「インセプション」 DVD2011年10月03日

僕が唯一DVDを繰り返し見ている映画が「マトリックス」で、その「マトリックス」に似た話らしいので気になっていたところ、アマゾンで990円になっていたので買った。「マトリックス」はコンピュータの中に作られた仮想世界に入り込む話だったが、この映画では夢の中に入る。

椅子にもたれて機械に繋がれて昼寝をしている様子で仮想世界に入り込むというアイデアは「マトリックス」のまんまで芸が無い。仮想世界でドンパチやって元の世界に戻れるかハラハラするというのも同じ。さらにダメなのは、仮想世界の物理法則が現実と同じという点。夢の世界なんだから「マトリックス」のように空を飛べたり鉄砲玉をよけたりできる方が自然だ。

「マトリックス」はストーリーも映像も世界観もオリジナルで壮大だったが、こちらはただの精神分析である。はっきりいって、「マトリックス」より随分スケールの小さい話だし、アイデアも質量ともにかなり劣る。

アバター2010年02月05日

3年ほど前に3D映像表示装置を設計したこともあり、3Dに興味があるので「アバター(3D・吹替え)」を観てみた。 まあ仕事の一環である。平日朝9:30の回なのでガラガラ。観客は50人くらい。ほぼ真ん中の席。偏光メガネは結構ごっついが意外に気にならない。でも、メガネをかけると暗い。片目に入る光量は半分くらいになるわけである。

CGは凄いけど、3Dである必要はあまり無いと思う。ワイドな構図の場面では偏光メガネをはずしてもほぼ普通に見ることができるし、メガネをはずした方が明るくクリアに見える。狭い場所の場面では遠近感がよく判るが、だからどうしたという感じ。空を飛ぶ場面などは普通の2D映像であっても視点の移動による遠近感が生じるので、実は3Dの値打ちはそんなにない。前の方の席で見れば没入感があって面白いかもしれない。首が疲れそうだけど。

ストーリーはキャメロンらしく単純な勧善懲悪で、映像に立体感はあっても話に奥行きが無い。宮崎アニメや「マトリックス」その他いろいろを表面的になぞっているだけだ。一言でいうと「USJのアトラクションを長時間見ているようなもの」。2時間40分飽きないが、もう一回見たいとは思わない。何回見ても面白い宮崎アニメや「マトリックス」とは全然違う。

「ユニコーンツアー2009 蘇る勤労」 DVD2009年08月23日

このバンドの面白いところは、5人とも曲を作って歌うことである。ライブでどうするのかと思ったら、ベースのEBIが歌うときは民生がベース、ドラムの川西が歌うときは民生がドラムを叩いていた。キーボードの阿部がギターを弾くときもある。

民生ソロのライブはややストイックで暗めだったが、ユニコーンは明るく楽しそうだ。僕はユニコーンより民生のファンなので、本当は民生の曲と歌を集中して聴きたいのだが、ユニコーンの方が多様で面白いことも確かだ。

昔のユニコーンはアイデアが先行してギクシャクした感じもあったが、復活後は角が取れて円熟している。新酒と15年物くらい、明らかに違う。インタビューによると、昔はみんな「オレが、オレが」だったのだが、今は「オマエが、オマエが」に変化したらしい。そういう感じがアンサンブルの良さとなって表れている。

昔の曲と新曲を半々くらいに混ぜて演奏しているが、やっぱり昔の曲の方が受けている。特に「大迷惑」「ヒゲとボイン」「すばらしい日々」といった名曲は盛り上がる。復活ユニコーンの代表的名曲はまだ生まれていないようだ。

ドラマ「官僚たちの夏」 前編終了2009年08月17日

面白い。熱心にドラマを見るのは「ER」以来だ。北大路欣也が出てきて「華麗なる一族」と雰囲気がかぶると思っていたが、見続けるうちに西村雅彦も吹石一恵も両方に出ていることに気付いた。そもそも脚本家も同じなのだった。

この時期に官僚視点のドラマをやる真意は不明だが、官僚がどうだという以前にアメリカの圧力にどう対処するかという話なのだということが分かってきた。ペリー来航以来、今も続く問題である。今現在、FTAについて外務省と経産省と農水省の官僚はバトルをしているのだろうか。その前に我々一般庶民もよく考えないといけないのではないか。官僚をけなすんだったら、官僚の皆さんに導いていただくわけにはいかないでしょう。

城山三郎の原作は大作かと思ったら文庫本1冊。読んでみたくなった。

「十二人の怒れる男」2009年08月09日

陪審員制度を題材とする'57年のアメリカ映画。裁判員制度の開始に触発されて、うちの奥さんが某DVD宅配レンタル業者の無料お試しキャンペーンで借りた。

今年一番の暑さだという日に、裁判が終わった後、12人の陪審員が冷房も無い会議室に缶詰にされる。殺人事件の有罪無罪を決めるのだが、全員が一致するまで延々と議論しなくてはならない。'50年代のアメリカにはクールビズという概念はなく、暑いのにネクタイもはずさない。ポロシャツにネクタイの男もいる。シャツに汗がにじんでくる。もちろん嫌煙権という言葉もなく、タバコは吸い放題。地獄みたいな部屋である。

12人全員が白人男性であるのは何か理由があるのだろうか。それはともかく、怒鳴り合いの喧嘩みたいになっても、最終的には理性的に判断できるアメリカの一般市民は偉いもんだ、これぞ民主主義、というような話。

議論をしていくうちに形勢が変わっていく過程が面白いし、各自の生い立ちとか家庭の事情とか偏見が露になっていく構成もなかなか良くできていて、なるほど名作だと思う。でもよく考えると、陪審員がこんなにうまく謎解きをすることは無いだろうなと思う。

ところで裁判員制度については、僕は反対である。裁判に一般市民の感覚が必要というなら、法曹関係者が一般市民の感覚を身に付けるように努力すれば良い。それと、最高裁判事の国民審査をやめて、現職プラス5名くらいの候補者の中から選挙するようにしてはどうか。

ドラマ「官僚たちの夏」2009年07月20日

テレビドラマはほとんど見ないのだが、これはなかなか面白いので見ている。高度成長期の経済の話だし北大路欣也が出てくるので、「華麗なる一族」とやや雰囲気がかぶる。佐藤浩市が演じる主人公の風越信吾は私欲が無くてカッコイイ。ウィキペディアを見ると、モデルは佐橋滋という実在の通産官僚で、やはり東大法学部卒。

霞ヶ関をどうするかを争点として総選挙が行われる時期に、官僚の存在意義を強調するドラマをやる理由は何だろうか。「こういう官僚たちのおかげで日本は経済大国になれたんだから、あまり苛めないであげよう」というキャンペーンなのか、それとも「昔はこんなに存在価値のある官僚もいたが、今の官僚はどうだろう」というネガティブ・キャンペーンなのか。

ところで、堺雅人の無造作風ボサボサ頭は時代考証的にアリですか。ビシビシの七三分けにしてもらいたい。それとエンディングに流れるコブクロの曲も雰囲気が合っていない。でも何が合うか考えてみたら意外に難しい。歌ものはダメだと思うが、「華麗なる一族」みたいな大層な曲は似合わないし、'60年頃のジャズはどうかな。マイルスかハービー・ハンコックの緊張感があってちょっとリズミカルな曲。

「YUKI Concert New Rhythm Tour 2008」 DVD2009年04月03日

YUKIのライブを見てみたかったので、去年DVDを買おうと思ったのだが、アマゾンのユーザーレビューですごく評判が悪かったので見送った。曲がカットされていたりして、編集が良くなかったようだ。今年出たのは良さそうなので買った。

大体CDと同じアレンジで、意外にバンドサウンドで勝負している。良いバンドだと思う。曲が良いしYUKIも楽しそうに歌っているし、ハッピーな気分になれそうなライブだ。名曲「JOY」のアレンジが凝っていてカッコイイ。

ステージの背景に映されている映像がオマケに付いている。僕はライブ映像以外のミュージックビデオが好きではないのだが、見てみるとなかなか良かった。じっくり見るとすごく手間ヒマがかかっている。バックに流れるライブ演奏との組合せも面白い。

YUKIはステージでは子どもみたいにニコニコと歌っているが、メイキング映像を見るとプロデューサーでありバンドのリーダーとしてみんなを引っ張っている。シュールとリアルが両立した面白いキャラクターだ。

崖の上のポニョ2008年11月04日

先々週観た。公開14週目の平日というだけあって80席のスクリーンに20人くらいしか入っていない。最近できたシネコンに初めて行ったのだが、座席の段差が大きくて前の人の頭が気にならず画面が見やすかった。

話を過激に単純化すると、「トトロ」の舞台を海辺に移して登場人物の男女を入れ替えたようなもの。春に読んだ「虫目とアニ目」に宮崎駿が提案する町のイラストがあった。町の中心には保育園があって隣に高齢者施設も作る。「ポニョ」の主人公の少年が通う保育所も高齢者施設と同じ敷地にあって、少年は老人たちと顔なじみであることが強調される。今「虫目とアニ目」を見てみると、この高齢者施設はホスピスだったのか。イラストの日付は'02年である。5年後に映画にしたわけだ。

宮崎駿の作品はそれぞれ主人公の年代に向けて作られているような気がする。主人公の年齢が高いほど話が複雑になる傾向がある。「ポニョ」の主人公は5歳だからこの話はかなり単純である。そう思っていたのであまり期待せずに観たが、意外に面白かった。幼児向けだけあって頭より感覚に訴える映画だ。

例によって謎や疑問がいろいろある。少年はナゼ両親を名前で呼ぶのか。ポニョは海から来たのに水道水で大丈夫なのか。お母さんはなんでそんなに車の運転が荒いのか。ポニョのお父さんの計画は何を象徴しているのか。ところでそのお父さんの声をやった所ジョージは声優としてかなり優秀だと思う。

「アース」2008年01月13日

BBCが撮った自然ドキュメンタリー映画。娘が観たいというので観に行った。シンプルで迫力のある映像がずっと続く。さすがはBBC。観た値打ちがあった。

どうやって撮ったのかと思う場面が多かったが、なかでも一番印象に残ったのは象とライオンの闘い。象もライオンも興奮して凄いことになっていた。動物園で昼寝をしている姿とはだいぶ違う。象が泳ぐところの水中映像も豪快だった。

主人公?は温暖化で北極の氷が融けて絶滅の危機に瀕しているシロクマだが、他の動物や鳥たちも何千キロも自力で移動したり、みなさん人間とあまり関係ないところで厳しい世界を生きている。しかし熱帯のジャングルだけは豊か過ぎて歌や踊りで勝負する世界。えらい違いだ。水のある熱帯は楽園なのだなあ。

見終わるとやはり家族で省エネ、省資源に努めようという話になった。娘は、なるべく車に乗らないようにして、お子様ランチに付いているオモチャはもらわないことにすると言う。

ビリーズ・ブートキャンプ2007年06月23日

うちの奥さんの同僚が2週間前に「ビリーズ・ブートキャンプ」DVD(ビリーバンド付き)を買って、今のところ毎日続けているらしい。4枚あるDVDのうちの基本編を貸してくれたので、超運動不足の僕もやってみた。1時間くらいのプログラムである。

フィットネスに詳しくないので、身体の使い方に目新しさがあるのかどうかはわからないが、評判どおりビリーの語りは面白い。結構激しい動きなので、ついていくだけでもきついのだが、ビリーが励まし鼓舞してくれるおかげで何とか続けられる。ビリーがラップのようなリズミカルな声でずーっとしゃべっているのを聞いていると、段々洗脳されそうになってくるのだ。

ビリーは「自分を変えるには意識を変えるんだ!」みたいなことを盛んに言う。単調なリズムと激しい運動でやや朦朧としてきたところに意識改革を吹き込むのは洗脳の基本である。しまいには愛がどうとか神の祝福とか言い出すし。これはちょっとTV宣教師的である。

などと考えつつ、30分くらいは何とかこなしたのだが、そこからは「もうだめであります、隊長」「あきらめちゃだめだ! 自分のできる範囲で続けるんだ!」という感じで休み休み続けるが、45分までいったところで脱落した。

何年かぶりに運動して汗だくになり、シャワーを浴びたらスッキリして気分は良い。全身が筋肉痛になったが、特に効いたのは太腿の裏側。腹筋は大したことないな、と思ってよく考えたら腹筋運動のあたりでダウンして見学していたのだった。

まあ面白かった。続けようとは思わないが、いろいろな運動を教わったのでたまには身体を動かそう。応用編があと3枚もあるらしいけど、僕は遠慮します。