「ロックで独立する方法」 忌野清志郎2009年10月15日

音楽で食べていくということについて、明晰に語っている。前衛は売れないからイヤだが、売れセン狙いのポップもイヤだ。そういうジレンマを抱えながら、自分なりのオリジナリティを模索していくしかないという。これは心ある表現者は必ず意識していることだと思う。奥田民生も村上春樹も同じようなことを言っていた。

岡本太郎の「今日の芸術」をすごい本だと紹介している。芸術にはアヴァンギャルドとコンテンポラリーがあって、アヴァンギャルドが時代をぶっ壊し、コンテンポラリーはそれをうまく取り入れて流行にする。そういうことが書いてある、と。今の時代の閉塞感は、みんなが安全で儲かるコンテンポラリーに回ってしまったせいだとキヨシローは言う。

音楽ジャーナリズムにも疑問を呈する。GLAYのコンサートに何十万人とかB'zのベストアルバムが何百万枚とか、音楽の話題じゃなくて統計の話題じゃないか。インタビューでもなぜこの曲を歌うのかとか歌詞のことは訊かれるが、音楽そのもののことを全然訊かれないのだという。

その他、音楽業界の問題点とそれに対処する苦労を自伝的にストレートに語っていて、非常に面白かった。ミュージシャンに限らず、社会の中で独立して生きるということについて、示唆に富んでいる。

 → 「瀕死の双六問屋」 忌野清志郎

 → 他の音楽本の記事

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