年越し2008年01月03日

僕は1月1日は冬至に合わせるべきだと思う。今日からだんだん日が長くなっていくという日を1月1日にすれば、本当に年が明けた感じがするではないか。一年の長さは地球が太陽を回る周期に合わせて閏年まで設定してわりと厳密に決められているのに、一年の始まりは太陽の運行を基準としていない。中途半端である。

それはそうと、我が家ではなぜか毎年大晦日にちょっと贅沢をする。今回は近所のスーパーで佐賀牛のステーキ肉と紋甲イカとホタテ貝柱を買ってきて、コタツでコンボクッカーのスキレット(鋳物のフライパン)で焼いて食べた。旨かった。外食するよりかなり安いし。

そうやって食事をしながら久しぶりに紅白歌合戦を見たら、意外に楽しめた。NHKも開き直ったのか肩の力が抜けた演出で、カメラワークや音のバランスも良かった。結局半分くらい見た。その後、スカパーでキヨシローのカウントダウンを見ながらニシンそばを食べて寝た。

バロン ド ロートシルト サガ R (赤)2008年01月04日

我が家ではワインを飲むとしたら千円前後のイタリアワインを買うことが多くて、フランスワインのことはよく判らない。しかしフランスの中心的銘柄はロートシルトというものらしいというかすかな知識だけがある。昔、村上春樹がロートシルトの赤は良いけど2万円くらいするのでそうそう飲めないと書いていたが(「村上朝日堂の逆襲」)、そんな高いものは買う気もしない。

この前、生協の宅配食材のカタログにバロン・ド・ロートシルト・サガ・Rというのが載っていて、2200円くらいだった。訳すと「ロートシルト男爵、Rの伝説」で大層な名前だが、ネットで調べるとロートシルトの廉価版とのこと。どんなもんか買ってみることにした。

大晦日に佐賀牛を食べながら飲んだら、なるほどうまかった。口当たりが滑らかで、香り、甘み、渋味、酸味などのバランスがとても良い。文句の付けようもないが、あえていうなら優等生的で面白味はない。想像していたとおりの味である。2万円の世界は不明だが、ワインの評価軸みたいなものはちょっと判ったような気がする。でも一回飲んだからもういい。

それにしてもワインの瓶は重いしヨーロッパは遠い。フードマイレージ的には問題がある。安くてうまい日本産ワインが無いか探求してみる必要がある。

「不都合な真実」 アル・ゴア2008年01月06日

義母が貸してくれたので読んでみた。分厚い本なので読むのが大変かと思ったら、すぐ読めた。多分これは読む本じゃなくて、ゴアが講演の時に使うスライドを見る本なのだろう。

温暖化に対する寄与率という図があって、アメリカとヨーロッパがそれぞれ概ね3割を占めている。日本の寄与率は3.7%しかない。端的にいって温暖化は欧米人に責任があるのだ。日本人がこれ以上いくら頑張っても温暖化に対して直接ブレーキを掛けることはできないわけである。欧米の方々はこの本を読んでしっかり省エネに努めてもらいたい。

とはいえ、我々もさらに省エネ生活を目指すべきである。なぜかというと、温暖化云々とは別に、これから先はエネルギー資源の枯渇という問題もあって、否応無く省エネ生活にシフトしていくはずだから。そうなればエネルギー消費による便利・快適が減り、生活に手間暇が掛かるようになるので、心身共にそれに備えておいた方がいいと思うのだ。

「日本の行く道」 橋本治 (集英社新書)2008年01月09日

今の日本の社会は何かがおかしい。しかもその外側には地球の温暖化という問題もある。日本はいったいどういう道を行けばいいのか。その問題を延々と回りくどく考えていった結果、結局日本は1960年代前半に戻ればよいという話になる。

それから明治維新・産業革命の分析をする。日本は江戸時代既に工業性手工業が完成して平和に暮らしていたので、産業革命の必要は無かったのだ。当時は開国して近代化を目指すしか無かったが、行き詰ってしまった今となっては、改めて別の選択をすればいいのである。日本は江戸時代に戻ったっていいのかも知れない。

江戸時代では極端なので60年代前半で妥協してはどうかというわけである。それで貿易戦争にはそこそこに勝つことにする。勝ちすぎると国内の農業が壊滅してしまう。日本は工業製品を作り過ぎで、農業製品は作らなさ過ぎなのだ。必要な物を必要なだけ作る経済に戻せばよい。

一番面白かったのは、著者が「60年代前半に戻す」というときの具体的なイメージだ。60年代前半には新幹線もコンピュータもあった。無かったものは超高層ビルである。だから「60年代前半に戻す」とは、今ある超高層ビルを壊すことなのである。それで減ったオフィスや住居を地方に移転すると地方が活性化する。

また、経済発展の象徴である超高層ビルを日本が壊し始めると、日本の真似をして経済発展しようとしている中国がうろたえる。そうやって中国にも地球温暖化のことなんかも真剣に考えてもらうというのだ。

シャトー勝沼 赤わいん (中口)2008年01月09日

日本のワインを試してみようと思ったのだが失敗、甘すぎる。甘口と中口があったので中口というのを買ったのだが、ほとんどぶどうジュース。重めのワインが好きなうちの奥さんに「中口っていうけど甘いやん。そもそもひらがなで『わいん』ってどうよ」と選択眼を批判される。たしかにそのとおり。ぶどうの種類がコンコードというのもジュース用ではないのか。

このワインは酸化防止剤(亜硫酸塩)無添加なのだが、ちょっと調べてみると「無添加のワインはジュースみたいに甘い」という評判もあるようだ。製造上の必然なのかもしれない。

それにしても、これで1000円もするのである。もっと高ければ日本産にも良いのがあるのかもしれないが、同じ棚に500円のイタリアワインも700円のフランスワインもあった。フードマイレージは考えたいが、これでは日本産はつらい。最近フランスワインを脅かしつつあるというオーストラリアやカリフォルニアやチリも遠いしなあ。

「アース」2008年01月13日

BBCが撮った自然ドキュメンタリー映画。娘が観たいというので観に行った。シンプルで迫力のある映像がずっと続く。さすがはBBC。観た値打ちがあった。

どうやって撮ったのかと思う場面が多かったが、なかでも一番印象に残ったのは象とライオンの闘い。象もライオンも興奮して凄いことになっていた。動物園で昼寝をしている姿とはだいぶ違う。象が泳ぐところの水中映像も豪快だった。

主人公?は温暖化で北極の氷が融けて絶滅の危機に瀕しているシロクマだが、他の動物や鳥たちも何千キロも自力で移動したり、みなさん人間とあまり関係ないところで厳しい世界を生きている。しかし熱帯のジャングルだけは豊か過ぎて歌や踊りで勝負する世界。えらい違いだ。水のある熱帯は楽園なのだなあ。

見終わるとやはり家族で省エネ、省資源に努めようという話になった。娘は、なるべく車に乗らないようにして、お子様ランチに付いているオモチャはもらわないことにすると言う。

TVアンテナ・トラブル2008年01月14日

去年の暮れに共同アンテナのデジタル化工事が済んでほっとしていたのだが、年が明けて1週間ほど経ったある日の午後、アンテナの工事会社から電話が掛かってきた。デジタル化を頼んだU社ではなく、最初に共同アンテナを設置したM社である。以前、見積りも出さずに勝手に作業をして高い費用を請求してきたことがあって以来、我が自治会とは絶縁状態になっていたのに、なぜ連絡してきたのだろうか。

話を聞くと、近所のAさんからテレビの映りが突然悪くなったので直してくれと言われたとのことである。そちらの自治会とはトラブルがあって疎遠になっていたが、頼まれたので見させてもらっても良いかと尋ねるので、作業をする前に見積りを出すように念を押して許可する。「ところでデジタル化の工事はもう済んだんでっか?」と聞かれ、済んだと答えると「ウチには声掛けてもらえまへんでしたな」とスネた。

翌日、その工事会社のオヤジとA家の奥さんが来て、簡単な調整で直ったと報告を受ける。奥さんが帰った後、オヤジと少し話をする。作業服姿のオヤジは缶コーヒーの臭いのする息を吐きながら、デジタル化工事の話を蒸し返し、今後はまた仕事をさせてくれと名刺を渡していった。

その翌日にまたAさんとオヤジが来た。昨日の作業では直っていなかったのだ。オヤジは今度は助手を連れている。スーツの上にダウンジャケットを着て首から測定器を提げた男はアンテナメーカーの社名を名乗り、「信号が何デシベルで低過ぎて云々」ともっともらしいことを並べ立て、ケーブルを交換しなくてはならないという。いくらかかるのかと聞くと、10万と答える。10万は高過ぎるとつっこむと、オヤジがまあ4、5万に値引きしますからと小声で言う。何やそれ、中国の土産物屋か。

デジタル化の工事でも十数万でできたのにと言うと、二人組は「そんなに安いと大した機材は入れて無いだろう」とか「今アナログのお宅がデジタルを見始めたら映りが悪いと言い出すんじゃないか」とかケチを付け始めた。僕はデジタル化の工事の時に詳しく説明を聞いて納得している。このコンビはこっちが素人だと思っていい加減なことを言っているに違いない。

彼らにはとにかくまた連絡するからと言って一旦お引取り願い、U社に連絡して別の日に来てもらう。事情を説明して費用を聞くと9000円だという。ケーブル交換で4、5万かかると言われた話をすると、ケーブル交換の必要は無いし、交換するとしても高過ぎますねと呆れていた。引き込み線の両側のコネクタを点検して接触不良を発見。切り取ったコネクタを見せて、同軸ケーブルの芯線が短過ぎたのだと説明してくれる。

我が自治会では過去にも数回、今回と同じようなメンテナンスをM社に頼んだようだが、そのたびに10万円近く支払った記録がある。とんでもないボッタクリ会社である。今後一切出入り禁止にしよう。

「リサイクラブル」 dbクリフォード2008年01月19日

ピアノ主体のポップ。聴いて最初に思い浮かんだのはビリー・ジョエル。引き締まったサウンドはスティーリー・ダンのようでもある。自分では「ビートルズの曲をスティービー・ワンダーがジャミロクワイとプレイしている」と表現しているとのことだが、なるほどそんな感じ。

とにかくそういうポップの王道の人たちを連想させるし、作詞・作曲・編曲・プロデュース・演奏まで独りでやっている。この人は久々に現れたポップ界の才能かもしれないとも思うのだが、残念ながらややインパクトが足りない。惜しい。

フランスの音楽学校でジャズ・ロックの課程を専攻したそうなので、過去の音楽を真面目に勉強し過ぎて、オリジナリティが希薄になっているのかもしれない。3作目くらいまでに新たな境地を切り開くかどうか注目したい。

「Fantastic OT9」 奥田民生2008年01月27日

これは素晴らしい! 奥田民生の最高傑作だ。本人もはっきりそう自覚しているようで、タイトルも「すばらしい奥田民生の9作目」である。何が一番良いかというと曲がポップになったこと。ポップといってもどこかで聞いたことのありそうな曲ではなく、今までどおりオリジナリティを追求しながらポップであるところがエライ。

今までの8作ではいつも「同じ音程が8分音符で2小節くらい続くような単調なメロディ」が出てくる曲が3曲か4曲あった。ボサノバで「ワン・ノート・サンバ」という曲があるが、これはワン・ノート・ロックである。僕の知る限りユニコーンの時にはそういう曲は無い。民生はソロになってから意図的にメロディを単調にしてきたのだ。でも今回はついにワン・ノートのメロディがほとんど無くなった。

歌詞もいつもよりメッセージ性のある曲が多い。奥田民生のメッセージはややシュールだったり両義的だったりして伝わりにくいが、実は同時代的な問題意識にはかなり鋭いものがあると思う。今回はそういう曲がほとんどで、すごく面白い。

という具合に、僕はメロディと歌詞が特に進化していると思ったのだが、雑誌やテレビのインタビューを見ると本人が一番強調しているのはサウンドである。録音の技術で何かを掴んだらしい。何かアナログっぽくてパワフルな音だ。

タミオの曲にはいつも新しい何かがあるので、最初からすんなりとは飲み込めないのだが、聴けば聴くほど良さがわかってくる。今回は特に中身が濃くて、いつもより消化するのに時間がかかる。発売日から10日くらい聴き続けたところでやっと全貌が見えてきた感じがする。ええわー。

ロバート・モンダヴィ・カーネロス・ピノノワール2008年01月31日

奥さんが買って来たワイン福袋に入っていたカリフォルニアの赤ワイン。アメリカ製ワインを飲むのは初めてだが、どんなもんか。ロバート・モンダヴィ酒造のカーネロスという銘柄でブドウの種類がピノ・ノワール。UNFILTEREDと書いてあるから、にごり酒なわけか。飲んでみると辛口でとてもスパイシー。このスパイシーさはピノ・ノワールというブドウの味なのかな。これはうまい。

最近はユーロ高だしドルはこれからどんどん下がると思うので、カリフォルニアワインを研究するのが良いかもしれない。ググッてみると、ロバート・モンダヴィさんは「カリフォルニアワインの父」と呼ばれている人だった。