「MODE FOR JOE」 ジョー・ヘンダーソン ― 2012年03月25日
最近はまっているハードバップの名盤。テナーとトランペットとトロンボーンの重厚なアンサンブルとヴァイブのクールな響きでカッコイイ。管楽器の人たちは単に音符を吹いているわけではなく、時々動物の鳴き声みたいな音色も出してくれるので楽しい。
リズミカルな曲が多くて、聴いていると気分が上向きになる。日曜大工や料理などの軽作業をしながら聴くと仕事がはかどる。
「a night at Birdland vol.1」 アート・ブレイキー ― 2012年02月10日
ジャズの世界では超有名なライブを聴いてみる。冒頭の司会者のアナウンスは聞き覚えがある。How about a big hand there! とにかく演奏がホットで曲も良い。これは本当に良いライブだ。
以前、マイルズ・デイヴィスやビル・エヴァンズなんかのクールで繊細なジャズを熱心に聴いていたことがあるが、最近こういうシンプルで判りやすいスタイルの方が良いと思うようになった。聴いていて寛げる。
1954年という遠い昔のことだからマイク1本で録っているのだが、臨場感があって素晴らしい。
「Moanin'」 Art Blakey And The Jazz Messengers ― 2012年02月03日
デアゴスティーニのブルーノート・ジャズCDコレクションのCMで「Moanin'」が流れているのを聞いて、このあたりのジャズを聴いみようと思って買った。1958年発表だから僕が生まれる前、半世紀以上の昔の音楽だ。
ジャズの良いところは生楽器の音を楽しめるところだと思う。楽器の音が良いのは演奏が上手いからである。リズム感も素晴らしい。そういうところはミュージシャンの身体に支えられているわけである。半世紀経ってポピュラー・ミュージックは進化したのかというと、全然そんなことはない。
こういう古い上等な音楽を聴いていると、音楽が時代と共に進化するものではないのだなあと思えてくる。その時代ごとに時代に合った音楽があるだけなのだろう。今は電気やコンピュータに頼る時代だから、電気やコンピュータに頼った身体性の希薄な音楽が聞こえてくるわけだ。そういうメッセージをジャズ・メッセンジャーから受け取りました。
「Get Together」 矢野顕子×上原ひろみ ― 2011年12月18日
矢野顕子と上原ひろみ二人だけのライブ。ピアノ2台で演奏をすると音がグシャグシャして、一人ずつ弾いた方が良かったんじゃないのという感じになりがちだが、この超個性的な二人の演奏は意外にもうまく噛みあっていて、しかも迫力がある。なかなか良い。
ご両人とも、いつもは自分の世界にどんどん入っていって、聴いている方が着いて行くのに苦労するような人たちである。でも、このライブではお互いのバランスにも気を使っているおかげで、いつもより演奏の輪郭が整って聴き手が受け取り易くなっていると思う。
先週、うちの奥さんがこのライブの大阪公演に行って、上原ひろみが中腰で弾くピアノの迫力が凄かったと言っていた。途中に休憩があって、ピアノの調律をしていたそうだ。いつもの矢野顕子のライブより年配のお客が多かったらしい。上原ひろみは高齢のジャズファンに人気があるのかもしれない。
「The Unissued JAPANESE CONCERT」 マイルズ・デイヴィス ― 2011年03月11日
マイルズ日本公演の未発表分、東京と京都の2枚組。音は悪いが快演らしいので聴いてみる。たしかに音は悪い。放送用録音だとのことで、マイク一本で録っているのだろう。音質もバランスも酷い。しかし、演奏は熱くて良い。音の悪さを超える値打ちがある。ピアノもドラムも遠いが、ハービーも良いし、トニーも爆発している。
イヤホンで聴くと音の悪さが気になるが、スピーカーで流し聞きするとマシ。キッチンパソコン用のスピーカーで聴きながら料理をしていると、娘が入ってきて「このシックな音楽は何?」と訊いた。なんぼ音が悪くても、何も知らない中学生にも分かるこのカッコ良さ!
「Live at Voce」 スティーブ・ガッド ― 2010年11月14日
ドラムの神様、ガッド師匠24年ぶりのリーダー作。'86年の「The Gadd Gang」を今でも愛聴している僕としては聴かないわけにいかないのだが、7月に発売された日本盤が2600円もするので見送っていたところ、11月になってUS盤が1100円くらいで出た。しかもUS盤の方にボーナストラックが入っている。普通と逆だ。
ガッドギャングのときはとてもシンプルな渋いドラミングで「レイドバックしたグルーブというのはこういうもんだよ」と教えていただいたが、今回はライブだけあって結構エキサイト気味で、派手なソロもある。しかし、24年経って何も変わっていないところがすごい。
僕は今ではドラマーではなく初心者ベーシストなのでベースを聴こうとするのだが、なんか地味な音でよく聴こえない。ジャケットを見てもベーシストの名前が無い。調べてみると、オルガンのジョーイ・デフランチェスコという人がハモンドオルガンのペダル鍵盤でベースも担当しているのだった。
この人は1曲マイルズ風のトランペットも吹いているのだが、その時もベース音が鳴っている。この人はオルガンの演奏もすごく良いし、ただものではないというのはわかるのだが、オルガンのベース音ではちょっと頼りない。普通のベーシストを入れて欲しかった。
ガッドギャングのときはとてもシンプルな渋いドラミングで「レイドバックしたグルーブというのはこういうもんだよ」と教えていただいたが、今回はライブだけあって結構エキサイト気味で、派手なソロもある。しかし、24年経って何も変わっていないところがすごい。
僕は今ではドラマーではなく初心者ベーシストなのでベースを聴こうとするのだが、なんか地味な音でよく聴こえない。ジャケットを見てもベーシストの名前が無い。調べてみると、オルガンのジョーイ・デフランチェスコという人がハモンドオルガンのペダル鍵盤でベースも担当しているのだった。
この人は1曲マイルズ風のトランペットも吹いているのだが、その時もベース音が鳴っている。この人はオルガンの演奏もすごく良いし、ただものではないというのはわかるのだが、オルガンのベース音ではちょっと頼りない。普通のベーシストを入れて欲しかった。
「Art Pepper Today」 アート・ペッパー ― 2009年10月13日
このアルバムは1978年発表。パワフルに吹いている。リズムセクションも頑張っていて、バンドとしてのアンサンブルも良い。ペッパーは初期のアルバムの評価が高いが、復活後の演奏も良いじゃないか。
それに録音が良い。ペッパーの活動には'60年から'75年までブランクがあって、その前後では録音技術が全然違う。僕はマニアックに音質を追求するわけではないが、これだけ音が違うと音楽の印象にもすごく影響する。
初期のアルバムは演奏はいいけど音が悪い。これをもっと良い録音で聴けたらなあと思うが、それなら後期ペッパーを聴けば良いということになる。アート・ペッパーさんは一貫してメロディックなアドリブ演奏を追求したから、復活後もやっていることは昔とそんなに違わず、腕も衰えていなかった。やってることがだいたい一緒なら音が良い方が良い。
それに録音が良い。ペッパーの活動には'60年から'75年までブランクがあって、その前後では録音技術が全然違う。僕はマニアックに音質を追求するわけではないが、これだけ音が違うと音楽の印象にもすごく影響する。
初期のアルバムは演奏はいいけど音が悪い。これをもっと良い録音で聴けたらなあと思うが、それなら後期ペッパーを聴けば良いということになる。アート・ペッパーさんは一貫してメロディックなアドリブ演奏を追求したから、復活後もやっていることは昔とそんなに違わず、腕も衰えていなかった。やってることがだいたい一緒なら音が良い方が良い。
「PLACE TO BE」 上原ひろみ ― 2009年09月18日
上原ひろみのピアノ・ソロ。ソロということで張り切って弾き過ぎではないか。弾きまくりが痛快な曲もあるが、全体を通して聴くと過剰な感じがする。イヤホンなんかでじっくり聴くとしんどくなってくる。バンドで他のプレイヤーとバランスを取りながら弾いているときの方が良い。
日本盤ボーナストラックとしてGreen Tea Farmという曲を矢野顕子が歌っているが、歌詞を付けたのなら自分で歌えばいいのにと思う。何で自分で歌わないのだろうか。この人は歌うための神経回路がピアノを弾く指に繋がっていて、自分の歌に納得がいかないのかもしれない。
「Tete-A-Tete」 アート・ペッパー ― 2009年09月10日
「Goin' Home」がなかなか良かったので、同じ時に録音された「Tete-A-Tete」も聴いてみる。「Goin' Home」と同じくゆったりしっとりした雰囲気だが、こちらの方がちょっと明るい感じがする。
「The Way You Look Tonight」という曲は最近どこかで聴いたなと思ったら、「Surf Ride」にも入っていたのだった。ペッパーは'52年のデビュー作と'82年の遺作で同じ曲を演奏しているわけである。聴き比べているうちに、グレン・グールドを思い出した。グールドは'55年のデビュー作と'81年の遺作で同じ「ゴルトベルク変奏曲」を演奏している。
違うジャンルの音楽家である2人だが、同時期に活動して、同じ'82年にどちらも脳溢血で亡くなった。同じようにデビュー作と遺作でスタンダード曲を演奏していて、デビュー作はモノラル録音で演奏は軽快、遺作はデジタル録音で落ち着いた演奏。曲は全然違うが、デビュー作と遺作の対比はすごく似ていて面白い。音楽というのは時代を反映しているのだなあ。そして、深く極めた人は同じようなところに到達するのだなあ。こういうのをシンクロニシティというのだろう。
「The Way You Look Tonight」という曲は最近どこかで聴いたなと思ったら、「Surf Ride」にも入っていたのだった。ペッパーは'52年のデビュー作と'82年の遺作で同じ曲を演奏しているわけである。聴き比べているうちに、グレン・グールドを思い出した。グールドは'55年のデビュー作と'81年の遺作で同じ「ゴルトベルク変奏曲」を演奏している。
違うジャンルの音楽家である2人だが、同時期に活動して、同じ'82年にどちらも脳溢血で亡くなった。同じようにデビュー作と遺作でスタンダード曲を演奏していて、デビュー作はモノラル録音で演奏は軽快、遺作はデジタル録音で落ち着いた演奏。曲は全然違うが、デビュー作と遺作の対比はすごく似ていて面白い。音楽というのは時代を反映しているのだなあ。そして、深く極めた人は同じようなところに到達するのだなあ。こういうのをシンクロニシティというのだろう。
「サーフライド」 アート・ペッパー ― 2009年09月04日
相変わらずアート・ペッパーばかり聴いている。このサーフ・ライドというアルバムはペッパー初のリーダー作。ジャケットはビキニの女の子がサーフィンをしている絵なのだが、これを描いた画家は多分サーフィンをしたことが無いのだと思う。女の子の姿勢も波の形もボードの向きもおかしい。でもキッチュでオールディーズな感じがしてなかなか良い。きっとレコード会社の人が「西海岸のジャズだしSurf Rideという曲が入っているからアルバムタイトルもSurf Rideにしてジャケットもサーフィンのイメージでいこう!」と勝手に決めてしまったものと想像する。
ジャケットのイメージに違わず、曲は明るくポップで楽しい。モノラルのマイク一本で録っているらしく、ピアノがちょっと遠く聞こえる。演奏が良いのでそういうところも味わい深く感じる。
タイトル曲の「Surf Ride」は別のアルバムで聴いたことがあり、すごく好きなので一番に聴いてみると、メロディが違う。よーく聴いてみるとコード進行は似ているような気もする。ジャズというのは同じ曲を全然違う曲のように演奏するのもアリなんだろうけど、ここまで違うかな。と思いつつ1曲目から聴いていくと、何とSurf Rideの前の曲が僕の聴いたことのあるSurf Rideであった。CDジャケットとiTunesデータベースの曲名表示が間違っていたのである。iTunes Storeで1曲ずつ試聴しながら調べてみると、表示の曲順とCDに入っている曲順は全然違うことが判った。しかもどちらもレコード発売当時の曲順とも違うのである。国内盤なので、メーカーに苦情メールを送っておいた。
(2014.1.5 追記) 今ではこの「サーフライド」も含む7枚のアルバムが入った4枚組CDセットが1000円程度で買える。曲順等がどうなっているかは不明。
ジャケットのイメージに違わず、曲は明るくポップで楽しい。モノラルのマイク一本で録っているらしく、ピアノがちょっと遠く聞こえる。演奏が良いのでそういうところも味わい深く感じる。
タイトル曲の「Surf Ride」は別のアルバムで聴いたことがあり、すごく好きなので一番に聴いてみると、メロディが違う。よーく聴いてみるとコード進行は似ているような気もする。ジャズというのは同じ曲を全然違う曲のように演奏するのもアリなんだろうけど、ここまで違うかな。と思いつつ1曲目から聴いていくと、何とSurf Rideの前の曲が僕の聴いたことのあるSurf Rideであった。CDジャケットとiTunesデータベースの曲名表示が間違っていたのである。iTunes Storeで1曲ずつ試聴しながら調べてみると、表示の曲順とCDに入っている曲順は全然違うことが判った。しかもどちらもレコード発売当時の曲順とも違うのである。国内盤なので、メーカーに苦情メールを送っておいた。
(2014.1.5 追記) 今ではこの「サーフライド」も含む7枚のアルバムが入った4枚組CDセットが1000円程度で買える。曲順等がどうなっているかは不明。
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