかりしていた子どもの頃のことや、周防監督との結婚の話など、いろいろ面白かった。