「1Q84 book3」 村上春樹 ― 2010年04月18日
book1、2では知らない世界に連れて行かれていろいろびっくりしたが、今回は帰り道だから新しい景色に出会わない。この収束する感じは「ねじまき鳥」第3部のときとはちょっと違う。book1、2で膨らんだ世界が縮んで行くような話で、読むのが楽だった。
しかし例によって1回読んだところでは、書いてあることが判っただけで、その意味はよく判らない。作中の小説『空気さなぎ』のように、ただのファンタジー小説のように見えて実は社会的な効果を狙っているのかもしれない。あるいは、ユングの『塔』について書かれているように、個人の意識の分割と展開を示唆する曼荼羅として書いたのかもしれない。
今回一番印象に残った比喩は「長い貨物列車が鉄橋を渡り切ることができるくらいの時間をかけてようやく小便を終えると」というもの。
コメント
_ hijk ― 2010-06-02 23:43
_ ぶんよう ― 2010-06-03 08:11
僕も昔「ノルウェイの森」や「ダンス・ダンス・ダンス」を読んだ頃に同じことを考えました。村上さんは両親が国語の先生で(僕は中学2年のときに村上さんのお父さんに古文を習いました)、小さい頃から日本の古典文学を暗記させられて食卓の話題に源氏物語が出てくるような育ち方をしたらしいです。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://bun.asablo.jp/blog/2010/04/18/5027137/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
凄く面白くて、「どんな人生経験を積んだら、こんな
比喩が書けるようになるんだ」と驚嘆しちゃいました。