2007年09月03日

最近冷凍の切り身魚しか食べていないので、新鮮な魚を仕入れようということになり、日曜の朝、漁港の魚市に出かけた。奥さんは岸和田に魚市があるというのだが、臨海道路を走っても見当たらず、更に南下して泉佐野まで行くと「青空市場→」という表示があった。

表示に従って港の方へ進むとすぐに青空市場に着く。青空とはいっても建物の中で、通路の両側に10軒ずつくらいの魚屋が並んでいる。スーパーの魚売り場じゃない本物の魚屋に来るのはものすごく久しぶりだ。キス、ガシラ、タコ、アナゴを買う。どこで獲れたのかしらないが鮎もある。旨そうなので鮎も買った。

家に帰って奥さんが午後半日かけて全て料理してくれた。キスは天ぷら、ガシラは煮付け、タコも煮物、アナゴと鮎は塩焼き。夕食にキスとタコと鮎を食べた。どれも旨かったが、特に鮎が良かった。また食べたい。今晩のオカズはガシラ。

ウィスキー・ブーム終了2007年09月04日

去年の夏からのマイブームであったシングルモルトウィスキーの探求が終わった。なんで終わったのか考えてみると、僕が酒に弱くて1本空けるのにひと月かかるという問題もあるが、それよりもシングルモルトの世界が思ったより狭かったのだ。

最初はスーパーの酒売り場に置いてあるスコッチシングルモルトを順番に試してみたのだが、それぞれものすごく個性があって楽しかった。次に中級者の領域に入り、専門店に行って何種類か試してみた。そこにはもっと幅広い個性があるものと思ったら、どちらかというと地味で素朴な感じの世界だった。スーパーの酒売り場に並んでいたのはオールスターチームだったわけである。

個人的な結論としては、スコッチではなくアイリッシュのブッシュミルズ・モルトというのが非常に気に入った。煙いピート香が無くて蜂蜜のような甘い香りと樽の木の香りのバランスが絶妙である。飲むたびに「ウマイなあ」と思う。これからも時々飲みたい。あとは、煙い系のボウモアラフロイグを気が向いた時に飲むという程度で充分だ。

今後何をメインに飲むかというと、やっぱり芋焼酎に回帰します。どんな料理にでも合うし頭も痛くならない。

「錯覚する脳」 前野隆司2007年09月21日

「おいしい」も「痛い」も幻想だった、というのが副題で、帯には「意識のクオリアも五感もすべては錯覚だった!!」と書いてある。だいたい僕の考えていることと同じである。例によって映画「マトリックス」の世界に言及している。「マトリックス」的世界観は21世紀の認識論の基本だ。

全ては幻想であるということを軽い文体で科学的にわかり易く書いていて面白かった。僕の考え方と似ているところも多い。著者はロボットの研究者で、工学的観点から認識論を考えているうちに「全ては幻想だ」という結論に至ったようだ。そういえば僕もロボットの研究者になりたくて大学の機械学科に行ったのだった。

全てが幻想であるというのは著者の発見ではなくて、もっと昔にブッダが言っている。著者も今では釈迦の悟りが理解できるといい、人生論、幸福論を語り始める。言ってることはだいたいそのとおりだと思うのだが、何かちょっと短絡的なところがあるような気もする。

「風の歌を聴け」 DVD2007年09月25日

村上春樹のデビュー作の映画化。「風の歌を聴け」という小説は何度読んでも発見があって面白いが、映画は別物だろうと思ってずっと見ずにいた。ところが、最近「東京紅団」というサイトを発見して、映画「風の歌を聴け」のロケ地の写真を眺めているうちに映画が見たくなった(このサイトは誰がやっているのか知らないが、様々な作家にまつわる場所をあちこち訪ね歩いていて面白い)。

小説「風の歌を聴け」の舞台は(明示はされていないが)阪神間で、映画も阪神間で撮影されている。映画が撮影された頃、18歳くらいの僕も阪神間をウロウロしていた。僕の興味は映画の内容より、そこに映っている昔の阪神間の風景にある。

見てみると、懐かしい風景が次々に出てくる。今は無い西宮球場とかクリスボンとか。自分の知っている場所ばかりなので、ああ、ここで撮影したのか、と背景の方が気になる。映画本編ではなくメイキング映像を見ているみたいだ。J's Barの場面が撮影されたのは三ノ宮にある「HALF TIME」という店で、映画が公開されてから数年後に行ったことがある。ビールを注文すると映画と同じように瓶入りのバドワイザーが出てきた。3フリッパーのピンボールも置いてあった。

セリフやナレーションはかなり原作に忠実だ。小説から映画に移し替える工夫もいろいろ考えてあって、映画独自の場面もある。うーん、でも中途半端だ。もっと忠実度にこだわった方が良かったと思うけど、そうするともっとスカスカになるか。まあ何しろ昔懐かしかった。小林薫も室井滋も若い。

「Age Ain't Nothing But A Number」 アリーヤ2007年09月27日

'94年に15歳でデビューした天才少女R&Bシンガー。15歳にしては渋いスローな曲ばかりだが、落ち着いた声で歌っていてカッコイイ。歌い方はちょっと宇多田ヒカルに似ている。15歳でメジャーになったところも同じだ。宇多田ヒカルのアルバムの中に、あまりポップじゃなくてシングルにならないR&Bっぽい曲が何曲か入っているが、そっち方面の曲の元ネタはこれだったのか。

こういう「リズムトラックと歌だけ」に近い音楽は退屈だと思っていたのだが、アリーヤの歌を何度か聴いているうちに、良さが少しわかってきた。歌のバックで鳴っている単調なコードとリズムに意識を集中すると、気分がだんだんレイドバックしてくるような気がする。今までと違う感覚を発見した。

この人は2001年に飛行機事故で亡くなったのだが、ウィキペディアによると、当時「マトリックス・リローデッド」に出演が決まって撮影中だったそうである。ついでに調べてみると、アリーヤの代役で出たノーナ・ゲイはマーヴィン・ゲイの娘だそうだ。